外国語教育に対する各国の姿勢あれこれ

マイスターです。

■「小学校での英語必修化、保護者の7割が賛成・民間調査」(NIKKEI NET)
http://woman.nikkei.co.jp/news/article.aspx?id=20070402ax024n1

上記の記事によりますと、文部科学省が検討を進めている小学校での英語必修化について、

保護者の4人に3人が賛成、90%以上が「英語への抵抗感をなくす」よう望んでいる
(上記記事より)

……ということが、ベネッセ教育研究開発センターのアンケートでわかったそうです。

早期からの英語教育については、教育再生会議でも、色々と議論が進められておりますね。
一方で、日本語を十分に使いこなせていないうちから外国語を学んでいいのか、という懸念も聞かれます。こちらの言い分にも一理あります。

ちなみにマイスターは、小学校のうちから英会話に触れる(?)ちょっとしたレッスンを週一くらいで受けておりましたが、それが英語力の向上に役立ったという気がまったくしません。教える人も、日本人でしたし。
あれが「ネイティブの外国人と英語だけで触れあう」という機会だったら、異文化を知る機会にもなって、またちょっと違ったのかな……なんて気もします。どうなのでしょうね。

■「盧大統領、『英語教育、社会統合への阻害に』」(innolife.net)
http://contents.innolife.net/news/list.php?ac_id=1&ai_id=70933
■「英語教育インフラ構築は未来への投資、盧大統領」(YONHAP NEWS)
http://japanese.yna.co.kr/service/article_view.asp?News_id=2007040600180088&FirstCd=03

↑韓国では、英語が小学校の正規科目になっています。国としてかなり英語教育に力を入れているのですね。保護者の意識もかなり高いらしく(というか若干過熱気味で)母と子が早期から英語圏に「留学」し、父親が国内に残って仕送りする、なんていう家庭も増えているとか。

学校での↓授業の様子も、日本と若干違うようです。

■「日本と韓国で英語教育に携わったネイティブ講師の声 日本と韓国、英語教育の相違点」(AllAbout)
http://allabout.co.jp/study/english/closeup/CU20040807A/

程度の差はあれどの国でも、グローバルに活躍できる人材を育成せよと、英語教育に力を入れてきているのかなと思います。

ところで、元々英語を話している国々の外国語教育はどうなってるんだ? と疑問に思いませんか。

以下、そんな報道をご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「イングランドの小学校で外国語教育を必須科目に」(英語教育ニュース)
http://www.eigokyoikunews.com/news/20070330/12.shtml
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英国のアラン・ジョンソン教育相は12日、イングランドの初等教育(7歳から14歳)において外国語が必修科目となるだろうと述べた。

語学教育の再検討を目指すジョンソン教育相の要請で、ロナルド・ディアリング卿らがまとめた「ディアリング・レポート」で、「外国語学習は初等教育に組み込まれることが望まい」とされており、教育相は「次回のカリキュラム見直し時から外国語学習が初等教育に導入されれば、生徒たちは7年間で外国の知識、自信、経験を得、キーステージ4(14歳から16歳の中等教育)に進むまでには、外国語の十分な知識と関心を育むことができるだろう」と語った。
(上記記事より)

英語というのは、元々イギリスの言葉なわけですが、その本場で、子供達に外国語教育を義務づける動きが進んでいるようです。

イングランドでは元々、中等教育で外国語が必修とされていたのですが、カリキュラムの改訂で一度、選択科目にされたのです。つまりその間は、へたすりゃ一度も外国語を学ぶことなく社会に出るという教育になっていたわけですね。

↓それを裏付けるデータもあります。

■「外国語が話せない英国人――中等教育での外国語履修率、英国はヨーロッパで最低」(JAPAN JOURNALS LTD)
http://www.japanjournals.com/dailynews/070330/news070330_3.html

英国の子供達の外国語履修率は、ヨーロッパで最低だそうです。

確かに、英語が事実上、世界の共通コミュニケーションツールになっている今、英国人が外国語を学ぶニーズはそれほどないのかも知れません。……が、「自分達と違う言葉や文化、発想、感じ方がある」ということを知ったり、「他の国の言葉を学び、それを使って苦労してコミュニケーションをとる」という体験は重要ですよね。
そういった経験こそが、グローバル・コミュニケーションのための必須条件だとマイスターは思います。

かの国でもそう考える方が多かったのか、7歳から外国の知識、自信、経験を得るための教育を行うことになるとのことです。

さて、アメリカではどうでしょうか。

アメリカでは、外国語を学ぶ高校生が、全体の数パーセントしかいないと聞いたことがあります。外国語教育に対する教育熱は低いとか。
そんな姿勢が現在の国際関係に影響を与えているのではないかという反省にたち、ブッシュ政権は2006年、「国家安全保障語学構想」というプロジェクトを発表しました。今後は幼稚園から外国語教育に力を注ぐそうです。

外国語教育に対する関心があまりにも低いので、「安全保障のために」国として浸透を図るわけです。
うーん……やはり、我々とは外国語に対する姿勢がかなり違いますね。「持つ者」と「持たざる者」の認識の違い……のようなものを感じます。

これで、アメリカの人々の、外国に対する見方が変わってくるのでしょうか。

↓こんな、ちょっと不安な記事も見つけました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「元米下院議長、バイリンガル教育を痛烈批判」(CNN)
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200704010010.html
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米大統領選に出馬する意向を表明しているギングリッチ元米下院議長(共和党)は3月31日、バイリンガル教育が「スラム街の生活の言語」だと述べるとともに、選挙の投票用紙に複数の言語を印刷することを求める意見を受け入れない姿勢を示した。

ギングリッチ氏は全米共和党婦人連合の会合で演説し、投票所に現れるとは限らない有権者のために多言語で各種文書を印刷することを止めるべきだとの見解を表明。「米国民は英語が公用語であると信じている。われわれはバイリンガル教育の代わりに英語の集中訓練を導入し、人々がスラム街の生活のことばではなく、繁栄のことばであるこの国の共通語を学ぶようにするべきだ」などと述べ、100人余りの聴衆の喝采を浴びた。

ギングリッチ氏はまた、米国の市民権を取得するために必要な米国史の試験が英語で行われていることを指摘し、英語以外の言語で投票用紙を用意するべきではないと語った。

ワシントンを拠点とするヒスパニック教育連合の関係者は、ギングリッチ氏の発言に強い不快感を表明。「スラム街に住んでいない多くの人々がスペイン語を話している。英語を話さない人々にとってバイリンガル教育が最良の方法であることは、研究で証明されている」とコメントした。
(上記記事より)

マイスターの感覚からすると、ちょっと眉をしかめてしまう内容ですが、これもまた米国社会の一面なのかな、なんて思います。
(日本でも、これと似たような意見を持っている政治家、いそうですし)

長くなってきたので、ご紹介はこの辺にしておきます。

母国語との関係をどうするかで賛否両論だったり、でも一方で国際社会でのプレゼンス低下が心配だったり……。
外国語の教育にあたっては、どの国でもそれなりに悩みが深いようです。

日本の外国語教育、さて、どうなるでしょうね。

以上、マイスターでした。

1 個のコメント

  • > アメリカでは、外国語を学ぶ高校生が、全体の数パーセントしかいないと聞いたことがあります。