増えている、日本の高校への留学生

マイスターです。

気になる報道を見つけました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「高校の留学生受け入れ急増 文科省の国際交流調査」(京都新聞)
http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2007110800187&genre=F1&area=Z10
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2006年度に日本の高校に3カ月以上留学した外国人は1866人に上り、比較可能な1988年以降で最も多かったことが8日、公私立高校を対象に文部科学省が隔年で実施している国際交流状況調査で分かった。

前回の04年度調査から23%の増加。文科省は「言葉や文化など日本に対する関心が高まっていることが背景にあるとみられ、今後も増えると考えている」としている。

調査結果によると、06年度に外国人留学生を受け入れた高校は公立が434校、私立が348校。出身国は中国が20%に当たる371人で最多。米国、オーストラリアなどが続いた。

(上記記事より)

順調に増えているんですね、日本の高校への留学生。

大学や短大など、高等教育レベルでの留学生については日本学生支援機構のデータがよく参照されます。

■「留学生受入れの概況(平成18年版)」(独立行政法人日本学生支援機構)
http://www.jasso.go.jp/statistics/intl_student/data06.html

また、「海外に留学する日本人の高校生」も、増えているという印象があります。

でも、日本の高校にどのくらい留学生が来ているかについては、恥ずかしながらマイスター、これまであまり気にしていませんでした。これはいけません。

さっそく、詳細を見てましょう。
冒頭の記事の元データは、↓こちらです。リンク先にPDF形式の別添資料がありますので、そちらをご覧ください。

■「平成18年度高等学校等における国際交流等の状況について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/11/07103102.htm

【6 外国人留学生(3ヶ月以上)の受入れについて】

 日本の高等学校が受け入れた外国人留学生は、延べ1,866人(公立687人、私立1,179人)(平成16年度1,518人(公立568人、私立950人))
留学生の出身国等は67カ国となっており、出身国等別に見ると中国が最も多く371人、次いでアメリカ266人、オーストラリア223人、ドイツ144人の順となっている。
 なお、受入れ者数は、平成16年度と比べると22.9%増加した。また、受入れ学校数は延べ1,187校(平成16年度1,021校)と16.3%増加した。

(「平成18年度高等学校等における国際交流等の状況について」(文部科学省初等中等教育局国際教育課)より)

【7 外国からの研修旅行生(3ヶ月未満)の受入れについて】

 高等学校等における外国からの研修旅行生の受入れ(語学等の研修や国際交流等を目的として、外国からの高校生等を3ヶ月未満の期間において我が国の高等学校に受け入れることをいう。)は延べ3,986人(公立2,171人、私立1,815人)(平成16年度4,068人(公立1,910人、私立2,158人))
 研修生の出身国等は59カ国で、出身国等別に見るとオーストラリアが最も多く1,021人、次いでアメリカ1,017人、韓国452人、ニュージーランド269人の順となっている。 なお、研修旅行生の受入れ者数は、平成16年度と比べると2.0%減少した。

(「平成18年度高等学校等における国際交流等の状況について」(文部科学省初等中等教育局国際教育課)より)

このように、外国人留学生(3ヶ月以上)と、研修旅行生(3ヶ月未満)とで、状況が若干異なります。

「留学生」受け入れ者数は前回の調査に比べて増えておりますが、短期の「研修生」の受け入れはなぜか減っています。
また、「留学生」は中国からやってくる方の人数の多さが目立つのに対し、「研修生」で多いのはオーストラリアとアメリカ(ほぼ同数)です。

なんで受け入れ元の国に違いが出るんだろう、と思って、さらに詳細なデータを見てみますと、内訳に特徴がありました。

中国からやってくる「留学生」は371人もいますが、そのうち350人は56校の私立高校が受け入れており、残りの21人は、17校の公立高校が受け入れています。一部の私立高校に、留学生が集中しているようです。
ちなみに2番目に留学生の受け入れが多いアメリカの場合、218校で266人の留学生を、3番目のオーストラリアでは172校で223人を、それぞれ受け入れています。
やはり中国人の留学生が目立つのは、受け入れに熱心な一部の私立高校が集中的にどかんと受け入れているからではないかと思われます。

他にも似たような例があります。例えばモンゴルからの留学生は83人もいるのですが、これを、わずか8校の私立高校が受け入れています。
また、チベットからの留学生は8人ですが、受け入れている高校は全国で1校だけです。現地の高校と交換留学提携でもされているのでしょう。チベットの高校生と交流しようと思ったら、その高校に行くしかありません。

こういった特殊な例が留学、研修それぞれにいくつか存在し、それが双方の数値の違いを生み出している原因のようです。
見ていると結構面白いです。例えばイタリアからの短期研修旅行生は全国で11人ですが、これを1校だけで受け入れています。その高校では特定の時期に、一気に校舎に11人のイタリア人が増えるわけですね。結構、校内の雰囲気が変わりそうな気がします。

国際交流に力を入れている、ということをウリにする高校は結構あると思うのですが、どういう国の方々と交流できるのかは、高校によってかなり異なるのですね。

ところで、外国から日本の高校に留学する方が増えていると聞くと、やはり、その方々の進路がどうなっているのか、気になってしまいます。

日本の大学に進学される方は、どのくらいいるのでしょうか?

例えばアメリカの高校に半年〜1年程度、交換留学か何かで行き、それがきっかけでアメリカの大学への進学を考えるようになるなんてことは、しばしばあると思います。

日本の高校に「1年以上」留学している方は、資料によれば347人。6ヶ月以上一年未満では1234人もいます。ではこの方々の中で、日本の大学や短大への進学を考える方は、果たしてどのくらいいるのでしょうか。

日本の高校生活を体験した結果、日本が気に入り、「大学も日本で」と思うのか。
それとも逆に、「大学は、日本じゃない方がいい」と思うのか。
非常に気になるところですが、残念ながら、そのデータは今回の資料には掲載されていません。

そもそも、日本は9月入学じゃありませんから、海外の大学と比べると入学・卒業が半年ずれているはず。日本の高校を卒業したら、母国の大学に入る際、空白期間ができます。ちょっと面倒くさいですね。

でも、日本の大学にとっては、なんだかチャンスが隠されている部分のような気もします。何しろ日本に3ヶ月以上留学した人が、平成18年度だけで1,866人もいるのです。欧米やオセアニア、アジアを始め、アフリカや南アメリカなどの出身者もいます。

例えば、海外から自校への留学生を増やしたいのなら、この方々に声をかけるのが一番早いのでは、なんて気もします。
上述した通り、実際に留学生を受け入れている高校は限られているのですから、その高校と連携して、「大学も日本で」という選択肢をつくってあげる、とか。

色々なことを考えるもとになりそうなデータです。

以上、マイスターでした。

1 個のコメント

  • 外国人留学生を受け入れる日本の高校を知りたいです、お願いします