『週刊東洋経済』の大学特集

マイスターです。

既に一週前の号になってしまったんですが、東洋経済の大学特集がなかなか充実していました。既に読まれた方も、多いのではないかと思います。

特集名は、「これが決定版!本当に『強い大学』」です。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「週刊東洋経済:2006年10月14日特大号(2006年10月10日発売)」(東洋経済新報社)
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/2006/1014/index.html
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何ヶ月かに一回、大学ランキングを掲載しているような気がする同誌。
今回は、他にもひそかに話題になっている特集がいくつかあったようなので、どれどれと思いながら買って読みました。

あ、上記の目次ページよりも、↓以下のビジュアルの方が雰囲気が伝わってわかりやすいかも知れませんね。

■新聞広告(朝日新聞)
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/2006/1014/np_asahi.html

で、実際に読んでみたところ、確かに結構読み応えがありました。

メインとなる大学ランキングも興味深いのですが、マイスターは敢えて、↓このあたりの部分を見どころとしてご紹介したいです。

【「大学四季報」が重宝しそう】

別冊付録として「大学四季報」というものがついています。
その名の通り、大学の決算データをずらっとまとめた小冊子で、主要な大学(私立102校、国立54校)の財務データが掲載されています。これは、なかなか重宝しそうですよ。

正しい大学職員としては、まず真っ先に自分の大学の財務データを見ますよね、やっぱり。
(もちろん、大体の概要は既にわかっていると思うのですが、でもやっぱり気になりますよね……)

で、自校のデータを見た後、一般的な正しい職員は「直接の競合校」と「誰もが知っている有名校」のデータを見にいきます。でも、そこで終わってしまうのです。

マイスターとしてはその後に、「競合でも有名でもない中小の大学だけど、実は財政が非常に健全な大学」を探して、その大学webサイトを見てみる、という行為をオススメします。

自校やライバル校の状況なんて、普段から大体わかっているはずなんです。ですからこういう資料を手に入れたときは、普段は絶対に気にとめないような大学の情報を見るべきなんですよね。やってみると案外、発見があったりしますよ。

【職員の話が随所に……】

「前代未聞!京大末端職員が象牙の塔にモノ申す」
なる特集があります。

タイトルだけ見ると、なんだか「長年虐げられてきた窓際職員が内部告発!」みたいな雰囲気が漂っていますが(笑)、記事の内容は全然違って、前向きです。

(いかにも電車の中吊りや新聞広告で売るため、という感じの記事タイトルですね……)

この記事で取り上げられているのは、↓この取り組みです。

■「若手事務職員による提言『KUFプロジェクト報告書』(2006年7月28日付)
http://www.kyoto-u.ac.jp/notice/05_notice/ippan/060728_1.htm

大学職員.net -Blog/News-でもかなり前に紹介されていましたので、既に報告書をご覧になっていた方もいるのではないでしょうか。
実はSNS「大学職員.network」内にも、このプロジェクトに関わられた方がおられるので、マイスターも一度、読ませていただいていました。

「東洋経済」の記事では、このプロジェクトを進めた過程が紹介されています。
報告書の内容もさることながら、そこまでの過程の方も、気になります。
大学で働く職員としては、むしろ過程から学ぶことの方が多いようにすら、思います。

また、

プロジェクトは役員へのプレゼンをもっていったん終了した。しかし動きの遅い大学のこと、提案はまだほとんど動いていない。

……という記述もあり、これもまた、考えさせられるものがあります。

また、別の特集「筑波大学『大行革』作戦の舞台裏」では、「組織を変えるために職員が重要である」ということが、筑波大学副学長の吉武博通氏によって熱く語られています。

大学の欠点は、大学に関わる情報やデータを集め、組織としてのストーリーを描く人間や方法論がないことだ、と吉武氏は言っています。

企業では社長と社員が同じ目線でプランニングするけれど、大学では自分の経験、自分の専門分野、自分の論理でそれぞれが語る。大学全体をとらえて問題を構造化する人間がこれまでいなかった。だから、多くの大学で改革を叫ぶ割には、空回りすることが多いのだと思う。
これをやるのは職員しかいない。職員の力が上がらなかったら、大学の力は上がらないんです。
(週刊東洋経済:2006年10月14日特大号より)

……とこのように、とても励まされるお言葉が掲載されています。(ちなみに吉武氏ご自身、もともと新日本製鉄でたたき上げとして実績を残してこられた方です)
詳細は、ぜひ実際の雑誌の記事をご覧ください。

この他にも、「金沢工業大学“サービス精神”の猛烈」という記事で、金沢工大における職員の重要性が語られています。
「教員、職員が一丸となり……」「事務方と教員の垣根のない交流が校風」なんていう記述を交えつつ、業界人にはよく知られている同大の様々な校風や取り組みが紹介されています。

このように全体を通じ、「職員が絡む記事が多いなぁ」という印象をマイスターは持ちました。一昔前なら、こういう記事はあまりなかったのではないでしょうか。

本当に「事務」を進めるだけの事務員だと思われていた大学職員が、大学組織の経営を支えるプロスタッフ集団として、近年、少しずつ注目されてきつつあります。

『東洋経済』の誌面にも、そういう動きが反映されてきたのかな……と、マイスターは思います。

というわけで、今日はちょっと短めです。
その分、実際の『東洋経済』を読んでみてください。

以上、今日はなんだか東洋経済新報社の回し者になってしまった気がする、マイスターでした。