ニュースクリップ[-2/8] 「大学の実績で公費に『差』…教育再生懇、3次報告案で提言」ほか

マイスターです。

「ノーベル賞コンビ」の益川敏英氏、小林誠氏が各地で講演活動を行っているそうです。
その様子を伝える様々な記事を読んでいたら、

講演会に参加した、同大理学部1年の上松研介さん(19)は「益川さんの『努力と思わずに続けられることを見つけてほしい』という言葉を胸に、学んでいきたい」と話した。
「『一番飲みに行ったのは…』益川さん・小林さん母校で初講演」(読売オンライン)記事より)

……という記述があって、なるほどと思いました。
一般的には、歯を食いしばって努力することの大切さが大きく語られがちですが、こういう考え方もあるのですね。
「好きこそものの上手なれ」という言葉もありますし、夢中になれることがあるというのは大事です。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【大学教育に対する公費増額 & 配分ルールの変更を求める。】
■「大学の実績で公費に『差』…教育再生懇、3次報告案で提言」(読売オンライン)

政府の教育再生懇談会(安西祐一郎座長)が今月上旬にも麻生首相に提出する第3次報告案が明らかになった。
小中学校への携帯電話持ち込みの原則禁止、大学改革、教育委員会改革を柱とし、大学改革では、各校の実績に応じて配分する公費に差をつけることで質の向上を図る方針を盛り込んだ。教委改革では、教育長や教員人事担当者への民間人登用などを求めた。
報告案では、授業料などの私費が大学財政に占める割合が、日本は66・3%と経済協力開発機構の加盟国平均(26・9%)より高いと指摘。「経営安定のため学生確保を優先し、学生や教育の質の低下を招いている」などの問題点を挙げ、国立大学法人運営費交付金や私学助成金などの公費の増額を提案した。その際、主に学生数や学部数で配分が決まる現行制度を見直し、大学の教育・研究に対する第三者評価の基準を確立した上で実績に応じた配分に改めるよう求めた。「努力しない大学は淘汰(とうた)もやむを得ず、公費を投入しない」とする厳しい姿勢も打ち出した。
このほか、〈1〉大学入試の厳格化〈2〉高校生の基礎学力を測る「高大接続テスト」の導入〈3〉トップクラスの人材育成のための大学院生への支援拡充――なども提案した。
(上記記事より)

教育再生懇談会の報告案。
私学助成金など、大学財政に対する公費の支出を増やすべき、といった内容が盛り込まれているようです。

「主に学生数や学部数で配分が決まる現行制度を見直し、大学の教育・研究に対する第三者評価の基準を確立した上で実績に応じた配分に改めるよう求めた」

……とありますが、この「基準」の内容次第で、賛否両論が集まりそう。

そのうち選挙も行われるわけですが、首相は、教育に対してどのような姿勢を打ち出すのでしょうか。

【愛されたホール、惜しまれつつ閉館。】
■「日本大学カザルスホール、来年春に閉館へ」(MSN産経ニュース)

室内楽専用ホールとして、クラシック音楽ファンに親しまれた日本大学カザルスホール(東京都千代田区)が平成22年3月で閉館することが4日、日本大から発表された。
同大によると、ホールを含むキャンパスの敷地が再開発の対象となっているが、詳細な計画は決まっていない。
同ホールは出版社の主婦の友社が建設し、昭和62年に名チェリストのパブロ・カザルスの名を冠して開館。平成9年には本格的なパイプオルガンを設置して人気を集めた。14年には、不動産投資などで経営難に陥った主婦の友社が日本大に売却していた。
(上記記事より)

■「日本大学カザルスホール」(日本大学)

「カザルスホール」は、クラシック音楽のファンならよく知っている、「室内楽の殿堂」。
2002年に、カザルスホールを含む「お茶の水スクエア」全体を、日本大学が取得しました。
評価の高いホールが失われてしまうということで、惜しむ声も多いようです。

周辺には理工学部、歯学部、医学部付属病院など日本大学の関連施設がいくつか存在しており、日本大学にとっては都心の拠点として利用価値が高いということなのかな、と思います。
ちなみに現在、お茶の水スクエアには、日本大学法科大学院が入っています。

■「日本大学法科大学院:施設案内」(日本大学)

ちなみにこの「お茶の水スクエア」ですが、

大きな地図で見る

明治大学リバティータワーと、こんな位置関係。
日大の「再開発」の内容によっては、色々な点で明治大学と競合しそうです。

【愛されすぎ(?)キャンパス。】
■「『百年前の意匠残る』千葉大松戸キャンパス、造園遺産に」(読売オンライン)

千葉大の園芸学部がある松戸キャンパス(千葉県松戸市松戸)が、日本造園学会関東支部から今年度(2008年度)の「関東地域における造園遺産」に選定された。
「100年前の造園意匠の特徴が残っているほか、近代園芸教育の実践の場として使われてきた貴重な空間」と高く評価された。
同支部は、原則としてそれ自体が文化財などに指定されていない公園や景観などを対象に、07年度から「造園遺産」の選定を行っている。これまでに上野公園、神宮外苑のイチョウ並木(東京都)、葉山御用邸周辺(神奈川県)、狭山の茶畑(埼玉県)など24か所が選定されているが、県内では初で、大学のキャンパスが選ばれるのも初めて。
(上記記事より)

こちらも、学外の人から愛されるキャンパスの話題。
キャンパス移転問題で揺れる千葉大学園芸学部のキャンパスが、上記のように「造園遺産」として選定されました。

大学運営の効率化のために園芸学部の西千葉キャンパス(千葉市)の隣接地への移転が、昨年から検討されている。
このため、同支部では今回の選定にあたり、移転・売却により今後失われてしまう可能性があるとして、松戸キャンパスを「危機遺産」と位置づけた。
(上記記事より)

このように、キャンパス移転によって失われる可能性がある「危機遺産」として位置づけられているのだそうです。

大学の将来をかけ、キャンパスの移転を検討する千葉大学。
もはや地域の「資産」と呼べるキャンパスに、移転して欲しくない松戸市。
そして、造園学にとって貴重な遺産を失うことに危機意識を持つ、日本造園学会関東支部。

キャンパスを巡って各組織の思惑が絡み合い、ややこしくなってきています。
歴史ある建築物が、しばしば同じような状況になりますが、今回の場合は造園ということで、対象が「キャンパス丸ごと」なのがポイント。

愛されるキャンパスを保有する大学にとっては、嬉しいやら困るやら、複雑な思いでしょう。

個人的には、園芸学部のキャンパス機能本体が移転しても、庭園は実習地&市民の憩いの場として保持され、適切に維持管理されるよう、市と大学が協力し合うという手もあるのではと思います。
造園学的に貴重なのであれば、なおさら市営もしくは県営の公園とし、パブリックな資産として皆で維持していくことも考えて良いのでは。

(過去の関連記事)
■千葉大学園芸学部 どうなる移転問題

【キャンパスの皆で車をシェア。】
■「学生と教職員、カーシェアリング 北陸先端大でスタート」(Asahi.com)

石川県能美市旭台の北陸先端科学技術大学院大学が2月から、校内の駐車場を拠点に学生や教職員が自動車を共同利用する「カーシェアリング」を始めた。昼間の買い物や夜間の食事などでの利用を想定している。大学によると、いまのところ登録者は一けただが、今月下旬にも説明会を開くほか、4月には新入生に利用を呼びかけるなどして周知と利用拡大を図るという。
カーシェアリングは、あらかじめ登録した複数の会員が1台の車を共同使用するサービス。
(上記記事より)

自治体などで試験的に導入されているカーシェアリングを、北陸先端科学技術大学院大学が実施するそうです。
深夜遅くまで残って研究している大学院生や研究者の方々が多そうですし、一定の需要はありそう。

ただ、地方の大学だと、普段から自分の車で通学している人も多いでしょう。
いくらくらいの金額設定なら皆が利用するのか、しばらくは実験期間になりそうです。

同じサービスを都心の大学で試してみたら、また違った需要がありそうな気もします。

【ジャーナリストのタマゴ達、中央省庁のお尻を叩く快挙。】
■「厚労省、意見公募やりっ放し 早大院生の指摘で結果公表」(Asahi.com)

省令などの案について国民から広く意見を募る意見公募(パブリックコメント)の制度で、厚生労働省が行政手続法の規定に反して、結果の公示を怠っていたことが早稲田大学の大学院生の指摘でわかった。2カ月を超えて未公示が続いた事例だけで48件に上る。同省は6日、チェック体制を整える方針を発表した。
意見公募の手続きは行政手続法で法制化され、06年4月に施行された。同法では、意見公募の手続きを実施して省令などを公布した場合には、それと同時期に、寄せられた意見やそれへの対応などをウェブサイト「電子政府の総合窓口」に公示することを省庁に義務づけている。
ところが、厚労省では、この結果公示が長期間にわたって行われていない事例が多々あった。早大の院生は、政治学研究科ジャーナリズムコースの授業「調査報道の方法」の実習課題として未公示の事例を調査。1月4日に厚労省にその理由を問い合わせた。同省は「現在、準備中」と回答し、同月9日以降、相次いで公示を始めた。
(略)同省によると、6日時点で、未公示がさらに38件あり、そのうち30件が2カ月を超えているという。大臣官房総務課の担当者は朝日新聞の取材に「担当課は失念していたのかもしれないが、それをチェックする体制がなかったのも反省点」と話した。
早大院生の調査によると、国土交通省、総務省、環境省、農林水産省なども意見公募の結果公示を怠っているケースがあり、理由を問い合わせた。そのためか現在、政府のホームページでは意見公募結果の公示ラッシュが続いている状況だ。
(上記記事より)

■「早稲田大学大学院・政治学研究科 ジャーナリズムコース」(早稲田大学)

昔からメディア関係に強いと言われ、ジャーナリストも数多く輩出している早稲田大学。
そんな早稲田大学が、プロフェッショナルなジャーナリストの養成を目的にして2008年4月に開設したのが、上記のジャーナリズムコースです。
もともと「在野精神」をアイデンティティとする大学ですし、ぴったりです。

そこで学ぶ学生達が、さっそくジャーナリストとしての活躍を見せた模様。

■「パブリックコメント(結果公示案件一覧)」

↑この通り、本当にあきれるほどの公示ラッシュ。
「お尻を叩かれた」という表現がしっくりきます。
このように、色々な方面にまっとうなプレッシャーをかける大学院という存在はなんだか頼もしいですね。
今後もぜひ、こうした活動を行っていって欲しいと個人的には思います。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。