大学の地域貢献 多くの信頼を集める大学を目指そう

マイスターです。

大学の役割というのは、大きく分けて3つあると言われています。
教育、研究、そして地域貢献です。

前者2つはすぐに浮かびますが、しかし、最後の「地域貢献」は、なかなかイメージできない方も多いはず。
マイスターが色々な方に話を聞く限り、地域の一員として、大学に関わった経験を持っている方は、そうはいません。
せいぜい、学園祭に遊びに行くくらいでしょうか(学園祭も、近隣の方々を意識して開催されているものと、そうでないものがありますよね)。

理想の地域貢献のあり方というのは、大学ごとに違います。
そのため、「自分達はどういう形の地域貢献を目指すのか」ということに辿り着くまで、試行錯誤を繰り返していくプロセスが欠かせません。

つまるところ地域貢献活動とは、「信頼」なのだと思います。
活動の結果、信頼を得る。信頼があるから、活動の成果が上がる。
時間をかけて、具体的な取り組みを積み上げていった結果として、「あの大学の地域貢献は素晴らしい」という評価を得るのでしょう。

読売新聞の連載「教育ルネサンス」でも、最近、地域貢献の取り組みを紹介していましたが、いずれも長期的な信頼関係の構築を見据えた活動ばかりで、なるほどなぁと思って読んでおりました。

【大学の地域貢献】(すべて読売オンラインより)
■(1)世界遺産の町に「宮島学」で一役
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070904us41.htm
■(2)学生手作り「減災」啓発
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070905us41.htm
■(3)歯科健診町民に普及を
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070906us41.htm
■(4)企業向け 無料英語講座
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070907us41.htm
■(5)薬局 健康指導の拠点に
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070908us41.htm
■(6)風土に合う家づくり研究
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070911us41.htm
■(7)街づくり 学生が先導
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070912us41.htm
■(8)ボランティア必修に
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070913us41.htm
■(9)高齢者輝く 最先端ジム
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070914us41.htm
■(10)産学官で遠距離連携
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20070915us41.htm

冒頭で、「教育・研究・地域貢献」が大学の三大ミッションだと書きましたが、こうして読んでいると、実際にはこの三つがリンクしていることにきづきます。
地域貢献は、大学にも、様々なものをもたらしてくれるのですね。

それにもやはり、地域との信頼関係が欠かせないのだと思います。

さて、一方で、最近は↓こんな報道も目にしました。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「LEC大、縮小計画難航 学生募集、出遅れ」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200709040221.html
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「授業に不備がある」と文部科学省から改善勧告を受けたLEC東京リーガルマインド大(本部・東京都千代田区)のキャンパス縮小計画が難航している。経営悪化を理由に全国14カ所のうち10カ所の廃止を決めてから半年近くが過ぎたが、各自治体の同意取り付けに時間がかかっており、あおりで来春の学生募集に出遅れた。廃止を免れた自治体も、やきもきしながら事態を見守っている。

(略)LEC大が文科省から勧告を受けたのは今年1月。2月には14キャンパスのうち東京の千代田と新宿、横浜、大阪の4カ所だけ存続させ、残りは在学生が卒業した時点で廃止する計画をまとめた。各自治体は構造改革特区を設けてキャンパスを誘致したが、特区設置時の協定書などで「変更の際は協議する」としており、LEC大と個別に協議を続けてきた。

JR札幌駅前のオフィスビルに入居するLEC大札幌キャンパスは05年4月に開校したばかりで、1~3年生の30人余りが学ぶ。廃止方針を通告された札幌市は「学生や保護者にきちんと説明して理解を得るのが先決」(酒井裕司・市民まちづくり局企画課長)と反発する。静岡市の担当者も「在学生が最後まで学べることが担保されなければ同意できない」との姿勢だ。

やむなく廃止に同意した自治体も、無念さを隠さない。宇都宮市は、JR宇都宮駅の駅ビルに昨年開校したばかりのキャンパスの廃止を7月末に受け入れたが、柴田賢司・政策審議室長は「東京や大阪などでの実績をもとに大丈夫と判断したのだが……。責任を感じている」と話す。

(上記記事より)

構造改革特区制度を利用して開学したLEC大学。
しかし、皆様もご存じの通り文科省から指導を受け、事業の縮小を迫られています。
そこで、同大を誘致した各自治体が、その影響を被っているわけですね。

そもそも特区制度は、地域との連携が前提になっているようなシステムです。
にもかかわらず、LEC大はむしろ地域からの信頼を失うことになってしまいました。

これだけでも非常に良くないことですが、こうした事件があったおかげで、今後他の大学が特区制度を利用しようとしたときに、地域からマイナスのイメージを持たれてしまう可能性もあります。

さらに、こうした報道が続くようですと、社会からの「大学」というものに対する視線が、厳しくなっていくかも知れません。
大学というのは、学生集めのためには信頼関係をあっさり裏切るのだな、と思われてしまうかも知れません。

もちろん、経営上、撤退するしかないという事情はわかります。
しかし、そのことが他の方々に与える影響の大きさも、ぜひ知っておいて欲しいと思います。

地域から信頼されるのも、信頼を失うのも、すべてはその大学の行動次第。
皆様も、より多くの信頼を集める大学を目指して、がんばってください。

「これは優れた取り組みだ!」という事例をご存じでしたら、ぜひマイスターに教えてください。ブログでご紹介させていただきたいと思います。

以上、マイスターでした。

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(おまけ)

ちょっと変わった地域貢献として、↓こんなものもあります。

(過去の関連記事)
・「山梨学院大『走る110番』 児童見守り駅伝練習」(2006年10月14日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50253565.html

普段から行っていた活動が、少し視点を変えただけで優れた地域貢献活動になる、なんてこともあるのですね。