ニュースクリップ[-10/14]「札幌で来夏、主要国大学学長会議 環境テーマに世界へ提言」ほか

マイスターです。

今週も日曜日になりましたので、恒例のニュースクリップをお届けします。

世界学長サミット。
■「札幌で来夏、主要国大学学長会議 環境テーマに世界へ提言」(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/education/54514.html

来年七月の北海道洞爺湖サミットに連動し、北大など国内の主要大学が「世界学長サミット」を計画していることが十一日、分かった。時期は洞爺湖サミット前の来年六―七月で、開催地は札幌が有力視されている。G8各国の主要大学を中心に世界三十―五十の大学の学長が参加、環境や教育などをテーマに議論を交わして宣言文を採択し、主要国首脳に学術界からの働きかけを行う場になりそうだ。
(上記記事より)

詳細はリンク先をご覧ください。

この動きに関しては、一ヶ月ほど前から、北海道洞爺湖サミットにあわせた「G8大学長サミット」の開催を、国が計画しているという報道がありました。
↓以前から、こんな報道まで出ていたほどです。

■「『学長サミットを広島で』秋葉市長が国に要請へ」(Iza!)
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/localpolicy/83014/
■「『G8大学長サミット(仮称)』の広島開催等についての要請」(広島市)
http://www.city.hiroshima.jp/www/contents/0000000000000/1189470945362/index.html

今回の報道を見ると、

北大や東大などが既に発起人会を発足させており、国内の参加大学とともに十一月上旬に実行委員会を設立、開催地を正式決定する

……と、いつの間にか少し主語が変わったようです。

そのあたりはともかく、サミットにあわせて世界の学長を集め、宣言文を出すというのは、日本の発信力をアピールする上で、いい計画だと思います。
(広島市にとっては残念だと思いますが、個人的にはやはり首脳会議と同じ北海道で開催する方が、インパクトは大きいように思います。)

特に今回は、サミットの主要テーマが「環境」だということですから、日本の大学から世界に伝えていきたいことも、たくさんあることでしょう。
京都議定書に続き、象徴的な会合として、国際的に発信していきたいところです。

日本の大学人達のプロデュース力が問われるときですね。

博士いりませんか?
■「博士売り込み大作戦 就職応援の催し、各地で」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/university/zennyu/TKY200710010288.html

国の政策で急増したものの、就職先がなかなか見つからない博士の就職を支援する動きが広がり始めた。狙いは民間企業だ。大学や学会が「お見合い」の場を設けたり、民間の人材紹介会社が参入したり。1万5000人を超えたポスドク(任期付きの研究職に就いている博士ら)の高齢化、就職難による「博士離れ」に直面し、文部科学省も動き出した。

(上記記事より)

大学院生、特に博士課程の就職問題については、これまでも様々なニュースをご紹介し、考えを書かせていただいてきました。

(過去の関連記事)
・大学院生に特化した職業紹介会社 (2006年12月15日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50272393.html
・「第三新卒」という言葉から思うこと (2006年12月16日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50272411.html
・大学院生のためのフリーペーパー「アカリク」 (2007年05月14日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50312676.html
・「銀行の窓口業務に博士はいりません」 韓国の報道から(2007年03月28日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50272411.html
・大学院生の就職活動、早すぎる? (2007年09月28日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50346361.html

以前から、博士号取得者をビジネスで活かせる社会でなければもったいないと思っていた人はいたと思いますが、そうは言っても企業や大学側の意識はなかなか変わりませんでした。

しかしここ数年、国策で大幅に大学院生を増やした結果、進路に困るポスドクが大量に発生。
そんな(予測できていたはずの)非常事態がいよいよ起き、彼らをどうしようかという危機感から、企業や国、そして大学も、ようやく動き出したということではないかと思います。

街と関わろうとする、ポートアイランドの大学生達。
■「神戸・ポーアイ 4大学が地元貢献 清掃や交流」(読売オンライン)
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20071013p102.htm

神戸市沖の人工島「ポートアイランド」(ポーアイ)で、相次いで進出してきた4大学の学生と地元住民の交流が始まった。1981年に博覧会「ポートピア」で華々しく開島し、当時は〈未来の都市〉とも思えたポーアイ。四半世紀が過ぎ、その間、阪神大震災に遭ったほか、集客施設の撤退などで街は様変わりした。住民の高齢化も進む一方だが、活気を取り戻そうと、4大学は連携して地元に貢献していくことを決め、島外から通う学生らが積極的に地域活動に協力。住民にも震災体験を語り継ぐなどの動きが出始めた。若い力が加わって、島は変わろうとしている。

(上記記事より)

詳細はリンク先をご覧ください。
おぉ、と思う取り組みが、学生の皆さんの中から生まれているようです。

大学の設置自体、地域の活性化につながると思います。
でもそれだけではなく、以前からの住人の方々から「大学が来てくれてほんとうに良かった」と思ってもらうためには、やはり「人」が地域にとけ込むことが大事なのですよね。
そんなことを、改めて思わせる報道です。

体育→ウェルネスへの動き。
■「大学で『体育』復活、再び『必修』の動き」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20071010AT1G0902N09102007.html

「体育」を必修科目に格上げする大学が増えている。体育を必修にする大学の割合は1990年代に5割を切ったが2005年度には71%にまで回復。ウオーキングやヨガなど学生の志向に合わせて種目も広がっている。運動不足に加え、コミュニケーション能力が低い学生が増え、「身体だけでなく心の健康づくり」に体育を役立てようという大学側の期待も背景にある。

(上記記事より)

大学設置基準の大綱化以降、体育科目を必修にしない大学も増えてきていた……と思っていたのですが、ここに来て、体育が注目されているようです。
ただし「体育」とは言っても、その内容は従来のものとは少々違うようで、競技・スポーツだけではなく、健康維持などに主眼をおいたカリキュラムが最近の流行(?)のようです。
「体育」ではなく、「ウェルネス」といった授業名称を用いる大学も、増えているのではないでしょうか。

■「2007年度春学期 SFC体育 時間割」(慶應義塾大学)
http://wellness.sfc.keio.ac.jp/2007S/timetable2007S.html

↑その一例がこれ。スカッシュやダンス・パフォーマンス、護身術、自律訓練法などユニークな内容が並びます。
なんと「気功」なんてのも!

個人的には、大学でわざわざ体育科目を学ぶのであれば、高校までとは異なる性格のものであった方が意義があるのではと考えます。
ですので、このような「ウェルネス」も、いいんじゃないかなと思います。

(こういったカリキュラムの変化は、大学の保健体育科の教員の方々が、大学内での役割を失わないよう必死に工夫した結果なんじゃないかな、なんてちょっと思ったりも。)

イスラム聖職者がカトリックの大学で学ぶ?
■「仏カトリック大学、イスラム聖職者教育に適応教育」(worldtimes.co.jp)
http://www.worldtimes.co.jp/news/world/kiji/071006-173412.html

フランスのイスラム教最大規模のパリ大モスクは5日、イスラム聖職者の教育の一環として、カトリック大学内で研修を行うことで大学側と合意したことを明らかにした。フランスでは、イスラム教導師イマムがフランスの文化や歴史、社会システムを理解していないことが、イスラム教徒の同化の妨げになっているとの認識が政府によって指摘されている。

パリ大モスクのダリル・ブーバクール教区長は、今回の合意について、カトリック大学での研修は、あくまでフランスの歴史、法律、宗教、文化を学ぶもので、イスラム教の教義は含まれないとしている。サルコジ仏大統領は、フランスの文化を含む「共和国の価値」をイマムも理解する必要があることを指摘している。

(上記記事より)

記事のタイトルだけ見ると、なんだかアタマが混乱しそうです。

要は、「イスラム教の指導者の皆さんに正しくフランスの文化や社会システムを知ってもらわないと、フランスで暮らすイスラム教徒の人々が、いつまで経ってもフランスになじまない」、ということのようです。
たまたま、指導者の皆さんに学んでもらうための場所が、カトリック大学だったということですね。
(でもこれって、教えるのはやはりカトリック大学の教師陣なのでしょうか。だとすると、「キリスト教的精神に基づく教育」ということになるのでしょうか……)

特にヨーロッパでは、移民の増加によって、地域の中に異文化なコミュニティが生まれることがままあります。
ドイツでも、トルコ系などのイスラム教徒のコミュニティが大きくなり、「公立学校でキリスト教を教えるなら、イスラム教についても教えろ」なんて動きが起きていると聞きます。
そういったコミュニティの人々をどのように扱うかは、国の教育政策にとって大きな課題です。

日本の大学にもそのうち、海外からの移住者を教育する機能が期待されるようになるんじゃないかと、マイスターは思います。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログをごひいきにしていただき、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。