指定校合格者に有名大学を受験させていた、履正社高校

マイスターです。

案の定、次々と発覚していますね、「水増し」問題。

(過去の関連記事)
・進学実績PRのため、優秀な生徒に大量出願させていた高校(2007年07月20日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50328826.html

大阪府内の学校を中心に、現在、数校が新たに発覚しています。
ひとつひとつをブログで取り上げることはしません。
なぜなら、キリがありませんし、どうせこれから数十校くらいに増えていくでしょうから。

ところで、報道を見ていてとても気になるのは、「水増し合格」が発覚した学校の校長がお決まりのように言う、

「誤解を受けるといけないので、今後はやめるつもりだ」

という言葉。

報道を見ている限り、誤解ではなく「意図的」な水増し策としか思えないものもたくさんあります。
でも、そこで「誤解」という言葉を使えば、とりあえず、なんとなくその場はもつんじゃないか、みたいなこの感覚。
後ろめたいことをしても、こういう説明をすれば大丈夫なのかと、子供達が学んでしまわないか心配です。
今後の日本を担う若者達には、こういう対応の仕方は真似しないようにしてほしいものです。

さて今日は、そんな「気になる」学校報道の中から、特にひどいと思われるものをご紹介したいと思います。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「大阪・履正社高、『6学部以上受験』誓約書書かせる」(読売オンライン)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20070727p102.htm
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成績優秀な一部生徒の大学受験料負担が発覚した大阪府豊中市の履正社(りせいしゃ)高校(村瀬典弘校長)が、指定校推薦で大学進学を希望する生徒に関関同立の6学部以上を受験するとの誓約書を書かせていたことがわかった。同校は「推薦合格が内定した後も勉強を続けてもらうのが主な目的だ」と実績水増し目的を否定する一方、「学校への恩返しや本人の腕試しの意味もある」と説明している。大阪府私学課は「推薦と引き換えに受験を強制しているなら明らかに行き過ぎ」としている。

指定校推薦は各大学が高校に推薦枠を与え、高校が成績などから生徒を選んで推薦する制度。推薦されるとほぼ100%合格する一方、合格内定後に入学を辞退するのは困難とされる。合否は11月中に決まる。

同校によると、誓約書は校長あてで、5年前から提出させるようになった。同校は毎年9月に推薦枠がある大学を生徒に知らせて希望者を募り、書類選考で推薦する生徒を決める。その際、「関関同立の6学部以上か、国公立大と関関同立で6学部以上を受験する」とした誓約書を提出させていた。

受験するのは原則、一般入試で受験料は生徒側の自己負担。もし合格しても指定校推薦で合格した大学への進学が求められる。

村瀬校長は「ほかの生徒が受験勉強をしているのに一部の生徒だけ進路が決まり、遊ぶのは問題」としたうえで、2007年度入試実績について、29人が指定校推薦で合格したが、うち22人は関関同立などの受験はしなかった、と説明。「受験を強制しているわけではない」としている。しかし、「強制」と受け止める保護者は多く、過去には、生徒側が拒否したのに受験するよう強く求められ、渋々応じたケースもあった、という。

「学校への恩返し」としている点について、村瀬校長は「推薦枠は学校の信頼に対して与えられたもので、それを利用するのだから貢献してもらうという趣旨」と述べ、「努力目標を高く掲げるため、6学部以上の受験を誓ってもらっている」としている。

これに対し、大阪府私学課の岡本富士男課長は「卒業まで勉学に励ませるのが目的なら受験は1学部だけでも事足りる」とし、推薦の条件に多数の受験を義務づけているとすれば問題との認識を示した。

また、同校は、一部生徒の受験料を負担して関関同立を受験させていたことがすでに明らかになっていたが、早稲田大と慶応大を受験する一部生徒について、受験料のほか交通費と宿泊代も全額負担していることがわかった。村瀬校長は「経済的理由で複数受験が難しい生徒が対象だ」としている。

(上記記事より)

指定校推薦を受ける生徒に対して、「関関同立の6学部以上か、国公立大と関関同立で6学部以上を受験する」という誓約書を提出させていたという、履正社高校。

■履正社高等学校
http://www.riseisha.ac.jp/h_school/index.html

その校長によるコメントが報道されているのですが、なんかもう、つっこみどころが多すぎて、どこからつっこんでいいのかわかりません。

「推薦合格が内定した後も勉強を続けてもらうのが主な目的だ」「ほかの生徒が受験勉強をしているのに一部の生徒だけ進路が決まり、遊ぶのは問題」と実績水増し目的を否定しているそうですが、推薦で大学に受かったのなら、大学で勉強したい分野の本を読ませるとか、それについてのレポートを提出させるとか、文章力を鍛えるとか、すべきことがあるではありませんか。

なんで、わざわざ受験勉強に限定するのでしょう。正直、マイスターには意味が分かりません。
受験以外に、勉強の意義を知らない方々が集まって教えている学校なのでしょうか。受験指導以外に、学習指導というものを知らない方々なのでしょうか。

しかも、「関関同立の6学部以上か、国公立大と関関同立で6学部以上」って、なんで難易度や数が、高校側から指定されているのでしょう。
「関関同立の6学部以上か、国公立大と関関同立」イコール、「高校側が受験実績に掲載したいと思っている大学」ですよね、明らかに。

「努力目標を高く掲げるため、6学部以上の受験を誓ってもらっている」とか、「腕試し」とかいう言葉も踊っていますが、受験数を増やすことが、本人の成長に何か関係あるのでしょうか。

この説明で納得する人がいると思っているのだとしたら、かなり問題です。

「学校への恩返し」としている点について、村瀬校長は「推薦枠は学校の信頼に対して与えられたもので、それを利用するのだから貢献してもらうという趣旨」と述べ

というくだりもあります。

指定校で合格を決めた生徒に強制的に受験させ、大学への合格者数を稼いでいる時点で、大学から「信頼」される存在であるとはとても思えないのですが、この学校ではそういうことになっているのでしょうか。

確かに、水増しした合格実績のおかげで、大学からの評価は高まっていたかもしれません。その結果、さらに指定校推薦枠を増やすことに成功したかも知れません。
で、指定校推薦枠を利用する方は、強制的に学校が定めた有名大学を受験させられます。水増しです。

なんだか、合格実績の無限UPみたいな話です。
もしくは、受験実績バブルです。
バレたら指定校枠を消されても文句は言えない、というくらいのことだと思うのですが。

「貢献してもらう」という言葉も、

学校側が「受験を強制しているわけではない」と主張している一方で、過去には、生徒側が拒否したのに受験するよう強く求められ、渋々応じたケースもあった

という、ほとんど脅しに近い形で成り立っている「貢献」です。

とどめはこれ。

早稲田大と慶応大を受験する一部生徒について、受験料のほか交通費と宿泊代も全額負担していることがわかった。村瀬校長は「経済的理由で複数受験が難しい生徒が対象だ」としている。

経済的なことが理由なら、なんで早稲田と慶應だけが対象なの?

たまたま経済的に厳しい方が、早稲田と慶應しか受けなかったのでしょうか。

……とこのように、下手な嘘をついたところで、だれも信じないよという言葉の例でした。

皆様は、真似しないようにしましょう。

以上、マイスターでした。

8 件のコメント

  • いつも興味深く拝見しています.
    大学の複数受験の問題について
    近日騒がれていますが,何が問題なのか
    未だにわかりません.
    不正な手段を使って合格をしたのならともかく
    ちゃんと受験をして合格しているのなら
    何の問題もないのでは?
    高校側が受験料や宿泊費を負担するのは
    高校の広告費用と考えれば問題ないかと.
    高校にとっては合格実績が最大の広告なので
    下手な広告打つよりはよほど効果的です.
    一人が複数の大学を受験して,その延べ数を
    発表するというのは大学受験の世界では
    常識であり,
    何を今さら騒いでいるのか,本当にわからないので教えて頂けますと幸いです.

  • 進学の意思がないのに、大量に合格する
    というのは、その大学に行きたいと思う
    本来の受験生の機会を奪う可能性があり
    ます。
    滑り止めで数校程度ならともかく、
    一人で数十校は、限度を越えていて、
    世間は認めないのではないでしょうか。
    誇大広告と言われても仕方ないでしょう。
    法律に違反しなければ何をしてもいい
    という風潮は問題だと思います。
    教育の場ならなおさらモラルが問われます。

  • あとは、
    > 過去には、生徒側が拒否したのに受験するよう強く
    > 求められ、渋々応じたケースもあった
    こりゃほとんどパワーハラスメントにあたるのではないかと。
    しかもそれを校長自ら指揮して学校ぐるみで行っていたということで、なおさら疑念が深まります。

  • 少子化で大学全入時代、と近年声高に叫ばれていますが、ある特定の大学へ合格することへの
    「お受験」熱は高まっているような印象を受けます。
    このように知名度やブランド力のみで、希望に添わない大学を無理矢理受験させる高校の進路指導のあり方が、
    独自の教育に力を入れ大学それぞれの取り組みを理解し学生へと伝えるべき今の時代と大きくずれているように思えます。
    偏差値で輪切りにし、トップ層の大学に入ることを重んじる時代はとうに終わっている(なぜなら、少子化の影響で同じ人数を受験させればどんなに有名大学でも入学者の学力が下がっていることは間違いないからです)にもかかわらず、
    相変わらずある特定の大学に「●●名合格!」ということに頼り受験生を集めなければいけない、という大学受験のシステム自体に大いなる疑問を感じます。
    (長くなりました、すみません。)

  • 僕も指定校もらって合格しましたけど学校の方針でセンターも受け、さらに国公立も受けるよう学校に圧力を受けています。しかも受ける大学が青森ですよ?鳥取出身なんで青森とかバカですか?って感じです。学校側に不可能だと連絡したんですが、受けて欲しいの一点張りですorz
    学校側が青森までのプラン用意するとか意味不明な「親切?」言ってくるし、同じ大学受ける子と二人で行け場良いとか「配慮?」してくるんですが、正直むかつきます。もう自由登校で学校行く予定ないんで全てスッポカスつもりですが・・・
    学校側がプラン組むあたりに孔明さを感じてなりません。(費用は当然こっちの負担です。)
    また学校側にこちらの旨を伝えようと思うのですが、正直あまりのしつこさに嫌悪感を覚えます。もう一人の青森に行く子は、行くことは強制であって覆らないと思い込まされているようで気がかりでなりません。

  • 最後の早稲田・慶応を受験して経済的に厳しい人というところがありましたが、それに該当する友人が一人いましたが、彼には全くそのような話は来ず、偏差値が5科目で70を超えているお金持ちの子にそのようなホテル代や新幹線代のお話が来てたようです。
    この履正社の説明は明らかに嘘です。
    ただ自分の高校の実績を上げるためだけです。

  • まったく、あの高校は短気な教師が多すぎるだっちゃ。おらも幾度かひどい目にアッとるしなあ!とくに国語のあのすぐに吠えるデブ!そこらの家畜よりも存在価値自分で薄めちゃったいいの?まあ、人間様がコメントすることだからよーーーーーくお聞き!
    それと、体育教官室のだみだみ声の黒オヤジ!てめーを慕う奴なんかだれもいねーんだよ。
    生徒を罵倒してなーーーにが楽しいんだよ!!それよか、履正社は汚いマネしすぎだよ。成績イイ奴に受験料払ってやってそいつが受かれば学校の名が挙がる?ふざけんじゃねーーよ!この先いつまでもそんな古い考えを貫き通してんじゃねーよ!バカたれが!履正社の言ってることはすべて嘘です。大学合格者名簿だって改ざんしてんじゃねーの?まだまだ言いたらねーこといっぱいあるけど、このへんで我慢してやるよ!あーーーばよ!!!