日本企業の社員寮で留学生を受け入れ

マイスターです。

30万人の留学生受け入れを目指す日本。
その留学生達の進路として、大きな柱の一つになると思われるのは、やはり日本企業への就職です。
(というよりも、日本企業への就職に有利だという点をアピールして日本への留学生を集める、という面が強い?)
企業側としても、優秀な留学生の方には来てもらいたいでしょう。

したがって、留学生の方には、学生のうちから「日本の社会も悪くないなぁ。日本の企業で働くってのも、素敵だなぁ」と感じる体験をしていただきたいところ。

そんなことを考えているマイスターが、最近気になったニュースをご紹介します。

【今日の大学関連ニュース】
■「教育ルネサンス:当世留学生事情(4)社員寮に入り 企業知る」(読売オンライン)

企業の社員寮を、留学生に提供する取り組みがある。
東京都練馬区の東京メトロ平和台駅から徒歩約10分。三井物産平和台寮は閑静な住宅街にある。立教大学大学院で学ぶ中国人留学生、謝善鵬さん(27)は、この寮で社員に交じって生活している。
会社から帰った社員3人と食堂で夕飯を食べながら「今就職活動中なんですよ」「へえ、どんな状況?」「なかなか難しいですよ」。そんなやりとりが気軽にできる。寮費は社員と同じで1万円足らず。朝夕付く食事も割安だ。
謝さんがこの寮に入ったのは2006年。それまでは大学近くで一人暮らしをしていたが、家、大学、バイト先の居酒屋を行き来するだけで、日本人との交流は少なかった。「単に『おはよう』と毎朝あいさつするだけでほっとする」と謝さん。寮対抗のスポーツ大会にも参加し、「家族のような感じになれた」という。
日本で就職を目指す留学生にとって、社員寮は日本の文化を知る上でも重要だ。謝さんは「この寮の人は、平日朝早くから夜遅くまで働いているのに、休日はしっかり遊びを満喫している」と驚く。「大学やバイト先で見た日本人とは全く違い、日本の会社で働くイメージが膨らんだ」
(略) 現在は8棟で18人の留学生を受け入れている。古東(ことう)誠・給与企画室長は「社員と学生の生活パターンが違うこともあり、そんなに接点が作れているわけではないが、海外赴任が前提の社員にもよい刺激になるはずだ」と前向きにとらえている。
「グローバル展開が当たり前となってきている日本企業にとって、留学生を受け入れる意義は大きい」と社員寮の活用を進める財団法人「留学生支援企業協力推進協会」の太田篤事務局長。
(上記記事より)

留学生に社員寮を提供する取り組みは、経済同友会が参加企業を募る形で、1987年から始まっているそうです。

留学生の側にとっては、格安の生活費で暮らしながら「日本の企業人」のありのままの姿を知ることができるなど、メリットが大きい様子。
人にもよるでしょうが、母国から遠く離れた地で一人で暮らすより、こうして多くの人達の中で生活した方が良いと考える学生は、少なくないと思いますし。

また、上記の記事の事例は国際的な業務を手がける商社の三井物産なので特にわかりやすいのですが、企業の社員も留学生から色々と刺激を受けられそうです。
一人、海外に出て学んでいる留学生は、期待や不安を抱えているでしょう。語学学習など、海を越えるための努力も重ねてきているでしょう。
グローバルビジネスに携わる日本の企業人にとっては、そんなすべてが参考になると思います。
お互いが、お互いのロールモデルになるわけですね。

そしてこうした普段からの交流を通じて互いに対する理解が深まり、それぞれの国のイメージが変われば、素敵です。
こういった生活を体験したことで、「日本の企業で働いてみようかな」と思う学生も出てくるかも知れませんし。
(もちろん、逆に「こんな生活を送るのなら、日本の企業には行きたくないなぁ」と思われてしまう可能性もあります。そこは、企業の皆様次第。)

これ、企業の社会貢献の在り方としても、国際交流のための実践としても、非常にいい取り組みだと思います。

経済同友会が中心になって進めているとのことですが、大学も、地域の企業に呼びかけるなど、こういった取り組みについてできることがあるかもしれません。

日本の企業人の生活までもを学ぶ拡大インターンシップの一環として、一年単位で留学生を企業の寮に預けるとか。

企業から出ている奨学金とセットにして、部屋も提供していただくするとか。
(あるいは奨学金や大学への寄付の代わりに、寮の部屋を無償で提供していただく仕組みを作るとか)

合格決定後、入学前からプレカレッジ教育を兼ねて社員寮での生活を始めてもらい、日本の生活や文化になれてもらうとか。

いまぱっと思いついたのはこれくらいですが、何となく、新しい産学連携の仕組みとして、発展的なことができそうな予感が。

昨今では、留学生の受け入れ拡大を表明している大学が多いようですが、そのための寮の整備は大変なはず。
そんな「寮不足」を解決する一助として、こんな、「社員寮への派遣」なんて仕組みはいかがでしょうか。
学寮に比べたら面倒くさいことも多いかも知れませんが、学生が個人で住まいを探すよりはずっと良いと思いますし、案外、人気が出そうな気がしますよ。>大学関係者の皆様

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • 練馬で不動産屋を経営しています。よく留学生からお部屋を探すように頼まれます。平和台の三井物産の社員寮の電話番号を教えていただけますか。練馬近辺のほかの利用できる寮があればその情報もお願いします。