ニュースクリップ[-6/8] 「東大、半年で受講料600万円の社会人講座 企業幹部らに照準」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【600万円のエグゼクティブ向けプログラム。】
■「東大、半年で受講料600万円の社会人講座 企業幹部らに照準」(NIKKEI NET)

東京大は主に40代向けの社会人講座「エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」を10月に開講する。毎週末に開く半年間の集中セミナーで、「幅広い教養を持ち、高い総合能力を備えた人材を育成する」(小宮山宏学長)のが狙い。官僚や企業幹部らの参加を見込む。
社会人講座はビジネススクールなどと異なり学位は取得できないが、学長名の修了証明を受けることができる。入学金50万円を含む半年間の受講料は600万円。
(上記記事より)

東京大学が、エグゼクティブ向けのマネジメントプログラムを開講するとのニュースです。

■「東京大学 エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(東大EMP)」(東京大学)

こうしたエグゼクティブ向けのコースは、アメリカのビジネススクールなどで広く実施されているもので、日本でも既にいくつかの事例があります。

■「早稲田大学ビジネススクール:エグゼクティブプログラム」(早稲田大学)
■「筑波大学 エグゼクティブディベロップメント・プログラム」(筑波大学)
■「エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)」(グローヴィス・エグゼクティブ・スクール)
■「ウォートン-HIMD エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(WH-EMP) 開催のご案内」(日立総合経営研修所)

上記は、マイスターがwebで見つけた例ですが、このほかにもおそらく存在するでしょう。
ご覧の通り、大学だけでなく、実践的なカリキュラムを持つ民間の教育機関や、海外の名門ビジネススクールと提携したプログラムなどが存在感を発揮している点が特徴です。

多額の学費もさることながら、多忙なエグゼクティブにとっては、参加の時間も惜しいはず。
しかも学位が発行されないプログラムですから、時間あたり、どれくらい価値の高い教育機会を提供するかということが勝負です。

またこういったプログラムでは、集まる学生の質も極めて重要。
これから日本の経済界で頭角を現してくるキーパーソン達が通うプログラムに参加すれば、貴重な人材ネットワークが形成できます。むしろ、学生達が期待するのはこちらかも知れません。

こうした点で受講生達を満足させられなければ、有名大学といえども失敗する、緊張感のあるプログラム。
東大のような大学の場合、卒業生にどれだけPRできるかが鍵になりそうです。

【名古屋大学の学園祭で集団食中毒。】
■「名大祭で44人食中毒症状 模擬店で飲食原因か」(中日新聞)

名古屋大東山キャンパス(名古屋市千種区)で開かれた大学祭「名大祭」会場で7日、模擬店のクレープなどを食べた学生や来場者らが相次いで腹痛や嘔吐(おうと)の症状を訴え、44人が病院で治療を受けた。大半が軽症だが、4人が入院した。市は食中毒とみて調べている。名大祭は学生でつくる実行委員会の主催で、今月5日から4日間の予定だったが8日の行事をすべて中止した。
市消防局によると、7日午後4時20分ごろ、学生から「自分を含め2人が嘔吐し、腹が痛い」と通報があった。午後10時ごろまでに、16歳から44歳の男性13人と女性31人が名古屋第二赤十字病院(同市昭和区)に運ばれるなどした。入院患者は脱水症状などがあるが快方に向かった。
市が保健所職員を病院に派遣し患者から聞き取ったところ、多くが「クレープを食べた」と話した。
名大祭は模擬店の衛生管理も含めて運営は学生が自主的に行い、大学側は特に指導してこなかったが今回の事態を重くみて学内に対策委員会を設置した。
実行委は「今回の件に関する対応は『大学が一元的に行う』との指示が大学側からありコメントできない」としている。
(上記記事より)

楽しいはずの学園祭で食中毒と思われる事態が発生、多くの方々が病院で治療を受けることになりました。
もともとは学生による自主的な運営だったそうですが、事件発生後は、大学側が対応を行う体制に切り替わったようです。大学側に主導権が移るのは、この場合、やむを得ないでしょう。

緊急時の対応をスムーズに行うためにも、普段から学生団体側と大学側が密にコミュニケーションをとっておくことが大事ですね。

【全盲ろう者の博士号取得、日本初。】
■「全盲・全ろうの福島氏に博士号、11日に東大で授与式」(読売オンライン)

目と耳がともに不自由な東京大学先端科学技術研究センターの福島智・准教授(45)に、博士号が授与されることが決まった。
全盲ろう者の博士号取得は日本で初めてといい、11日に東大駒場キャンパスで授与式が行われる。
(略)障害者と社会のあり方を研究している福島准教授は、6年ほど前から博士論文の準備を始めた。言葉のない世界に陥った状況から、指点字で他人との意思疎通が再び可能になる過程を、日記や作文、録音テープなどの資料や、親や友人といった関係者の証言を基に分析。コミュニケーションでは口調や声の強弱といった話しぶりや間の取り方など、言葉の内容以外の感覚的な情報がいかに重要かを考察している。
「人生をかけて、自分しかできない実験を続けているようなもの」と話す福島准教授は「コミュニケーションは空気や水や食べ物と同じぐらい重要だ」として、盲ろう者などへの支援の重要性を強調している。
(上記記事より)

その研究内容も、ご自身の活動ぶりも、多くの方々にとって大きな光になることでしょう。
さらなるご活躍が期待されます。

【若手社会人が講師。】
■「若手社会人を講師に『実践教育』 山形大が新スタイルの授業」(山形新聞)

山形大は2008年度、産・学・民が連携した新たなスタイルの授業を展開している。若手の社会人を講師に招き、さまざまな具体的なプロジェクトに挑戦させることで、実践型のキャリア教育を進めている。全学対象の一般教育科目では初めての試み。
「実践的キャリア教育学」の講義は、1年生を中心に約60人が受講している。同大エンロールメント・マネジメント室の福島真司教授のほか、シーリング(山形市)の稲葉裕社長、サンジン(同)の池田知之社長、民間非営利団体ハーバランス(同)の舟田篤史代表、登府屋旅館(米沢市)の遠藤直人さんが分担して担当。学生は5つのグループに分かれて、8月までそれぞれ魅力たっぷりのプロジェクトに取り組んでいる。
プロジェクトは▽山形市中心商店街の情報を取材してフリーペーパーを作る「山形市中心商店街クチコミ情報誌プロジェクト」▽小野川温泉のほたるまつりで模擬店を企画運営する「小野川温泉おまつりプロジェクト」▽オープンキャンパスで保護者を対象にしたイベントを企画する「山形大学オープンキャンパス内イベント企画」-など。5月29日の講義では、それぞれの担当講師がプレゼンテーションを行い、学生の希望に応じて5つのグループに編成。今月からそれぞれのグループで取り組みを始めた。
課外活動として、社会人とともにマーケティングを学ぶ特別私塾も開き、さらにディスカッションやプレゼンテーション能力の向上を図るメニューも用意した。福島教授は「社会が多様化し、専門だけでは対応できない時代。責任を持ってプロジェクトを進め、社会人から考え方を吸収してほしい」と話している。
(上記記事より)

日本では極めて珍しい「エンロールメント・マネジメント室」を立ち上げるなど、最近、業界の注目を集めている山形大学。
この「実践的キャリア教育学」も、そんな山形大学の取り組みの一つです。

■「シラバス:実践的キャリア教育学」(山形大学)

大学が地域の企業や非営利団体などと一体になって学生を育て、地域力を高めていくという姿勢が、山形大学の取り組みの特徴。
他にも、最近では↓こんな取り組みが報道されています。

■「山形大のエリアキャンパス開講 住民らと交流、歴史や文化学ぶ」(山形新聞)
■「地域力連携拠点、山形大に開設」(NIKKEI NET)

また、大学関係者にとっては見逃せない、↓こんな取り組みも行われているんです。

■「山形大学 – 大学職員サミットやまがたカレッジ2007」(山形大学)

気がつけば、本ブログでもFDの専門家を養成する専門職大学院の開設や、一般からの寄付による奨学金の仕組みなど、山形大学の取り組みを何度かご紹介しています。

どれも、派手ではないかも知れないけれど、注目すべき重要な取り組みだと思います。

【中国の大学入試シーズン、始まる。】
■「地震被災地では大学入試延期 中国、全土で1050万人受験」(47NEWS)

中国各地で7日、大学入学試験が一斉に始まった。受験登録者数は昨年より4%多い約1050万人。中国教育省によると、一部地域を除き2日間の日程で、四川・甘粛両省では、四川大地震で大きな被害を受けた被災地で試験が延期された。
7日付の中国夕刊各紙によると、四川省の被災地で受験が延期となった生徒は9万人に上った。同省で試験に参加したのは42万人で、成都市内の試験会場では、余震に備えて避難場所が設けられた。同省の作文のテーマは「堅強(強固の意味)」だった。
(上記記事より)

日本以上の学歴社会とも言われる中国で、大学入試のための統一試験が始まりました。
今年は地震によって被災した地域の試験が延期されるなどの措置がとられたようです。
他にも、一部の大学で、被災地の学生の優遇策が発表されています。優遇の仕方によっては、後に議論を生むかも知れません。

新華社通信によると、中国政府は23日までに、被害の大きかった四川省の40自治体と甘粛省の17自治体で試験延期を決定。実施時期は状況をみて検討するという。このほか四川省内で予定通り実施する地域でも、設備が被災したことから外国語のリスニング試験を試験科目から外した。
学生らへの支援表明も相次いでいる。華中師範大学(湖北省)は被災学生の得点を1割優遇すると発表。ハルビン工業大学(黒竜江省)も優遇策を取る。
「中国・四川大地震:大学受験生を直撃 来月試験、延期や得点優遇も」(毎日jp)
記事より)

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。