マイスターです。
今年の年末年始は海外にいたため、雑煮、おせちといったイベントがなかったのが残念でした。なによりも、毎年ライブで見ることを楽しみにしている箱根駅伝を見逃したのは痛かったです。
でもNHKは海外でも見られるので、紅白歌合戦と「行く年来る年」は見られました。
そういうところはさすがNHK。
さて、今年最初のニュースクリップをお届けします。
早稲田大学が新たな付属校を九州に。
■「早大関係者、佐賀県に中高一貫校 09年開校目指す」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0106/SEB200701060004.html?ref=rss
今秋、創立125周年を迎える早稲田大学(東京)の関係者が、早大創設者大隈重信の出身地である佐賀県に、同大系列の中高一貫校「大隈記念・早稲田佐賀学院」の設立を目指していることが、わかった。建設予定地は唐津市が有力。早ければ09年春にも開校し、卒業生を早大に受け入れてもらう考えだ。早大系列の中高一貫校は九州では初めて。今月中にも正式に発表する。
(上記記事より)
付属校を設立することにはいくつかのメリットがありますが、一般的によく言われるのは以下の2点でしょう。
○大学の入学者を確保し、経営を安定させる
○一貫教育によって、継続的な全人教育を実施する
早稲田大学は既にいくつもの付属校を抱えておりますが、さらに新設するとのこと。
今のうちに学園として、盤石な経営を支える体制をがっちり固めておこうという意図が大きいのかな、なんて思います。
有力私大の付属校が地方に進出、という事例は今後も増えそうな気がします。
現地の高校や大学にとっても大きな影響を与えそうです。
日本語学習拠点の増加に、国が着手。
■「ニホン語国際化計画 外務省などが学習拠点10倍に」(中日新聞)
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070106/eve_____sya_____021.shtml
外務省と国際交流基金が、海外の日本語学習拠点を現在の10カ所から数年間で100カ所以上に増やし、日本語普及活動を強化する方針であることが6日、明らかになった。アジアを中心に、日本語を学ぶ外国人が年々増えていることが主な理由だが、中国が中国語学習拠点を急増させていることに対抗する意図もある。
(上記記事より)
「孔子学院」戦略が功を奏し、現在海外で中国語を学ぶ人は3,000万人を超えると言われています。
(参考)
・世界100カ所に中国語教育の拠点を : 中国の「孔子学院」戦略とは
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50245478.html
こうした事態に危機感を覚えたのか、日本も動き出すようです。
後れを取った観は否めませんが、これからの展開に期待です。
ところでマイスター、アンコール遺跡を観光した際、「母校語と日本語が話せる現地人」を何人も見ました。聞けば、ちゃんと日本語教師から教わっているそうです。
どうして彼等が日本語を熱心に話すかというと、それは日本人観光客がお金を落としていくからですよね。言語を使うニーズがなければ、学ぶ人は増えません。
日本語を「使う」場面では、文科省&大学、経済産業省&企業といった方々も関わることになると思います。そういった皆様から、この「日本語学習拠点」のカリキュラムに対してアドバイスや要望を出せるような体制になると、なお良いのではないかと個人的には考えます。
図工の受難。
■「『頑張れ図工!』復権求め先生ら署名 学力低下論も逆風」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200701050306.html
子どもたちは大好きなのに、保護者や社会からはあまり期待されていない科目ってなーんだ? 答えは、図画工作だ。授業時間が3割減った上、昨今の「学力向上」ムードで国語や算数に押され、肩身が狭くなっている。しかし、このままでは、日本のお家芸である「ものづくり」の未来が危ういと、先生や学者たちが復権に乗り出した。
(略)
文部科学省が05年に実施した意識調査によると、図工が「とても好き」と答えた児童は43%で体育に次いで多かった。その一方で、保護者の期待は低い。「芸術面の能力や情操」を学校で身につける必要性が「とても高い」という答えは22%にとどまった。
(上記記事より)
マイスターも多くの子供達と同様、図工は大好きでした。「表現」を実践させる貴重な場でもあり、個人的には大事な科目だと思うのですが、図工に対して保護者の目は冷たいようです。
「算数について意見を言ってくる親御さんはいるが、図工はいない。算数には集中できない子が図工では黙々と取り組んでいるのを見ると、子どもを多面的にとらえる上でも大切だと思うのだが…」
(上記記事より)
という小学校教諭の声が取り上げられていますが、マイスターもそう思います。
とは言え時間には限りがありますので、すべてを盛り込むのが難しいのもわかります。夏休みや休日を利用し、外部の機関が子供達に対して図工の体験を提供する、なんていう取り組みも今後は求められそうです。
誰かがやらなければならない取り組みをどう守るか。
■「東大解剖──第2部(8) ミニ原子炉でプロ養成」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20061228us41.htm
「熱出力がこたつ3個分」という、小型の教育・研究用原子炉を運営する東大の取り組みを紹介する記事です。とても興味深い内容ですが、中でも
原子炉の運営経費は年1億円以上。工学系研究科の各専攻の中で突出した「ぜいたくな施設」でもある。廃止が相次ぐなど、大学の原子炉を取り巻く環境は厳しいが、鈴木助教授は「原子力はこれからも必要な分野。東大でしかできないこともある」と大学で原子力の研究をする意義を強調している。
(上記記事より)
……という部分が印象的でした。
合理化が求められる一方、確かにこうした「お金はかかるけれど誰かがやらなければならない分野」はあるわけで、こうした取り組みをいかに維持し守っていくかというのも、大学にとっての大きな経営課題ですね。
■東京大学原子炉「弥生」
http://www.nuclear.jp/~rokan/index.html
韓国も教育改革が大詰め?
■「大学政策:教育副首相『大学卒業を今よりも難しく』」(朝鮮日報)
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2006/12/31/20061231000012.html
入学さえすればほとんど自動的に卒業できる大学の安易な学習管理にメスを入れるという意志を示した(上記記事より)
国際水準に適合する大学評価を実施し、その結果を公開する(上記記事より)
すべての英語教師が英語で授業ができる体制を構築する。意思疎通能力を向上させるため、学校での実用英語教育を強化するなど、公教育での英語教育を画期的に改善する(上記記事より)
韓国のニュースを見ていると、たまに日本の報道か?と思うようなものを見つけますが、上記もそんな一つです。
以上、今週のニュースクリップでした。
旅の途中に立ち寄ったベトナムの食堂(屋外)で晩ご飯を食べていると、なにやら隣の席があわただしい。がちゃがちゃとテーブルや椅子を移動して、なにやら撮影の準備と思しき作業をしているではありませんか。
しかも、その作業に従事している10数人のスタッフは、どうやら日本人。日本のテレビ番組の撮影準備のようでした。
その間、お店のスタッフ(ベトナム人)に対して、ディレクターやAD達が「このメニュー、もっと持ってきて!」なんて、日本語で指示していたのが印象的でした。
また、周囲の他のお客さんの椅子にカメラのケーブルが絡まったとき、若いADが「スイマセン、スイマセン、スイマセン」と、やはり日本で謝りながら頭を下げていたのも印象的でした。海外ロケだからって、撮影クルー全員が英語を使えるとは限らないのですね。その後やってきたのは、超大物お笑いタレントご一行様でしたが、うーん、なんだかちょっと考えさせられる光景でした。
以上、教育ニュースとは全然関係ありませんが、日本語学校の話題を見て、そんなことをふと思い出しました。
年末年始も、本ブログを読んでくださり、ありがとうございました。
今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
マイスターでした。