エンロールメント・マネジメントのための体制を整備 京都光華女子大

マイスターです。

大学関係者の皆様なら、「エンロールメント・マネジメント」という言葉を、聞いたことがおありかも知れません。
マイスターも本ブログで、何度かご紹介してきました。

(過去の関連記事)
・Enrollment Management のススメ(1):「エンロールメント・マネジメント」とは
https://unipro-note.net/wpc/archives/50230391.html
・Enrollment Management のススメ(2):なぜ今、エンロールメント・マネジメントが必要なのか
https://unipro-note.net/wpc/archives/50230531.html
・Enrollment Management のススメ(3):日本に足りていない、「学内データの共有」
https://unipro-note.net/wpc/archives/50231189.html
・Enrollment Management のススメ(4):大学業務に携わるスタッフの人数は?
https://unipro-note.net/wpc/archives/50232296.html
Enrollment Management のススメ(5):部署間のカベを乗り越える
https://unipro-note.net/wpc/archives/50232695.html

どっぷり、しつこく書かせていただいたおかげか、Googleで「エンロールメント・マネジメント」と検索すると、このブログが一位で表示されるようになっていました。

というわけで、せっかくですから、エンロールメント・マネジメントについて詳しく知りたいという方は、よろしければ上記のリンクをご覧いただければと思います。

しかしこのエンロールメント・マネジメント、言うのは容易いのですが、実行するのはとっ……ても大変です。

日本の大学でも、少子化や大学生の学力低下といった環境の変化を受けてか、大学が少しずつ「手厚いサポート」を打ち出すようになりました。
象徴的なのが、「面倒見の良い大学」というフレーズです。
しかし、「これぞエンロールメント・マネジメント!」と呼べるような日本の事例を、マイスターはまだ聞いたことがありません。

教務課や学生課などを統合して「学生センター」にまとめてみました、とかいった取り組みが、一時期流行ったりしました。
しかし、それで退学者が劇的に減ったとか、在学生の成績が上がったり、愛校心が高まったりしたとか、卒業生の寄付金がものすごく増えたとかいった話は、ほとんど聞きません。受験生が増えたという話も、あまり聞きません。
残念ながら、エンロールメント・マネジメントとしての成果を、どこも満足には上げられていないように思われます。

もちろん、こうした考え方自体、日本の我々にとってまだまだ新しいものです。
ノウハウも、お金もない中で、いきなり成果を上げるのは、簡単ではありません。

ですからここは焦らず、じわじわと少しずつ、しかし着実に取り組みを重ねていくことが大事なのかな、なんて思います。

というわけで、最近の報道から、↓こんな取り組みをご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「入学前から卒業後まで学生を世話 京都光華女子大、来春から新制度」(京都新聞 Yahoo!NEWS掲載)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071003-00000051-kyt-l26
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京都光華女子大(京都市右京区)は来春から、入学前から卒業後まで一貫して学生を大学全体で支援する取り組み「京都光華エンロールメント」を始める。
従来の学生支援は、各教員ごとに指導したり相談を受けたりしていたが、今後は学内で学生の出席状況やテストの成績などの情報を共有し、教職員が協力して支援にあたる。個別指導をさらに徹底する。
この取り組みでは、教員によって異なっていた学生との個別面談や小テスト、課題の回数などについて最低基準を設定。成績がよくない学生については個別対応し、履修科目の選び方などをアドバイスする。
卒業後でも資格取得で必要になる単位は、通常の4分の1程度の費用で受講できる仕組みを導入する予定。

(上記記事より)

こういった報道に、反射的に眉をしかめる向きもあると思います。また、大学生を子供のように甘やかす流れか、と。
そんな方にこそ、冒頭でご紹介した過去の記事を読んでいただければ、と思います。

「入学前から卒業後まで一貫して」
「大学全体で」
「情報を共有しながら」
「教職員が協力して支援にあたる」

こうした京都光華女子大学のコンセプトは、マイスターがこれまで聞いた中では、本格的な「エンロールメント・マネジメント」のイメージに、最も近いものであるように思います。

大学の公式コンテンツは、↓こちら。

■「京都光華エンロールメント」(京都光華女子大学)
http://www.koka.ac.jp/enrollment/gp.php

ちなみに同大は、「学生個人を大切にしたキャリア教育の推進」という取り組みで現代GPの認定を受けていますが、これも、エンロールメント・マネジメントの一環として実施されていると、説明されています。

■「学生個人を大切にしたキャリア教育の推進」(京都光華女子大学)
http://www.koka.ac.jp/enrollment/gp.php

エンロールメント・マネジメントの肝は、
「あらゆる取り組みを、別個のものとして扱わない」
ということなのかなと、マイスターは思っています。

派手な取り組みをバラバラに実施するのではなく。
派手な取り組みも地味な取り組みも、大きなことも小さなこともすべて、「学生を総合的にサポートする」という大きなストーリーの要素として位置づけ、実施するのです。
全体の目的を達成するために、すべての取り組みをきちんとひもづけるのですね。

京都光華女子大学の取り組みが、どのようなレベルで行われているのか、マイスターは存じ上げません。
ただ、この「すべてを一つの大きな目的に沿って位置づける」という姿勢は、サイトから、何となく感じられました。

「エンロールメント・マネジメント」という言葉を明確に打ち出していますし、なんだか、今後が気になる事例です。

ただ、以前の記事でも書いたのですが、エンロールメント・マネジメントをちゃんと遂行するためには、十分な人数のスタッフが必要です。
気合いと根性だけでどうにかできる仕事ではないと想像されます。

また、ひとつの部署がエンロールメント・マネジメントを担当するのではなく、

「大学のあらゆる部署、あらゆるスタッフおよび教員が、エンロールメント・マネジメントに関わる」

という意識もポイントなんじゃないかな、なんて個人的には思います。
全部を教員で行うのは、物理的にも不可能ですし、それでなくても教員の負担は多すぎます。

その上で、部署間の壁を低くし情報を共有し合う仕組みをつくったり、教職員各自が主体的に動いていく仕組み・環境を整えたりすることが、大切になってくるのではないでしょうか。

そんなことも含め、これからこの大学がどのように成果を上げられるか、ぜひ注目していきたいところです。

以上、マイスターでした。