千葉科学大学 消防署や警察と連携して活躍する学生組織

マイスターです。

朝日新聞出版「2009年度版 大学ランキング」には、学生生活ランキングという項目があります。
各大学が実施している「学生生活実態調査」を比較してみた結果、サークル加入率が最も高いのは、滋賀大学の87.6%だとのこと。その後、明治薬科大学87.1%、日本社会事業大学84.7%、一橋大学77.8%と続きます。

大学には、様々なサークルがあります。
体育会系から文化会系、その他分類不能なものまで、内容は様々。大学によっては、資格の取得などを意識した勉強会のようなサークルもありますね。
サークルが活発な大学には、キャンパスにも活気があるように思います。
大学の特色を表す、個性的なサークルもしばしば見かけます。

さて、今日は、こんな記事をご紹介したいと思います。

【今日の大学関連ニュース】
■「千葉科学大学『学生消防隊』 心熱く地域の防災取り組む」(Asahi.com)

「ホースよし!」「ポンプ水圧3へ!」。濃紺の訓練服姿の隊員たちの動きに無駄はない。今月15日、千葉県銚子市のキャンパス内で開かれた放水披露。規律正しく、きびきびした作業の一つひとつに見学者から拍手が起きた。
防災への取り組みの真剣さはサークルの域を超えている。地元消防団の協力も得て、指揮訓練や体力づくりに日々取り組む全国でも珍しい組織だ。
整備に余念のない2台の消防車は、3年前に銚子市から無償貸与された。出初め式やポンプ操法大会にも特別参加し、技術を磨いてきた。活動が認められ、市消防団との間で昨年、地域防災の覚書が結ばれた。火災となれば出動して交通整理などの協力をし、台風の際も警戒にあたっている。
市消防団の前団長を務めた室井房治監督は「現場で実際に役立ち、リーダーシップを取れる訓練を積んでいる」とお墨付きを与える。危機管理学部3年の大塚祐矢隊長(21)は「今後も地域との結びつきを大事にしていきたい」。
(上記記事より)

千葉科学大学には、全国でも唯一の「危機管理学部」があります。

そんなユニークな特色を反映してか、上記のように、かなり本格的な「学生消防隊」が活動。
学生主体で活動している組織です。

■学生消防隊屯所 @ 防災情報

【千葉科学大学学生消防隊とは】
学生消防隊とは、銚子市の地域防災と「危機管理」学術研究を目指した千葉科学大学の大学生による学生主体の防災組織です。
【学生消防隊誕生の経緯】
千葉科学大学は「危機管理学部」という他の大学には見られない独自の学部を創設しています。
この学部では安心・安全な社会を目指し、また事故・災害が発生した際には的確にその危機に対処できるための知識とリーダーシップを持つ学生を育成することを目的としています。
我々学生消防隊が生まれるきっかけになったのは学生達の「危機管理を学ぶ以上、いまの自分達の力がどのようなものか災害現場で試してみたい」「講義だけではなく実際の災害現場を見てみたい」という意志でした。
そして、そうした学生達が自らの意志を満たすために出した答えは「自分達で自主防災組織を作り上げ、地域の防災に自分達から参加していく」と言うことでした。彼らは「学生消防隊」を名乗り地域防災への貢献を目指して活動を始めたのです。
また、ちょうど同じ時期に大学当局は銚子市より2台の消防車を学術研究のための教材として貸与されると共に消防車を有効利用する方法と管理をする学生を探していました。そこに学生消防隊が自らの活動をより有意義にするために名乗りを上げ、大学当局も消防車の管理・維持を条件に2台の消防車を学生消防隊に預けることになりました。
こうして千葉科学大学学生消防隊は平成16年5月に消防車2台を持つ防災組織として結成されました。
「紹介」(学生消防隊屯所 @ 防災情報)ページより)

消防車を管理・運営する学生組織というのは、全国的にも珍しいのではないでしょうか。

■「活動状況」(学生消防隊屯所 @ 防災情報)
■「災害出動について」(学生消防隊屯所 @ 防災情報)

活動の内容は、上記にまとめられています。
週に一回の活動(訓練)を基本としながら、学内外でのイベントで放水展示などのデモンストレーションを行ったり、地元の銚子市消防団と合同訓練を行ったりしているそうです。

また、火災等の災害が起きた際には、隊員が現場へ向かうこともあるとのこと。
直接の放水活動などを行うわけではなく、地元の消防隊員をサポートしながら、「交通誘導、ホース巻きの手伝い、伝達など」で活躍するそうです。
安全への配慮はしつつ、学生消防隊として可能な範囲で防災に貢献しているようです。

■「銚子市災害情報」(学生消防隊屯所 @ 防災情報)

↑こちらの災害情報も、かなり貴重なものです。
火災などの情報が随時掲載されており、隊員の出動状況も報告されています。
隊員が現場で撮影した画像も貼られていて、マイスターなどはこれを見ただけで、火災の恐さを実感させられてきます。

大学も、訓練の様子をムービーで紹介するなど、この学生消防隊の活躍を全面に押し出しています。

■「動画:学生消防隊」(千葉科学大学)

千葉科学大学にはこの他、「スターラビッツ」という、学生警察支援サークルもあります。
こちらもかなりの本格派で、銚子警察署と、地域安全に関して連携をとっています。

【スターラビッツ立寄所の指定について(平成19年7月20日)】
平成18年5月31日、千葉科学大学学生警察支援サークル「スターラビッツ」、銚子警察署及び千葉科学大学との間で「地域安全に関する覚書」を締結して以来、早一年が経過しました。スターラビッツの活動は先輩から後輩にしっかり受け継がれ、今や13名の隊員たちが、銚子警察署と連携して、ラスト・フライデー・パトロール、犯罪発生場所の分析に基づく自主防犯パトロール、犬吠埼初日の出警戒などの防犯活動を地道に実施してくれています。
そのスターラビッツが、この度、安全で安心なまちづくりのため、学校、コンビニエンスストアー、商店、飲食店などを「スターラビッツ立寄所」に指定し、防犯パトロールの一環として定期的に立ち寄り、不審者や子供の安全、防犯に関する情報交換を行うことになりました。
「立寄所」の発想のヒントは、よくまちで見かける「警察官立寄所」のプレートです。その「警察官立寄所」を模した「スターラビッツ立寄所」のプレートには、活動基盤(パトロールルート等)を確立し、まちの人々に安心感を与え、防犯意識を高揚させたいとする彼らの願いが込められています。やり遂げようとする意志や誇りが感じられます。
彼らの活動は、「犯罪のない安心して暮らせるまちづくり」に貢献する活動として、銚子市から「銚子賞」を受賞をしており、その支援によりプレートが作製されています。
平成19年7月20日、銚子市妙見町の銚子幼稚園でスターラビッツ立寄所の指定式を実施いたしました。大勢の園児、保護者の前で行われた式典で、スターラビッツの面々の士気は大いに高まりました。今回、銚子幼稚園のほか、イシガミ銚子駅前店、セブンイレブン新生店、桔梗屋及び銚子山十商店の5カ所が指定されましたが、今後20カ所程度を目標に徐々に増やしていきたいとしています。
銚子警察署では、今後ともスターラビッツと緊密な情報交換、連携を図りながら地域安全活動を展開してまいりますので、彼らに対し、市民の皆様の暖かいご声援をお願いいたします。
「銚子警察署:スターラビッツ立寄所の指定について(平成19年7月20日)」(千葉県警察)記事より)

この通り、銚子市では、「警察官立寄所」に加えて、「スターラビッツ立寄所」というプレートを掲げた施設が存在するのです。
このプレートがついた施設は、スターラビッツのメンバーがパトロールで巡回してくれるそうです。

この「スターラビッツ立寄所」に指定された銚子幼稚園でも、以下のように紹介されていました。

【平成19年7月20日】スターラビッツ立寄所に指定されました
銚子警察署より当園の防犯対策が評価され、「スターラビッツ立寄所」に指定されました。
「スターラビッツ」とは、千葉科学大学の学生が銚子警察署と連携し、安全で安心な街づくりのため、防犯パトロールの一環として定期的に立寄り、不審者や子供たちの安全、防犯に関する情報交換を行ってくれます。
『スターラビッツのお兄さん、お姉さん、これからもよろしくお願いします」
「防災訓練」(銚子幼稚園)記事より)

いかがでしょうか。
この通り、学生消防隊、スターラビッツともに、学生、大学、地域がそれぞれの活動に協力する形で連携し、様々な取り組みを行っています。

学生の皆さんにとっては、貴重な学び・訓練の場であり、同時に、自分達の手で行う社会貢献でもあります。
上記のように地道な活動ぶりを認められ、公式な活躍の場を得て、市民に感謝されているという事実は、学生の皆さんにとって大きな影響を与えていることでしょう。

火災現場で奮闘したり、町をパトロールしたりする学生の姿は、市民の皆さんの目にとまるでしょう。
例えば「スターラビッツ立寄所」の看板を見れば、「このスターラビッツというのは何だろう?」と、皆が気にするでしょうし、そのうち学生による活動の事実にも気づくはずです。学生も大学も、活動を誇らしく思うに違いありません。
防災分野を志す学生の皆さんにとっては、各種の知識やスキルはもちろん、将来のキャリアに対する意識を形成していく場にもなっているのかなと思います。

地域行政と大学が連携し、大学での学びをより実践的なものにするための環境をつくっているのですね。それが地域貢献にもなっているのですから、良いことづくめです。
こうした活動の結果が、大学の専門性を社会に知らしめることにもつながるわけですから、大学にとってもメリットは大きいと思います。

というわけで、非常に興味深い取り組みだと思いましたので、ご紹介させていただきました。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。