いっぱいある、大学編入のための専門学校

マイスターです。

最近は専門学校に、↓こんなコースがあるのをご存じでしたでしょうか。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「清風情報工科学院 総合編入学科」(清風情報工科学院)
http://www.i-seifu.jp/human/index.html

「大学編入コース|国際ビジネス学科」(ECC国際外語専門学校)
http://hello.ecc.ac.jp/kcfl/course/colleges/

■「ECC編入カレッジ」(総合学園ECCカレッジ福岡)
http://www.ecc-fukuoka.com/admission/index.html

■「カレッジ科:大学編入コース」(福岡カレッジオブビジネス)
http://www.fcb.ac.jp/course/college/index.html

■「日本外国語専門学校の大学編入システム」(日本外国語専門学校)
http://www.jcfl.ac.jp/transfer/transfer.html

■「大学編入分野 カレッジ科」(麻生情報ビジネス専門学校)
http://www.asojuku.ac.jp/abcc/field-cl.html
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はい、上記のいずれも、専門学校による「4年制大学への編入を目指すコース」です。
中には短大の通信教育などと連携し「短大卒」としての編入を目指すところもあるようです。

「大学に編入する」という選択肢を取り上げる本が書店の受験コーナーに増えてきたなぁ、という印象は以前からなんとなく持っていました。
でも、大学編入を主目的とした専門学校がまさかこんなにあったとは、想像しておりませんでした。
(上記は、Googleでちょっと検索して見つかった分だけですから、日本全国には同様の機関がもっとあるのだと思います)

上記の各webサイトをざっと見た感じの印象で言いますと、全体として、以下のようなことが「売り」とされているようです。

○浪人するのと違って最短4年間で大学に卒業することもでき、同級生達に後れを取らない。

○編入の場合、センター試験で多くの科目を科されることもないので、無駄なく効率的に対策が立てられる。

○一般入試で受験する場合と比べて、ランクが上の大学を目指せる

○ただの編入予備校ではなく、「有用な資格」の勉強もすることができる

もちろん、学校によって色々と差はありますが、宣伝の核となっているのはおおむねこんな感じの内容です。
「受験に失敗しても大丈夫!」といったキャッチフレーズも目立ちます。

こういった専門学校の中には、かなり昔から編入指導を行っていたところもあるようですが、しかしやはり、市場として盛り上がってきたのはここ数年のことじゃないかなと思います。

どうして今、編入なのか。

おそらく色々な理由があるのでしょう。

●入試の多様化がすすみ、また編入についての情報が広まったことで、「編入」に対する抵抗感が薄れてきた

かつては大学入試と言えば基本的に「決められた科目による学力試験」でした。編入というのはかなりマイナーな選択肢であり……というかそもそも選択肢として思いつく人が少なかったんじゃないかと思います。
それが今では、編入のメリットを紹介する書籍等も多数刊行されているという状況です。今でもマイナーな選択肢であることは確かですが、しかし、選ぶ側の抵抗感はかなり薄れてきたんじゃないかと思います。
AO入試など「学力以外」で選抜する入試が広まったのも、編入に対する抵抗感を減らす一員になっているような気がします。

●ある種の合理主義(?)が浸透してきた

日本では最終的に卒業した大学の名称がモノを言うらしい

→大学受験に失敗しても、編入で有名大学に入れれば問題ない/編入するほうが一般入試より簡単なので、より知名度の高い大学に入れる

→編入は合理的な選択だ

といった思考をする方が増えてきたのかも知れません。最近では「学歴ロンダリング」なんて言葉もありますけれど、ある意味、とても合理的と言えば合理的な考え方ではあります。
また編入だとセンター試験のように多くの科目を勉強しなくてもいい、なんていう点も、「無駄がない」ということで受験生に好まれているようです。

●大学が、編入生を積極的に求めるようになった

ご存じの通り少子化で受験生が思うように集まらない大学……。その上大学によっては、入って1年以内で退学してしまうような学生が増えていたりします。
在学生がやめてしまう分、編入生をとりたい。そんな思惑が、大学側の方にもあるのかなと思います。

……などなど、おそらく様々な理由があるのでしょう。

そんなわけで、「編入」のための専門学校がこんなに増えているようなんです。

でも率直に言って、こうした編入のための専門学校には、違和感も覚えます。

大学側にとって編入というのは、「欠員を補充する」という目的に加え、「多様な学生が学ぶ環境を作りたい」という意図もあるのです。

例えばマイスターが建築学科の学生の時も、短大や高専、他大学の文学部などから編入してきた方が何人かいました。あれこれと迷った末に「やっぱり建築がやりたい!」と決意して編入してきた彼等のモチベーションや知識のバックグラウンドはとても刺激的で、課題で設計した建築のデザインでも、彼等には何かちょっと光るものがあったように思います。

でも、最初から

「有名大学への編入を目指そう! 無駄のない効率的なカリキュラム!」

「国立大学も、編入ならセンター試験は不要なので、対策が立てやすい!」

「他の学生が1~2年生で教養の授業に明け暮れている間、こっちは就職に役立つ資格の勉強をしながら編入して、差をつけちゃおう!」

……といった謳い文句の専門学校を経由して編入することを考えられていたら、そういった大学側の意図は損なわれてしまうような気がします。
専門学校によっては、「関関同立選抜クラス」みたいな対策コースを持っているところすらありました。これでは一般受験と同じで、わざわざ編入で学生を採る意味がありません。

各校のカリキュラムを見てみても、正直言って編入対策(+資格の勉強)の枠を出ないものが多いように感じられます。大学が求めている編入生はこういう人材ですかと問われたら、マイスターはうーん……と考えてしまいます。

(もっとも、そのあたりは専門学校によっても違うでしょう。探せば中には、専門に関わる教養科目を独自に教えて学生をみっちり鍛えよう、という野心のある学校だってあるかもしれません)

また単純に、編入という選択が合わない学生もいると思います。4年で完結するカリキュラムの途中から入るわけですから、大学によってはかなりの無理をすることにもなるでしょう。それに大学のサークル活動なども途中からになります。
たくましく学生生活を楽しめる学生はいいでしょうが、適応できずに悩む方だっているのではないでしょうか。安易に「有名大学を卒業できるよ!」といって編入での入学を勧めるのは危険では……と個人的には思います。

ただ、受験生やその保護者の身になって考えれば、こうした専門学校が人気を集めるのもよくわかります。
資格対策もできて、無駄のない対策で国公立をはじめとした有名大学に入れるチャンス。しかも他の同級生と同時に大学を卒業できるから、時間やコストの上でもロスを抑えられる。
これは、商品としてはとてもよくできていると思います。今後こういった選択肢がよりメジャーになっていくかも知れない……そんな気にもさせられます。

大学としては、こういった専門学校をどのように考えたらいいのでしょうか。

以上、マイスターでした。

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(過去の関連記事)
・1期生全員資格得られず 仙台福祉専門学校保育学科
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50290784.html

6 件のコメント

  • はじめまして、ミナベと申します。この記事を読んでいて、帰国生徒入試を狙って自分の子どもに海外留学をさせた親御さんを思い出しました。当時まだ中学生だったお子さんはお世辞にも成績が良いとは言えなかったため、子どもの大学入学を考えた親は、一般入試よりも入学しやすい帰国生徒入試で有名大学に入学してもらおうと考えたわけです。留学させるというのはけっこう大変なことですから、なかなかまねできない荒業ではありますけれども。
    編入学について言えば、大学職員をしている私は幾人かの学生がより偏差値の高い大学学部に編入学で流出してしまうのを見ると、経営の視点から危機感を感じる部分もあります。

  • 学生が集まらない(いわゆるFランク)
    大学や、専門学校の学生のほとんどが
    留学生(主に中国)です。
    学問や技術を身に付けたいというより、
    日本で働くことが第一目標である学生が
    かなりの割合を占めます。
    この学生が就職活動に失敗した場合、
    ビザの関係で帰国するしかありません。
    そこで、大学へ編入をすることで
    再び留学ビザを取得できるということ
    になります。
    酒田短大同様、学生の9割を留学生が
    占める専門学校はざらにあり、就職で
    きる学生が半分、残りは大学編入です。

  • たびたびすいません。
    もちろん、全ての専門学校がそうでは
    ありません。念のため。
    ただ、学生が集まらない学校ではこの
    ような経営努力(?)をしているので
    大学全入時代で日本人学生が集まらな
    くても、中国人留学生がいるおかげで
    潰れずに経営していける学校は多い
    と思います。
    ちなみに、数年前からは専門学校で
    4年制の学科ができ、修了すると
    「高度専門士」の称号が得られます。
    高度専門士は大学院の入学資格が
    ありますので、今後は専門学校から
    大学を飛び越して大学院という
    学生も出てくると思います。

  • はじめまして。私も編入した一人で、編入仲間もいました。でも大学受験のリターンマッチという意味合いで編入制度を利用する人は少数だと思います。私の周りでは、設備や教授陣がより充実している大学求めたり、やりたいことが違ったからと文学部から工学部へ行ったケースが圧倒的に多かったです。
     志望大学に入れなかった再挑戦として編入を利用するのは、現状では無理があると思います。有名大学の多くは編入制度がないか、ごく一部の学部のみの受入で、しかもほとんど3年次編入なので、その頃には現大学で人間関係もできてて離れがたいし、編入してすぐ就職活動が始まったりでかなり大変そうで、大学受験が失敗してすぐならともかくそんなに時間をかけてまで編入目指すとなると余程のモチベーションがないと勉強が続かないです。

  • しかも、編入学試験で重視されるのは今の大学の成績ですから、編入するためだけに2年間勉強頑張れるか?編入学試験は合格者数も少数で、試験の採点基準もあいまいで、そんなに時間かけてリスクをとるなら浪人したほうがいいなって思うのが自然ですから、有名大学の編入制度が現状のままならマイスターさんの心配は杞憂かと思います。

  • 先のコメントにある4年制専門学校からの大学院入学資格について一言。
    専門学校自身が専門職大学院を持つというところが現れていますね。
    別に専門学校より大学が上だとは言い切れませんが、こうなると現在の大学教育って何だろうという疑問も生まれます。