交通機関が停止! そのとき大学は。

山手線を通勤・通学になるべく使わないように生きてきたマイスターです。

理由は、「混んでるから」です。
朝の山手線ラッシュでは地獄を見ます。かつてやむを得ず<上野→東京>までの区間、ラッシュに耐えていたことがあったのですが、ここは山の点の中でもかなり混みあう区間だったらしく、辛かったです。電車がぎゅうぎゅうになっているのに、その中にまた人が強引に乗り込んでくるのですよ。田舎者のマイスターには、ほとんど拷問です。

最初から乗っている客は
「おい、もう一杯だろ!乗ってくるなこの非常識野郎!」
と(心の中で)新しい乗客を罵倒し、後から来る客は
「俺が急いでいるのがわからないのか!?もっと詰めろこの野郎!」
と(心の中で)主張する。

互いに無言・無表情を崩さないまま、押し合いへし合い、自分のスムーズな通勤のために相手を牽制するのですね。何だか、現代版「蜘蛛の糸」みたいです。

そして朝の山手線ではホームにアルバイト(?)の駅員さんがいて、ぱんぱんになったドア付近の乗客を強引に押し込めて、ドアを閉めるのです。なんだか朝っぱらからバトルロワイヤルを強制されているような気分になるわけです(次の電車を待っても、結局すし詰め状態なのは変わらないし・・・)。
ドア付近で、押し込まれるポジションに立ってしまうと、かなり不快な思いをします。「おれは客だぞ!荷物みたいに扱うな!」「もっと電車の本数を増やせばいいのにっ!」なんて、駅員さんに押し込まれながら、苦言の一つも申し上げたくなります。

でも冷静に考えてみれば、ラッシュ時の山手線は、4分間隔くらいで電車が来ている気んですよね、たぶん。
29駅もある環状線を正確に数分刻みでまわすなんて芸当は、世界の他のどの国でも実現不可能でしょう。すでにおそらく、山手線は限界ギリギリで稼働しているのです。

誰も彼もが山手線を使って通勤しているというところに、そもそもの問題があるわけで、千葉、茨城、埼玉、神奈川などのみなさんがわざわざ東京のオフィスに毎朝大移動するからいけないんですよね。

あまり知られていないことかもしれませんが、通勤圏を基準にした東京の経済活動エリアを一つの大きな都市とみなすと、メガロポリスと呼ばれるようなニューヨーク東海岸の都市群などを抜いて、世界一の人口規模になるのです。
毎朝毎晩、とんでもない人間のトラフィックが動いている世界一特殊な都市であるわけですから、交通機関が麻痺すれば、社会のあらゆるところに影響が現れます。

以上、前置き終わり。

さて、大学も、例外ではありませんよね。
交通機関が麻痺すれば、休講などの措置をとることになります。

東京23区に所在する大学の皆様は、今日は対応でお忙しかったのではないでしょうか。山手線全線が5時間以上にわたって停止したままというのは、そうそうあることではありませんからね(そんなに頻繁にあっても困りますが)。

たいていの大学では、交通機関が止まった際の休講ルールを学内規定で定めていると思います。
13:00の時点で○○線と○○線が運休したままなら3限以降は休講です、とかね。

マイスターの大学でも、本日、ある時間以降の授業がすべて休講になりました。
学内規定が適用された結果です。

朝からずっと、学生さんや教員の皆さん(特に非常勤講師の方々)からの電話での問い合わせがばんばん来ていました。そりゃそうです。

携帯電話からもアクセスできるオンライン掲示板があるので、そこに緊急告知を出しました。
また、授業の履修者全員に休講連絡のメールを配信するシステムがあるので、それも活用しました。

こういう時、情報の告知システムができていると、便利です。
路線の事故の他、台風などの天候によって列車が運休になるときにも、こうしたシステムは大活躍ですよね。
今日はおかげで、本学ではとりたてて大きな混乱もありませんでした。

大学では、こうしたシステムはかなり普及してきていると思うのですが、そういえば、小中学校、高校ではどうなのでしょうね。
電話番号での連絡網も、(個人情報公開への警戒心もあり)最近はあまり使われなくなってきていると聞きますが、メーリングリストとかが代わりにあるのでしょうか?
そもそも家庭の連絡先という以前に、子供それぞれが自分の電話番号とメールアドレスを持っている時代だから、あんまり連絡は困らないのかな?

どういう風に現場では連絡がされてるのでしょうね。
少なくとも、携帯もメールもインターネットもなかったマイスターの少年時代よりは、スムーズにいっているのでしょうか…?

このようにネットによる連絡は便利ですが、ただし、本当の大災害では役に立ちません。例えば、阪神大震災クラスの大地震などですね。
現地におられた方々は実際に体験されたと思いますが、あのクラスの被害を都市が受けると、インターネットや携帯電話などのメディアはほとんど使えなくなります。

携帯電話はもともと、「自分がでっかいアンテナや電波発信機を持っていなくても、街中にそういう機能を埋め込んでおけば、端末は小さくていいじゃないか」という発想で小型化、省エネ化の一途を歩んできたツールです。
ですから街中のインフラが何割か打撃を受けると、それぞれの端末はわりとあっさり、用をなさなくなります。

加えて被災直後には、日本全国から被災地に向けて電話やメールが集中しますので、メールでの連絡はかなり制限された状態になります。
自律分散強調システムであるインターネットの最大の弱点は、トラフィックの集中です。普段は、平時の使用状況に合わせてネットワークインフラを整備していますから、とてもじゃありませんが、こうした有事に、一般市民の連絡手段にするのは不可能です。
(阪神大震災でも、被災後まず人々の連絡手段として活躍したのは、街中に設置された、昔ながらの掲示板だったそうです。)

ですから、

「災害時に備えて、本学では、メールによる緊急連絡システムを整備することにした!」
「おぉ~、さすが本学の取り組みは進んでいますね理事長!」

…なーんてやっている大学さんがあったら、今からでも実用の方法を見直してみた方が良いかも知れません。ちょっとデンジャラスな香りがします。

今回は、線路の異常による電車の運休だったからメールやオンライン掲示板が使えたけど、ネットが使えなかったとしたら、どういう風に対応するのがベストだろうか?

電話でお問い合わせに答えながら、そんなことを考えていたマイスターでした。

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※ふと思うのですが、忙しい社会人学生や科目等履修性などは、これで予定外の休講を食らったわけですよね。もちろん、その分の補講はされますが、でも、それを受講できない方が出てくる可能性だってあるわけですよね。学生さんは金銭的な損失を被っているわけで、これってやっぱりJRの責任ってことになるのかな?(もちろん、JRがそんな金額を補償してくれるなんて思いませんが)。
たまに、「電車が止まったことによる被害総額」みたいな金額が報道されることありますよね。あれには、休講になってしまった分の大学の授業料は算入されて……ないんだろうなぁ。