アメリカの有名大学、電子ブックリーダー「Kindle」を導入

マイスターです。

最近、大学関連のニュースを見ていて、ちらほらと見かける名前があります。
それは、「Kindle」。
皆さんは、ご存じですか?

【今日の大学関連ニュース】
■「プリンストン大学、『Kindle』版の教科書を提供へ」(毎日jp)

Amazon.comの電子ブックリーダ「Kindle」を採用する名門校がまた増えた。
「Christian Science Monitor」紙の報道によると、プリンストン大学が2008年秋からKindle版の教科書を提供すると発表したという。
Kindle向けの教科書を作るのは、イェール大学、オックスフォード大学、カリフォルニア大学バークレー校に続き、プリンストン大学が4校目となる。米国には約2500校の4年制大学があり、Amazon.comにとってはまだまだ先の長い道のりだ。
だがKindleは、他の年齢層よりも大学生に対する訴求力が強いはずだ。
(略)本を大量に読まなければならない大学生にとって、重い荷物から解放してくれるKindleはありがたい存在かもしれない。総重量10.3オンス(約292g)のKindleにはおよそ200冊分の書籍を保存でき、5kg近くにもなるような何冊もの教科書を持ち運ぶ必要がなくなる。
必要なテキストを探すのに、いちいち本のページをめくらなくても、Kindleの検索機能で即座に見つけることができる。さらに、テキストの強調表示や注釈の書き込みも可能だ。
(上記記事より)

「Kindle」というのは、米Amazon.comで発売されている、電子ブックリーダ。
↓こちらにその紹介があります。

■「Amazon、ワイヤレス機能つき電子書籍リーダー『Kindle』発売」(ITMedia NEWS)
■「『ペーパーバックより軽い』:アマゾン、電子ブックリーダ『Kindle』発表」(CNET Japan)

今まで様々な企業がこの類の製品を発表し、そのどれもが、いつの間にか消えておりました。
使い勝手が悪かったのか、こういった端末で本を読む気にはなれないと思う人が多かったのか、コストに見合う買い物だと思われなかったのか。理由は色々とあるでしょう。

そんな中で、「本のためのiPod」というコンセプトでAmazon.comが発表したのが、このKindle。
Amazon.comの利用者の多さなどを背景に、少しずつ認知度を高めているところのようです。

価格が高い、デザインがいまひとつ、カラー表示ではない……などの批判もあるようですが、しかし「ペーパーバックより軽い」という持ち運びのしやすさや、多数の書籍を持ち歩ける点、オンラインで書籍購入可能、新聞の自動配信(有料)、無料でWikipediaに接続可能といった優れた点も備えています。

さて、こういったKindleの特徴に注目した大学が、Kindleで大学の講義で使用する教科書を販売し始めた、というのが冒頭の記事です。

確かに、大学生は多くの書籍を持ち歩かなければなりません。
(日本もそうですが、毎回、授業に備えて大量の本を読むことを指示されるアメリカはなおさらでしょう)
単純に、重さから解放されるという利点は大きいです。

↓その辺りを指摘するブログもありました。

■「Kindle が大学のテキストに使われ始めている件」(シロクマ日報)

また、Kindleで購入する場合、通常より安い価格で買うことも出来るはずです。
以前ニュースで、アメリカでは、学生は1人当たり年間900ドルという教科書代を支払っていると読んだことがあります。安くはありません。
(最初に高い端末を買う必要はありますが)そんな費用を少しでも抑えられるのであれば、大学生にとってKindleのメリットはあるでしょう。

逆に言うと、教科書ビジネスの構造が、このKindleによって少し変わるかも知れません。
アメリカの大学教科書産業の市場規模は60億ドルに上ると聞いたことがありますが、それを崩壊させるようなビジネスモデルでは、業界の方々は誰も協力しないでしょう。

上記の「シロクマ日報」では、使わなくなった教科書を後輩にあげる(もしくは安く売る)ということがKindleでは不可能なので、出版社にとってはむしろ機会損失を防ぐことになるのでは、と指摘されています。なるほど。

おそらくAmazon.comも、ひと勝負かける勢いで、各大学にこのKindleを熱心に売り込んでいるのでしょう。それが、冒頭で述べたような、名門大学のKindle導入に結びついてもいるのだと思います。

(こういった端末は、対応する授業が少ないと学生にとってのメリットがありませんから、大学単位で導入に励まないと流行らないのだと思いますし)

しかし多くの大学が導入し、コンテンツがそろっていけば、大学で普及する可能性はあります。

日本でのKindleの発売については、今のところ未定だそうです。
発売されたら、導入する大学が現れるのでしょうか?

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。