マイスターです。
今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【具体的な提案は先送り?】
■「三重中京大廃止説明会 学生ら怒り・不満」(Asahi.com)
廃止が決まった松阪市の三重中京大学と同大短期大学部で25日、学生と保護者向けの説明会があった。約400人の参加者からは、「他大学への編入など進路について検討してほしい」「なぜ入学式直後の今の時期に」など要望や怒りの声が相次いだが、明確な回答はなかったという。
同大広報課によると、説明会は大学と短大に分けて実施し、運営する学校法人「梅村学園」の梅村光久理事長補佐と大学の佐藤昭学長が、廃止になった経緯や今後の運営、在学生の就職やクラブ活動などについて説明。その後の質疑応答では、主に保護者から「入学前に経営は大丈夫と言われたから入ったのに」など不満の声が上がったという。
説明会後、同大2年の男子学生(19)は、「謝ってばかりで編入についての具体的な話はなかった」と納得できない様子。「卒業後『君の大学なくなったよね』と言われたくないので、中京大に編入したい。同じ考えの友達も多い」と話した。別の男子学生の母親(50)は「経営の収支報告など資料がもらえず、本当にあと4年もつのか不安になった。『少子化でやむを得ずすみません』の一点張りで何も約束してもらえなかった」と大学側の説明不足を指摘した。
(上記記事より)
三重中京大学および短期大学部の募集停止については、↓以前の記事でもご紹介しました。
(過去の関連記事)
■三重中京大学、および短期大学部が募集停止
これに関連して、学生と保護者を対象にした説明会が実施されたとのことです。
メディアが参加者に行ったインタビューによると、編入などに関する具体的な話や、学園の経営状況に関する具体的な話について、参加者達から意見や質問が出たものの、学園側は明確な回答をしなかった様子。
その結果、
2年男子学生(19)は「廃止の理由が説明不足で納得いかない。母校がなくなると、就職した後、出身校を人に言いにくくなる。他大学への編入を考えている」と話していた。
(「三重中京大・短大廃止問題:学生らに説明会 「決定が急、説明不足」の声 /三重」(毎日jp)記事より)
……といった声も上がっています。
募集停止したとはいえ、現在の在学生が卒業するまで大学の運営は維持されることになっています。
中京大学への編入も不可能ではないでしょうが、定員の関係や各種のリソースの配分などを考えると学園としては、学生には卒業まで三重中京大学に在籍し続けて欲しいというのがホンネでしょう。
公式に中京大学への編入を打ち出してしまったら、編入希望者が殺到するかもしれませんから、あいまいなまま言葉を濁す対応しか、できなかったのではないでしょうか。
でも、そんな対応をされた学生の側が怒るのは、当然だと思います。
学園は今後も引き続き、説明の場を設けていくとのこと。
最終的に、編入の扱いがどうなるのか、気になるところです。
【大学野球部の合宿を誘致。】
■「大阪市立大が合宿 今夏、野球のまち阿南推進協が誘致」(徳島新聞Web)
野球を通じた地域振興を目指す阿南市で今夏、大阪市立大学野球部が合宿することになった。「野球のまち阿南推進協議会」が、誘致活動を進めていたもので、大学チームの誘致は初めて。協議会は「『野球のまち』を関西圏に売り込む足掛かりとしたい」と話している。
(略)大学野球やプロ野球のキャンプ誘致は、二〇〇七年六月の協議会発足時から取り組んできた事業の一つ。選手とスタッフが一定期間宿泊して練習するため、食事など地域への経済効果が期待できるという。
田上重之事務局長は「野球がやりやすい環境を知ってもらういいチャンス。評判が良ければ他の大学からの申し込みも期待できる」と話している。
(上記記事より)
プロ野球チームのキャンプを誘致する自治体の話はしばしば耳にしますが、今では「大学野球部」も誘致のターゲットになっているのですね。
大学によってはかなりの人数が行くでしょうし、確かにちょっとした経済効果になるのかも。
メディアから注目されるような選手(例えば早稲田大学の斉藤選手など)を擁している場合は、取材のためにメディア関係者も訪れるでしょう。
そうなってくると、だんだんプロチームの誘致と差が無くなってくるかもしれませんね。
【また大学で乱射事件。】
■「アゼルバイジャンの大学で銃乱射、13人死亡」(AFPBB News)
アゼルバイジャンの首都バクー(Baku)の大学構内に30日、銃を持った男が押し入って乱射し、少なくとも13人が死亡した。
事件の詳細はまだ明らかになっていないが、地元テレビ局の報道によると、市内にあるアゼルバイジャン国立石油大学(Azerbaijan State Oil Academy)で午前の授業中、男2人が乱射した。検察当局によると13人が死亡、10人が負傷した。
ANSテレビによると、容疑者のうち1人は自殺した。一方、殺害された犠牲者には学生も教授もいるという。
(略)旧ソ連から独立した国の中でも石油資源に富むアゼルバイジャンで、事件の起きた石油大学は一流大学のひとつに数えられる。
(上記記事より)
また……といっていいくらい、ここ数年、学校での銃乱射事件が続いています。
(過去の関連記事)
■再びアメリカの大学で乱射事件
■米ルイジアナ工科大で銃撃事件
■(ニュースクリップ[-9/28]より) 「フィンランドの学校で銃乱射、10人死亡 容疑者自殺 」(CNN)
1999年のコロンバイン高校の銃乱射事件はあまりにも有名ですが、2007年、バージニア工科大学で、それを上回る規模の惨劇が発生。
このバージニア工科大学の事件以降、アメリカを中心に、各地で学校での銃乱射事件が続いているように思われます。
誰にでも銃が入手できてしまう環境など、色々な要因が絡んでいると思いますが、なんだか嫌な流れです。
【有名クリエイターの「偽物」が大学で講義?】
■「有名アニメーターの偽物 大学で講義 カラーが注意喚起」(animeanime.jp)
『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』などの製作で知られる株式会社カラーは、同社に所属するアニメーター本田雄(ほんだ たけし)氏の経歴を詐称する人物についての注意喚起を公表した。
(略)情報によれば、2001年4月から2009年1月までの間、東京杉並区の女子美術大学芸術学部メディアアート学科で、本田雄の経歴をあたかも自分の業績のように発言し講義をした本田健(ほんだ・たけし)という名前の非常勤講師がいたという。
この本田健(ほんだ・たけし)と名乗る人物は、本田雄という名前はワーキングネームであり、現在アニメーターとして活動中の本田雄氏は自分の弟子で、名前と経歴は自分が譲ったと発言した。さらに『千年女優』制作途中で今敏監督とトラブルがあって降板したとも述べたという。また、尚美学園大学でも、同様の講義を行なった可能性がある。
カラーはこうした発言が全くの事実無根であること知ってもらい、今後も同様の被害が起こることを防ぐため今回の公表に踏み切った。そのうえで学校関係者に対して注意を呼びかけている。
カラーの公式サイトでは、女子美術大学による経緯の説明と、同大学とこの元非常勤講師による謝罪書も掲載されている。
(上記記事より)
珍しいニュース。
この株式会社カラーによる説明が、以下にありますので、ご興味のある方はご覧ください。
■「最新情報: 弊社所属のアニメーター・本田雄に関しまして」(株式会社カラー)
とんでもない人物が大学で教えていたようです。
皆さんもどうぞお気をつけ下さい。
【行動派。】
■「女子大生が飢えに苦しむアフリカの孤児院を購入」(らばQ)
イギリスの女子学生がタンザニアの孤児院へ、昨年の夏に8週間のボランティアをしに行きました。
そこで彼女は、ほとんどが親をエイズなどで亡くしている子供たち150人が、脱水症状や飢えに苦しんでいるのを目の当たりにしました。
そして彼女のとった行動とは…。
エイミー・ランバートさん24歳はイギリスのBath Spa大学の学生です。
心理学を専攻していますが、ボランティア活動で心打たれた彼女はイギリスに帰って寄付金を募り始めました。
たった7ヶ月で3万ポンド(約420万円)を集めた彼女は、チャリティなどに送金する代わりに、自分が孤児院を購入できないかと申し出たのです。
今年大学を卒業し、7月には孤児院を運営するためにタンザニアに向かうそうです。彼女は子供たちのことを、今まで見たこともないくらいとても美しく無垢な子供たちであると伝えています。
そして自分が何もできず無力だと感じたそうです。彼女はこれから子供たちを教育する学校や、作物の収穫方法を教えることを考えています。
(上記記事より)
大学で学びながら、途上国の支援に関わったり、NGOなどを立ち上げたりする例はしばしば耳にします。
「学校づくり」のために資金を集めたり、教育環境の整備を支援する活動も、様々な団体が行っています。
ただ、この学生さんのアプローチの仕方は大胆です。
学生の段階で、いきなり「自分が経営者になって孤児院を運営する」なんて発想、なかなか出てこないのではないでしょうか。
■「Big-hearted Amy buys African orphanage」(thisisbath.co.uk)
↓こちらが、寄付を募っているページ。
■「Kichijo:Donations」
もしこのエイミー・ランバートさんが孤児院の経営者として素晴らしい成功をおさめられたなら、さらに第二、第三の孤児院が彼女によって救われることになるかもしれませんね。
以上、今週のニュースクリップでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。