「3教科入試」「2教科入試」「センター利用」あたりは、まだいいのですが、
「自己推薦入試」
「公募推薦」
「一芸入試」
「ソフトウェア入試」
「AO入試」
「実技入試」
などは、大学によって言葉の意味が異なるので、やっかいです。
入試課を除き、大学の教職員は、基本的に自分の勤め先の入試スタイルだけ知っていればなんとかなります。
でも受験生は、いくつもの大学の受験方式を理解しなければならないので、大変だろうと思います。
ちなみに、ほとんどすべての大学が入試のシステムに
<A方式>
<B方式>
<C方式>
<D方式>
<S方式>
などといった、アルファベット連番のみの名称を付けているのは何故なのでしょう?
そして、(パンフレットの作り方にもよるのでしょうが)入試要項を詳しく読まないと「A」や「B」の指している内容がわからない場合がとっても多いのは、どうしてでしょう?
同じ「C方式」という名称でも、大学によって指している内容が全然違うわけですから、さぞ受験生は混乱していると思います。
もっとわかりやすい表記にしてみてはいかがでしょうか。
個人的にはせめて、
「A1:3教科受験(英国社)2月実施」
「A2:3教科受験(英国社)3月実施」
「B:3教科受験(科目自由選択)」
「C:2教科受験(英数)」
「S:センター試験4科目受験」
…と言った感じで、連番だけでなく、内容を類推できる説明を必ずつけて表現して欲しいです。
マイスターは、「S方式=センター試験利用入試」 だとなんとなく認識していたのですが、そうじゃない大学があって、混乱したことがありました。
さて、こうした入試方式の説明はやっかいですよね。
そこで今回は、ムービー配信を使ってwebで入試の説明を提供している大学がありましたので、ご紹介したいと思います。
■「龍谷大学 入試方式解説ムービー」(龍谷大学)
http://www.ryukoku.ac.jp/admission/movie/index.html
■「立命館大学 一般入試解説ムービー」(立命館大学)
http://www.ritsumei.ac.jp/ritsnet/nyushi_movie06/index.html
ともに、京都の大学ですね。
マイスターは、この2校以外では事例を見つけられませんでした。
(他にも同様のコンテンツを公開されている大学がありましたら、ぜひ教えてください!)
両校とも、単にムービーを使っているということだけでなく、説明のための図がわかりやすいのがポイントです。
ちゃんと、説明にあわせて、順々に表示されます。
当たり前ですが、ただ映像を垂れ流すだけでは意味がないわけで、あくまで説明をわかりやすくするための補完情報としてムービーを利用することが大切ですよね。
そうしたところに気を配っておられるので、見ている方も、説明の内容に集中できました。
あと、ムービー選択メニューがわかりやすく、知りたい情報の説明に簡単にアクセスできるのもいいと思います。
龍谷大学のムービーは、文字テロップが同時に出ます。
わかりやすくて、ありがたいですよね。
ムービーを使うことで、目の不自由な方にも説明を伝えられるわけですが、テロップで、耳の不自由な方にも対応できます。
同じ内容を複数の手段で同時に流すというのは、情報へのアクセシビリティを向上させる基本ですから、これは効果的です。
また受験料の説明など、受験生にとって気になることもちゃんと説明されているのが良いです。
そして、これはとても大切なことなのですが、ムービーが流れている下に、「龍谷大学 資料請求はこちら」というリンクがちゃんと張られているのです。
素晴らしい!
強いて気になる点を挙げますと…
ムービーで説明されている女性の方々(入試部門の方でしょうか?)が、おそらくカメラの上にあるカンペを読みながら話しておられるのですね。
そのため視線が不自然で、なんだか、こちらから目をそらして説明を受けている印象を与えてしまっています。
ユーザーに、不誠実なイメージを与えてはいけませんから、これは次の時には気を付けた方が良いかと思います。
立命館大学の方は、インデックスと、説明の図のわかりやすさがいいですね。
うまく情報が整理されています。
「メイン入試はどの方式か」といった、受験生の目線に立った解説も用意されており、これも好印象です。
合格最低点や、「合格者全体の○%がこの方式から」など、内容も充実。
ナニゲに、試験対策も語られています。これなら受験パンフレットを読んだ受験生も、このムービーを見そうですし、高校や予備校の先生も生徒にこのサイトを勧めやすいでしょう。
また、説明されている方々のプレゼンテーションも、うまいです。
要点がまとめられ、説明の順番にも工夫がなされています。
回によって説明されている方が違うのですが、皆さん、普段からプレゼンに慣れているのだろうなという印象です。
(たま~に方言のイントネーションがぽろっとこぼれるのも、遠方の学生にはちょっと楽しいかも?)
こちらで気になった点は、募集要項請求などに飛ぶリンクが用意されていないことです。
説明した後、出願までして欲しいのだとしたら、そちらへの「出口」も用意してあげた方がいいですよ。
ところで、これは両校に言えることなのですが、
ともにインターネット出願が可能なようですから、この際、ムービーからそのまま出願フォームに誘導しちゃってもいいのではないでしょうか。
・大学のパンフレットやwebサイトを見て、大学のことを知る
↓
・最後にこの入試解説ムービーを見て、「よし、やっぱりここ受けよう!」と最終的に決意
↓
・そのまま出願
…なんていう流れで、このムービーを見る方もいるんじゃないかと思います。
せっかくのインターネット出願システムですから、こうしたところで活かさない手はないですよ。
それともう一つ贅沢を申し上げれば、「質問フォーム」をコンテンツ内に用意されてみたら、なお良いのではないでしょうか。
おそらく両校とも、公式大学webサイトのどこかには、「入試に関するお問い合わせ」を送る画面があると思うのです。
どうせなら、そうした機能を、このムービーコンテンツの中にも入れてみてはいかがでしょう。
入試説明会に参加できず、このムービーで説明をご覧になった受験生や保護者の方が、お問い合わせを送りやすいかと思います。
(電話番号もあるとより良いです)
それにしても、この2校の取り組みは、非常に素晴らしいと思います。
受験生は、入試については、わからないことだらけです。
それを少しでもわかりやすく、という姿勢がムービーから伝わってきます。
それに、入試説明会などに参加できない方が見られるというのは、大きいです。
地方の保護者の方なんて、説明会になかなか参加できない方も少なくないと思います。直接ではないにしろ、こうしてわかりやすい説明を聞けるというのは、受験生の側からすればありがたいことなのではないでしょうか。
また説明会に行ってきた受験生が、家に帰って
「よさそうな大学だった。父ちゃんもちょっと入試方式の説明を見てみてくれ」
なんて言ってこのムービーを開けば、家族で相談しながら見ることもできるわけです。
これ、すごく大きいと思います。
それに説明会と違って何度も見られますから、出願直前の確認などにも使えますよね。
「実際に説明会に来る方が大勢いらっしゃるのだから、それで十分だ。
パンフレットもちゃんと作っている。ネットまで使わなくていいだろう」
という考え方も、各大学の関係者にはあると思います。
ただ、今回の2校のような対応をすることで、結果として受験生は確実にメリットを受けられているわけで、こうしたコンテンツの力を利用しない手はありません。
特に、遠方から受験生を集めようとしている大学は、そのうち「必須」になるかもしれませんよ。
それくらい、こうしたコンテンツがあるのとないのとでは、違います。
以上、というわけで今日は、オンラインのムービー配信を活用して、入試方式に関する説明を提供している大学の事例をご紹介しました。
マイスターでした。