ニュースクリップ[-3/18]「地方国立大『存続ムリ』競争型の交付金案牽制」ほか

マイスターです。

日曜日になりましたので、今週も毎日個人的にクリップしていたニュースの中から、いくつかを選んでご紹介したいと思います。

科研費の取得実績にあわせて運営費交付金を配分?
■「地方国立大『存続ムリ』競争型の交付金案牽制」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0317/TKY200703170284.html

日本の半分の県から国立大学が姿を消しかねない――。国立大への国の運営費交付金の配分方法について、経済財政諮問会議の民間議員が「競争原理の導入」を提言したのに対し、文部科学省がこんな試算をまとめた。国立大の危機感を背景に一定の前提を置いて計算したもので、諮問会議側を牽制(けんせい)する狙いがあるとみられる。

発端は、日本経団連の御手洗冨士夫会長ら民間議員4人が2月末の諮問会議に出した提言。運営費交付金が、学生数や設備などに連動して配分されている現状に疑問を投げかけ、配分ルールについて「大学の努力と成果に応じたものに」などとの改革案を示した。
(略)文科省は、競争原理を導入した際の各大学の交付金の増減を試算した。研究の内容や成果に従って配分されている科学研究費補助金(科研費)の05年度獲得実績に基づいて計算すると、全87校のうち70校で交付金が減り、うち47校は半分以下となって「経営が成り立たなくなる」(文科省)との結果が出た。国立大がなくなるとされたのは秋田や三重、島根、佐賀など24県。私立大も少ない地方が多く、地元大学への道が狭まりかねないとする。
(上記記事より)

科研費の獲得実績をベースにして、国立大学への運営費交付金に差をつけると、上記のような結果になるという、文科省の試算です。

現在出ている運営費を研究成果だけで機械的に再分配したら、そりゃあ一部の大学に偏ると思います。でも国立大学は別に研究だけ求められているわけじゃありませんよね。
個人的には、何らかの競争要素を入れることは大事だけれど、でも別に科研費だけで差をつける必要はないんじゃないかな……と思います。

教員養成系学部、受験者減少。
■「教員養成 志願者減…今年大学入試」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070316ur01.htm

今年の大学入試で、教員養成課程を目指す受験生が減少している。いじめ問題や学級崩壊など、教育現場が様々な厳しい問題に直面している上、教員免許の更新制が議論されていることなどから、「教師という職業自体が敬遠されているのでは」と、大学、予備校関係者は心配している。
(上記記事より)

このように、教員養成系学部の志願者が減っているそうです。
記事では、いじめや必修科目の履修漏れ問題など、教育現場に関する厳しい話題が相次いだことが原因ではないかという声が紹介されています。
また、

前期日程の倍率が昨年の7・2倍から3・8倍まで下がった鳴門教育大(徳島県鳴門市)。秋山英治入試課長は「『厳しい仕事で子供に苦労をさせたくない』という保護者の意向が大きい」と話す。中央教育審議会などで議論されている教員免許の更新制なども、保護者にとっては気がかりで、「先行きが不透明で、受験生離れに拍車をかけている」と指摘する。
(上記記事より)

……と「保護者の意向」を指摘する見方も。

親心というのはなかなか不思議です。例えば普段、世の中の公務員に対して厳しい目を向けているわりに、我が子に望む職業ランキングは毎年「公務員」が第一位だったりします。子を想う親の心は論理では測れない、ということでしょうか。
日本の教育再生を望みながら、我が子には教員になって欲しくないというのも、そんな親心の表れなのかも知れませんが……個人的には、いっそう日本の教育の未来が暗く思えてしまいます。

宇都宮大(宇都宮市)教育学部の中村清学部長は、以下のようにコメントしています。

「教師が自主性を持って、子供とじっくり向き合える時間が持てるよう、教育現場が変わることが望ましい。教師は、子供の成長を見守る仕事で、やりがいがある」
(上記記事より)

まったくその通りだと思います。

ちなみに学部の危機に反して、↓教員養成大学院はなんだか盛り上がっています。

■「『教職大学院』来春から続々」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200703120025.html

このように、必ずすも悲観的な話題ばっかりではないのが救いです。

付属校の話題、続々。
■「龍大、平安中高を付属に 08年4月『囲い込み』激化」(京都新聞)
http://www.kyoto-np.co.jp/article.php?mid=P2007030600185
■「関西大学、センバツ出場の北陽高校を併設校に」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200703150096.html
■「西南学院が小学校構想 2010年春開校目指す 幼稚園-大学 一貫教育可能に」(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20070317/20070317_003.shtml
ここ何ヶ月か、大学の付属校に関するニュースをよく見るような気がします。
それもなんとなく、関西の話題が多いような……。

余力のあるうちに足場を固め、ライバルよりも競争力をつけておきたいという思いが、付属校の拡大に拍車をかけているのでしょうか。

なんだか怪しい流れに……。
■「他大学でも不明朗取引 科研費詐取厚労省技官 同様手口で数百万円」(北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/Php/kiji.php3?&d=20070312&j=0022&k=200703121965

厚生労働省の科学研究費補助金詐取事件で、同省医系技官で埼玉県保健医療部長の中村健二容疑者(49)が、逮捕容疑とは別の大学の研究でも、医療関係機器販売会社「マルクインターナショナル」を使い、同様の手口の不明朗な取引をした疑いのあることが十二日、関係者の話で分かった。

マルク社の口座には、複数の研究者からとみられる約三千万円に上る入金があり、警視庁捜査二課は金の流れについて、中村容疑者と、同社の実質経営者で北朝鮮支援組織「レインボーブリッヂ」事務局長の小坂博幸容疑者(54)を追及している。
(上記記事より)

メディアを賑わせている詐欺事件に、大学も登場してしまっているようです。皆様のところは大丈夫でしょうか、ご注意ください。

それにしても、ひどい事件ですよね……。

イギリスでも、大学の専攻次第で所得格差が。
■「生涯の総収入、大学の履修コースによって30万ポンド以上の差!」(japanjournals.com)
http://www.japanjournals.com/dailynews/070314/news070314_2.html

タイトル通りの内容です。記事によれば最高額の収入を得られるのは科学・エンジニアリング関係を専攻した学生(医学系含む)だとか。
30万ポンドというと約6,000万円。かなりの額に上ります。

そう言えば『理系白書』では、日本でも文系出身者と理系出身者との間で、生涯賃金に最大5,000万円程度の差がつくことが指摘されています。イギリスでも事態はあんまり変わらないようです。

もっともアメリカのように専攻次第でもっと大きな差が付く国もあると思いますので、今やこれくらいは驚くに値しないのかも知れません。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。

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※近々ブログでちょっとした発表をする予定ですが、あんまりビックリしないでくださいね。
と、先にお願いしておきます。