ニュースクリップ[-2/25]「スクールカウンセラー養成、異分野融合型大学院設置」ほか

マイスターです。

日曜日恒例、記事でご紹介しきれなかった報道の中から、独断と偏見で選んだニュースクリップをお届けします。

新しい領域。
■「スクールカウンセラー養成、異分野融合型大学院設置」(eduon!)
http://eduon.jp/news/universities/20070216-000039.html

大阪大学、浜松医科大学、金沢大学、中京大学は合同で平成20年度より連合大学院「子どものこころの発達研究科(仮称)」を設置する予定。

スクールカウンセラーの指導者を養成する目的であり、同様のコースは全国で初の試みとなる。医学以外の修士取得者も受け入れての異分野融合型大学院が設立される。
大阪大学、浜松医科大学による「子どものこころの発達研究センター」が母体だが各大学の得意分野を生かし分子生物学や教育、福祉との連携融合を目指す。
(上記記事より)

普段から子供達の身近にいる心理の専門家として、「スクールカウンセラー」という職業が知られるようになってきました。今後、さらに重要な役割を担ってくる専門家だと、個人的には思います。

上記の報道は教育、心理、医療など、スクールカウンセラーが関わる分野を各大学が持ち寄って、良いスクールカウンセラーの指導者を養成する連合大学院をつくろう、という取り組みを紹介したものです。これまで存在しなかった新しい領域を、こういった形で実現させる動き、最近はよく耳にします。

文部科学省は平成18年度の補正予算に「スクールカウンセラーの緊急配置」として16億円を充当し、人材の養成に力を入れている。
(上記記事より)

↑こんな背景があることもポイントです。

病気と付き合いながらの受験。
■「ALSと闘う59歳・佐々木さん 呼吸器つけ大学院受験 介助者協力 目線読み取り解答」(西日本新聞)
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/20070216/20070216_023.shtml

進行性の難病、筋委縮性側索硬化症(ALS)で手足が全く動かず、人工呼吸器をつけている東京都府中市の佐々木公一さん(59)が16日、東海大伊勢原キャンパス(神奈川県伊勢原市)で大学院健康科学研究科を受験した。

文字盤のひらがなを目線で示し、介助者が読み取る解答方法を大学側が認めた。患者団体の日本ALS協会によると、呼吸器をつけたALS患者の受験は前例がないという。「生きることは可能性に挑むこと」。団塊世代の挑戦でもある。
(略)
受験科目は、記述式の論文読解や面接など。大学側は試験時間を各科目とも通常より1.5‐2倍に延長。妻節子さん(57)と介助者2人が文字盤を読み取り解答用紙に記入することを認めた。

合格すれば車で往復3時間かけ、車いすで通学するつもりだ。佐々木さんは「障害者福祉を専攻して、障害者が尊重される社会を目指したい」と意気込んでいる。
(上記記事より)

病気と付き合いながらの学業は楽ではないでしょう。しかし逆に言えば、病気とうまく付き合える人であれば、たとえ重病であれ大学で学ぶことだって可能かも知れないんですよね。

上記の記事では、受験された佐々木さんの努力はもちろんですが、東海大学が「文字盤のひらがなを目線で示し、介助者が読み取る解答方法」を認めた、という部分も光っています。

拡がるか、デス・エデュケーション。
■「「死を学ぶ」授業、全学生対象に 千葉大がホスピス講座」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0225/004.html?ref=rss

千葉大は新年度から、がんなどの痛みを和らげる「緩和ケア」や生と死について学ぶホスピス講座を開講する。教養課程の科目の一つとし、医学部や看護学部だけでなく全学部の学生が対象で、こうした取り組みは全国でも珍しいという。

科目名は「いのちを考える~医療の原点を見つめて~」。07年度後期に開講し、全15回。480人まで受け入れ、リポート提出などで単位認定する。日本財団(東京都港区)の寄付講座。

講師には、日野原重明さんらホスピスにかかわる医師のほか、宗教学者の山折哲雄さん、「死への準備教育」で知られるアルフォンス・デーケンさんらを招く。
(上記記事より)

以前、アルフォンス・デーケン氏が上智大学で行っていた「死への準備教育」についての記事を読んだことがあります。
大学の授業の中で「死を学ぶ」という経験は、非常に意義があることだと個人的には思います。

特定の宗派ゆかりの大学や、医療・福祉系の大学などなど、大学によって様々なアプローチがあるでしょうが、こういった授業はもっと拡がってもいいんじゃないかなと思います。個人的にも一度、こうしたテーマの授業を受けてみたいです。

寄付講座相次ぐ。
■「みずほFG、東大大学院に寄付講座を設置」(IBTimes)
http://jp.ibtimes.com/article/company/070223/4599.html
■「アステラス製薬、東京大学に寄付講座『アステラス創薬理論科学』を開設」(NIKKEI NET)
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=153101&lindID=4

最近、企業から大学への寄付講座が増えているように思います。
(思わず「寄付口座」と変換してしまいそうです)
今週は上の2つを見かけました。

企業が寄付講座を開設する目的は色々です。漠然としたイメージアップというのもあるでしょうが、「あわよくば学生さんに、うちの会社に入社して欲しい」という意図ももちろんあるでしょう。
そんなこともあってか、大手企業が東大や京大などの有名研究大学で寄付講座を開設するケースが多いように思います。

個人的には、地味だけど優良な地域の企業が地域の大学や短大で寄付講座を開設する……なんていうケースももっと増えたらいいのにと思います。<商工会議所×大学>とか、いかがでしょうか。

アメリカの工学教育番組。
■「工学教育TVプログラムがスタート」
http://crds.jst.go.jp/kaigai/office/data-wa/20070214.html

米国において子供たちの工学離れが進んでいる。その傾向はマイノリティーと女子学生に強い。未来の技術イノベーションを担う有能な技術者を育てることが米国の大きな課題の一つである。このような状況の下、工学教育TV番組が米国技術者週間(National Engineers Week: EWeek、2月18-24日)に全米ネットの公共放送網であるPBS(Public Broadcasting Service)でスタートする。本プログラムのタイトルは“Design Squad”。9~12才の子供たちを対象に工学の面白さを教える。
(上記記事より)

番組のwebサイトはこちらです。

■「DESIGN SQUAD」(PBS)
http://pbskids.org/designsquad/

日本でも、子供達の理科離れや「ものづくり」離れを防ごうという取り組みが増えてきておりますが、テレビプログラムにするというのはさすがテレビ大国アメリカかな、という感じがします。

国立科学財団やIEEE、インテル社等がスポンサーになっていますね。スポンサーリストの中には「American Society of Civil Engineers」といった団体の名前も。
技術者の団体が、次世代の技術者育成のための取り組みをサポートするというのは自然ですね。日本でもこうした流れをよりうまくつくっていきたいものです。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。