マイスターです。
「大学生」というのは、企業から見ると、ターゲット化しやすいひとつのマーケットです。
自動車の教習所や国内/海外旅行、賃貸物件の斡旋など、明らかに、大学生という顧客のカタマリを狙った商売の仕方をしている企業って、ありますよね。
そんなわけで今日は、そんな事例を2つご紹介します。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「一枚両得!オーシャナイズ『タダコピ』関西の大学進出」(FujiSankei Business i.)
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200709210008a.nwc
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「タダコピ」の名称で大学構内に専用のコピー機を設置し、広告入りで無料のコピーサービス事業を展開しているオーシャナイズ(東京都渋谷区)は、首都圏、東海圏に続き、関西圏の大学で本格的な事業展開に乗り出した。
関西圏の関西大学、大阪府立大学、京都産業大学の3大学で18日に一斉にタダコピのサービスを開始、これにより、昨年4月に首都圏の慶応大学と法政大学でスタートしたサービスは、全国に38大学・54キャンパスに専用コピー機62台を設置するまでに拡大した。
関西圏のサービスとしては今年1月、龍谷大学の瀬田キャンパス(大津市)に試験的に導入していた。サービスが好評なことから、関西圏での本格展開に踏み切った。来年4月までに全国で70台の専用コピー機の設置を見込んでいる。
(上記記事より)
まずはこちらのベンチャー企業。
1年ほど前に記事でご紹介した、「タダコピ」です。
(過去の関連記事)
・学生が立ち上げたベンチャーが、大学のコピー機をタダにした(2006年10月26日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50256891.html
この1年の間に少しずつ営業を拡大していたのか、ついに関西進出を果たすとのこと。
日本中の大学キャンパスを制覇するつもりなのかな、と想像します。
そうなると、また、同社の商売の仕方が変わってきそうです。
電通がテレビCMの枠を牛耳って、広告業界に君臨しているのと同じように、「大学キャンパス」というメディアを制覇する企業として、存在感を発揮するようになってくるかも知れません。
その状態が続くのがいいかどうかはともかく、そうなると広告主の企業も、全国の全大学に対して、色々と大々的なキャンペーンなどを仕掛けられるようになるのではないかと思います。
実際、タダコピを運営する「オーシャナイズ」という企業は、タダコピというメディアの枠を売るだけではなく、企画力でも勝負しようとしているように感じます。
マイスターは以前の記事を書いた後、たまたま、実際にタダコピの営業の方々とお話しする機会を得られたのですが、なかなか面白かったです。
「こんなキャンペーンも仕掛けられますよ」とか、提案してくれたり。
タダコピに掲載される広告自体、エンターテイメント性の高い、ユニークなものが多いです。学生に対するクイズになっていたりして、つい、人に見せたくなる内容です。
そしてタダコピの広告出稿は月ごとですから、毎月、違うデザインの広告を出せるのです。それを利用して、雑誌の連載のように内容を毎月順番に読ませていくこともできます。
企業にとっての、メディアとしての魅力も(今のところは)あります。
うまくすると、大学専業の広告代理店として、これから成長するかも知れませんが、さて、順調に全国制覇できるでしょうか。
さて、大企業も、ベンチャーに負けていません。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「セブン―イレブン、大学構内への出店を強化-2年間で20店計画」(日刊工業新聞 Yahoo!NEWS掲載)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070919-00000030-nkn-ind
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セブン―イレブン・ジャパンは大学構内へのコンビニエンスストアの出店を強化する。19日に東京・目白の学習院大学、10月1日には東京・紀尾井町の上智大学の構内に相次ぎ出店する。
主要顧客となる学生のニーズに合わせた商品やサービスを提供するほか、店内で食べられるようイートインコーナーも設ける。同社は現在、大学構内には早稲田大学などに4店を出店しているが、今後2年間で約20店の出店を計画しているという。
(略)銀行現金自動預払機(ATM)やチケット予約、マルチコピー機など通常店舗で展開するサービスも取り入れる。(上記記事より)
大学生と言えばコンビニです。
というわけでセブンイレブンが、本格的に大学キャンパスへの出店に乗り出すのだそうです。
授業中はお客さんがあまり来ず、休み時間はいっきに混み合うなど、店舗の運営としては難しい面もあるのでしょう。
(だからこれまで積極的に大学キャンパスに出店していなかったのでは……)
しかし、
確実に一定の売り上げは見込める、
顧客層が限られるので、置くべき商品を設定しやすい、
実験的な商品やサービスを提供する場として活用できる、
……などなど、コンビニにとってメリットとなる部分も多そうです。
単なるいち店舗としてではなく、
「大学生のために、店舗を使ってどのような環境やサービスをプロデュースしていくか」
という視点で考えていったら、面白いビジネスになるのかも知れません。
というわけで、なんだか大学キャンパスという場が、注目されているようです。
こう書くと、神聖なキャンパス内が商売の場所として荒らされてしまう、なんて印象を持たれる方もいるかもしれません。
でも、あまり心配しなくて大丈夫です。学生さんや教職員など、キャンパスの皆様にとってメリットが大きいビジネスであれば、自然に生き残るはずです。
教育や研究をサポートしてくれる、素敵なビジネスが生まれることを期待しましょう。(学生さんや教職員が、自ら立ち上げてしまうというのも一手ですよ)
以上、マイスターでした。