部屋の散らかりぐあいが、引越し後、最悪のレベルになってきたマイスターです。
それは4畳半に広がる小宇宙。
あえてたとえるなら、「胃の中」でしょうか。
理想とするシンプルライフから、どんどん遠ざかりつつあります。
ちょっと忙しい日が続くと、すぐこうなります。
この部屋、通気が悪い設計のうえに、床はデフォルトでカーペット敷きなので、湿気対策も欠かせません。
買ってきた除湿機は一年を通じ、がんがん働いてます。
ベランダがないので洗濯物を部屋干ししていることが、問題に輪をかけています。
そんな苦労をしながらも港区に住み続ける田舎の漢、マイスターが、今日もブログをお送りします。
昨日に続き、「シックスクール」のことを書きたいと思います。
この問題は、小学校から大学、教職員から保護者、地域の皆様にいたるまで、学校に関係するすべての方々にとって大事なことです。
また、「学校のガバナンス」を考える上でも、非常に学ぶところの多いテーマだと思います。
・「シックスクール」の問題を知っておこう
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50034924.html
昨日のエントリーでは、
「シックスクールは、子どもから『教育を受ける権利』を奪う問題である」
「シックスクールは、大人が気づきにくい」
「シックスクールは、子どもの心に二次被害を与えてしまうこともある」
ということをご紹介しました。
今日は、
なぜ化学物質が校舎に蔓延するような事態になるのか?
なぜ、そんな危険な状態の中、授業をするのか?
ということについて触れたいと思います。
まず、そもそも、
「学校は子ども達が過ごす場所なんだから、建物を作るにあたっては、特別な法律で厳しく規定されているだろう」
と思っていらっしゃる方、どれくらいいますか?
確かに学校建築は、設計上、普通のオフィスなどより規制が厳しいです。
階段の幅や、教室の採光など、ゆとりを持って設計しなければなりません。
しかし、化学物質については、これは、あてはまりません。
子どもは、守られてはいないのです。
ちょっとだけ専門的になりますが、建物に関する規定の話をしますと、
まず建物の建設について定めているのは、「建築基準法」という法律です。
この法律では、建物の寸法や性能など、あらゆることについての「最低基準」を設定しています。
その基準を下回るような建物は、作ってはならないのですね。
で、「空気の環境」についても、規定があるわけです。
もともと、二酸化炭素の濃度や粉塵の量などについての規制が中心だったのですが、シックハウス症候群が社会問題化したのを受け、現在では化学物質についても基準を設けています。
2003年に建築基準法が改正された際に、クロルピリホス及びホルムアルデヒドが規制の対象となりました。
■「改正建築基準法に基づくシックハウス対策について」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/sick.html
しかし、この基準、学校のみならず、住宅やオフィスにも適用される数字です。
つまり、
子どもは、おとなより化学物質に弱いのにもかかわらず、
この建築基準法には、子どもの年齢や体格に応じて空気環境の最低基準を変えるような規定はないです。
「学校だからこうしなきゃダメ」というような、学校を特別に保護するような規制は存在しないのですよ。
というわけで、学校を「つくる」ということに関しては、
子どもを化学物質から守るような法整備はされていません。
でも、窓を開けたりしていれば化学物質は消えるわけだし、
問題がなくなれば、使ってもいいんだよね?
…と、思いますよね。
実は学校は、作られた後も、ちゃんと問題なく使える状態に維持されているかどうか、検査をすることになっています。
ご存知でしたか?
文部科学省は「学校環境衛生の基準」という内容の規定を定めています。
これは学校施設が完成した後、どのように学校内の環境衛生を維持していくか、という内容を教職員向けに定めたものです。
■「『学校環境衛生の基準』の改訂について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/02/020202.htm
■「学校環境衛生の基準」文部科学省
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/14/02/020202b.pdf
こちらも、シックハウス症候群の対策を盛り込む形で、2002年に改定されました。
(建築基準法の改正より前ですね。国交省より文科省の方が早く動いています)
ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの4物質については、適切な検査を実施する旨がはっきりと記載されています。
その検査の方法についても、びっしりと、細かな規定がされています。
どうです?
「結局のところ、子ども達が過ごしている学校は検査を受けた上で使われているわけだから、問題ないじゃないか」
と、安心されますか?
ところがところが、そうでもないのです。
例えば、調布市立調和小学校の事例があります。
夏休み中の測定でトルエンが国の基準値の約15倍、ホルムアルデヒドが約1.3倍検出されました。
ところが驚くべきことに、学校側は「濃度は下がるはず」として新学期には校舎の使用を始めていたのです。
この結果、子ども達にシックスクールの症状が現れました。
さらに測定方法についても、調和小のケースは、おかしなことだらけでした。
本来「窓を閉めた状態で測定する」とされているにもかかわらず、窓を開け放った状態で2回目の測定を行い、「濃度は下がった」と報告したのです。
なぜ、学校でこうしたことが起きてしまうのか?
以下は、マイスターの勝手な推測ですが、
学校管理者や現場の教員には、授業の開始を遅らせたり、外部に問題を公表したりすることに関して、相当大きな抵抗があるのではないかと思います。
校舎の使用中止を決定するのは、学校の校長、教員なのか、教育委員会なのか、
そのあたり私はまだよくわかっていないのですが、学校をめぐるガバナンスの中に、何らかの欠陥があるのは確かでしょう。
新築の校舎、新しいカリキュラムで、鳴り物入りで開校したような学校なら、なおのことです。
都立世田谷泉高校も、シックスクール問題を起こした学校の一つです。
この学校は、新しいカリキュラムが目玉の学校ですが、新設校にはこのような斬新な学校が多いですよね。
こうした場合、既に各種メディアにリリースを打ったり、行政内部で様々な手続きを踏んでいったりという「手続き」が数多く存在するのは、想像に難くありません。
それに逆行する行動をとることが、許されなかった、のかも知れません。
残念ながら、これは行政機関等、「手続き主義」で動く組織は必ず持っている性質です。
また新設校ということで、プレスをはじめとして学校自体の注目度が高まっていること、
受験生を絶対に確保しなければならないということ、
そんな事情も当然、あるでしょう。
そんな中で、
「おかしな風評をたてられない」
として、基準値以上の化学物質が検査で明らかになっても、それを隠す力が働いたのではないでしょうか?
教育行政のガバナンスの中では、子どもの身に危険が生じるとしても、学校の開校を遅らせる、なんて絶対に許されないのだと思います。
検査が義務付けられているのだから、
「気づけなかった」のではなく、確信犯的に「事を荒立てなかった」んじゃないか。
それが、シックスクールの隠された原因なんじゃないかと、マイスターは考えます。
少なくとも、問題のおおきな根っこのひとつではあるような気がするのです。
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シックスクールの具体的な事例に関しては、以下のサイトで調べやすいです。
■「シックスクールと化学物資過敏症 新聞報道見出し」(化学物質市民問題研究会)
http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/sick_school/shinbun/cs_shinbun_midashi.html
この他にも、「シックスクール」などで検索すると、情報が豊富にそろった良質なサイトが数多く出てきます。