私大中退者、5万5000人

高校生のときは、「建築学科」に入ることだけ早々に決めていたマイスターです。

受験した学科は全部、「建築学科」でした。1校しか受かりませんでしたので、そこに進学しました。できればなるべく「聞こえの良い」大学に行きたいなぁ、なんて思いつつ、でもまぁ、建築が学べればいっかなぁ、くらいの進路選択でした。

高校では1月をすぎると、学校の廊下に、先輩達の名前が「○○大学○○学部合格」という文字とともに短冊状に並んでいきますよね。そんなのを見ていると、「まぁ、少しでも名前の通った大学に合格した方がカッコ良いよな」くらいの自尊心が生まれるものです。
マイスターの受験校選びというのも、つまりはそんな程度のものでした。

今から思えば、とても適当でいい加減な選び方です。でもそのときは、高校の教員を含め、周囲の大人もそれに毛が生えたようなアドバイスしかくれなかったように思います。進路指導でも、「入れそうか、もしくは入れなさそうか」という観点での話しか、聞いた記憶がありません。
自分でも、大学選びというのはそういうもんかなと思っていました。

進学した大学が、たまたま良い建築教育をしていて、居心地も悪くなかったから良かったようなものの、もし肌に合わなかったらどうなっていたんでしょうか。
我慢して卒業まで残り続けたか。それとも他の選択肢を探したか。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「私大中退5万5000人…私学振興事業団全国初調査」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070520ur01.htm
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私立大の中退者の動向に関心が高まっていることから、「日本私立学校振興・共済事業団私学経営相談センター」が、昨年実施した2005年度「学校法人基礎調査」に中退に関する項目を加え、回答をまとめた。

大学院大学などを除く、ほぼすべての私立大550校の中退者は5万5497人。在籍した学生約193万人の2・9%にあたり、国立大の中退率1・6%(内田千代子・茨城大准教授調べ、04年度)を上回った。学年別では、留年などで卒業が困難になった4年生が1万6370人と最も多く、続いて2年生1万6199人、1年生1万2503人。男女別では、男子が4万945人で全体の7割を占めた。

在校生の1割が中退した大学も4校あった。難関大ほど中退率は低く、小規模で定員割れなどの問題を抱える大学ほど学生が定着しない傾向があるという。

理由で最も多いのは、「進路変更」(21%)。本意でない大学に入って満足できず、在籍したまま志望校を目指すケースが増えており、根強いブランド校志向を反映している。「経済的困窮」(19%)や「就学意欲低下」(14%)も多く、保護者の失業などで家計負担に対応できないケースが目立っている。

(上記記事より)

私立大学の中退率、2.9%。
この数字を大きいと捉えるか、小さいと捉えるか。

正直言うと、個人的には「想像していたより小さい」数字でした。
進学率が上昇した結果、本当はそこまで勉強したくもないのに周囲の勧めで大学に行っている、なんてケースが増えているんじゃないかとか、学力が低下して授業について行けなくなった子が増加しているんじゃないかとか、そんな風に想像していましたから。
それに100人いたら、2~3人くらいは合わないと言って出て行っても無理はないかな、なんて気はします。

ただ、気になるのは理由として挙げられている「進路変更」の実態です。
大学で色々な体験をした結果、もっとやりたいことが見つかったから中退、なんてのなら良いのです。が、中には、

「なんとなく選んで受かった大学に進学してはみたものの、面白いと思えない」

「それまで本当にやりたいことを真剣に考えていなかった。受験から解放されて、真面目に考えてみたら、実はもっとやりたいことがあることに気づいた」

「大学での学業や生活についていけない、馴染めない」

「周囲の勧めで受験し入学したが、さらに知名度の高い(世間的に聞こえの良い)大学へのあこがれが捨てきれない」

……といった理由で大学を去る方も多いのではないかと想像します。

高校時点での大学選びを安易に済ませると、そのツケは後で必ず来ます。
生徒本人、周囲の大人とも、「とりあえず、なるべく聞こえのよい大学に合格さえすればいい」という進路選択のあり方を改めなければなりません。

これらの数字、各大学でもっとよく検討してみるといいのではないでしょうか

以上、マイスターでした。

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※中退率というのは、数字をそのまま見ると、少し誤解します。

例えば、毎年全学生の5%が中退しているとしましょう。ある学科が100人いたとすると、1年生の終わりの時点で95人になりますね。
これ、2年生の終わりにはさらに人数が減り、90人くらいになっているということです。3年生の終わりには85人、4年生の終わりには80人近くにまで減少します。なんと、最終的には2割の学生が姿を消しました。
本来なら集められたはずの学費が失われるということですから、大学経営の観点から言っても重大な機会損失です。

(そこで「編入」を推進するわけですね。)