私大の志願倍率が上昇している理由は?

マイスターです。

合わせて読むと興味深い、二つのニュースをご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「国立大の志願倍率、過去最低の4.3倍・今春、文科省発表」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20070925STXKC039025092007.html

■「私立高、修正大あわて 大学合格実績『上乗せ』」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200709110151.html
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文部科学省は25日、今春に行われた入試で、国立大の志願倍率が過去最低の4.3倍(前年度4.4倍)だったと発表した。公立大も5.4倍(同5.6倍)で、過去最低となった。

国公立大の志願者減少は少子化などが原因とみられるが、一方で私立大の志願者は前年度から約9万人増えて、志願倍率も前年度の6.7倍からやや高くなり6.8倍だった。

(「国立大の志願倍率、過去最低の4.3倍・今春、文科省発表」(NIKKEI NET)より。強調部分はマイスターによる)

私立高校が受験料を負担して生徒に大学を受けさせ、合格実績を「上乗せ」していた問題は、日本私立中学高等学校連合会が8月末、1300を超える加盟校に自粛を求める事態になった。入学希望者向けの学校案内会のシーズンを迎え、各高校は合格実績を修正するなどの対応に追われている。一方、大学側も、「上乗せ」を許した入試制度に批判が出て、困惑が広がっている。

(略)合格実績の「上乗せ」に使われたのは、大学入試センター試験の成績だけで合否が決まる私大の入試枠だ。受験生は私大独自の試験を受ける負担がないので、多数出願できる。私大側には、国公立志望の生徒を取り込めるうえ、試験会場を設営することなく受験料が入るメリットがある。

センター試験を利用する私大は全私大の8割近くに達する。関西、関西学院、同志社、立命館の関西の有力4私大は今春、センター試験だけで合否判定するタイプの受験料で計13億円近くを得た。

こうした状況もあり、問題発覚後、私立高側からは「センター試験さえ受ければ、お金次第でいくつもの学部・学科を受けられる仕組みが(上乗せの)誘い水になった」などの声が上がった。

これに対し、センター試験を受ければ最大50以上の学部・学科・コースに出願できる立命館大(京都市)の担当者は「出身地や得意分野が異なる学生を集めるのが目的。水増しに利用されたのは想定外だった」。別の私大の幹部は「私立高側の倫理観の問題なのに、大学の入試制度が悪いかのように言われても困る」と反発している。

(「私立高、修正大あわて 大学合格実績『上乗せ』」(Asahi.com)より)

少子化で、国公立大学の志願倍率は過去最低だそうです。

しかし一方で、私立大学の志願倍率は上がっているようです。
わかりやすく言えば、定員に対する受験者の数が増えている、ということです。

それだけを見ると、

「ほぅ、国公立大学の人気は落ちているのか。私大は人気なのか。
 やっぱり、大学改革を激しくやっているからかな……」

などと、すぐに思ってしまいそうになります。

しかし、そう判断するのは早そうです。

そう思うのは、二番目の記事が端的に指摘してくれているように、私大はここ数年、受験機会の拡大を大幅に進めているからです。
それも、センター試験利用入試のように、「センターさえ受けておけば、後は何校エントリーしても労力は同じ」といった、入試スタイルがよく知られるようになってきているからです。

水増しに使われたことからもわかるように、これは、かなりお手軽な出願方法です。

(ちなみにAO入試は、ちゃんと受験しようとすれば、むしろ一般入試以上に手間ヒマがかかる入試です。受験しやすい入試だと誤解を受けていることも多いようですが、大学のリーダーとなる学生を真剣に選ぼうとするのであれば、大学側も受験生側も大変な時間と労力を求められるはずで、その点はセンター利用入試とは逆です)

このようなスタイルが一般的になれば、そりゃあ、「見かけ上」受験者の数は増えます。
結果、志願倍率も上昇するでしょう。

どうも個人的には、報道されている志願倍率上昇の裏には、そういったカラクリがあるように思えてならないのです。

というわけで、ぜひ具体的な数字で検証してみたいところなのですが、残念ながら、私大のセンター試験利用入試がどの位の数の受験生によって利用されているか、示すデータがありません。

■「平成19年度国公私立大学入学者選抜実施状況(PDF)」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/19/09/07092611/001.pdf

↑文部科学省は国立、公立、私立それぞれの大学について、選抜方法の種類ごとに実施大学・学部数や入学志願者数、合格者数、入学者数といった詳細な数字をまとめてくれているのですが、ここであげられている選抜方法の種類というのが、

・一般選抜
・専門高校・総合学科卒業生選抜
・アドミッション・オフィス入試
・特別選抜
  (1)推薦入試
  (2)帰国子女特別選抜
  (3)中国引揚者等子女特別選抜
  (4)社会人特別選抜……という7種類だけで、なぜか不自然にも、「大学入試センター試験利用選抜」という項目だけが、すっぽりと抜け落ちています。

国が実施している試験なんだからむしろ前面で受験者数をアピールしても良いはずなのに、何か批判を集めそうな数字になってでもいるのでしょうか。
例えば、「受験者数だけはべらぼうに多いけど、入学につながっている例は非常に少ない」とか……。

どなたか、この辺りの数字をご存じの方がいらしたら、教えてください。

以上、マイスターでした。

1 個のコメント

  • ええと、一つ忘れていますよ。
    付属校からの入学者がどこに入るのか?
    推薦入試だとは思うのです。どこに入れようとしてもいくらでも誤魔化そうと思えば誤魔化せます。