<食育を考える(3)> 食育の現場で活躍するスペシャリスト達

昨日、食育のことを書いているのにインスタントラーメンを食べてしまったと反省しましたが、今日もやっちまいました。
今朝、遅刻寸前の寝坊をし、駅のプラットフォームでサンドイッチを食べてしまいました。

マイスターにこそ、一刻も早い食育が必要みたいです。

(前回の記事)
<食育を考える(1)> 給食指導の功罪
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50112688.html
<食育を考える(2)> 食育基本法ってどんな法律?
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50113871.html

というわけで、引き続き今日は、食育に関わるスペシャリストのことを考えます。

【栄養教諭】

■「栄養教諭制度について」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/

2002年9月の「子どもの体力向上のための総合的な方策について(答申)」にて、「食に関する指導の充実」をはかるため、

-学校における食に関する指導体制を充実するため,いわゆる「栄養教諭(仮称)」制度など学校栄養職員に係る新たな制度の創設の検討を進める。-

と提案されたのが、栄養教諭誕生のキッカケです。

食育基本法の成立に先駆けて、平成17年4月から栄養教諭制度は開始されました。
もちろん「食育基本法」と「栄養教諭」は、日本人の「食」を改善する大きなプロジェクトの上に、ともに位置づけられているのだと思います。

栄養教諭の役割は、食育基本法が進める食育のうち、学校内で行われる教育行為の中心になることです。

—————————————————————–
■「栄養教諭に期待される役割について(PDF)」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/04111101/004.pdf

○食に関する指導に係る全体的な計画策定に積極的に参画し、中核的な役割を果たす

○児童生徒への個別的な相談指導のほか、教科、特別活動、給食の時間などにおいて、学級担任や教科担任と連携協力しつつ、栄養教諭がその専門性を活かした指導を実施

○食に関する指導の充実のため、栄養教諭は、他の教職員や家庭・地域との連携・調整を行うなどの役割を期待
(以上、上記PDFより)
—————————————————————–

上記のPDFには、栄養教諭の活動領域が図で説明されているのですが、
給食に関する活動は、栄養教諭の仕事のほんの一部でしかないことがわかります。

非常に多様な分野で活躍する栄養教諭。

先日の記事でもご紹介したとおり、
様々なジャンルに縦割りされた教育に、「食」という横串を通すのが、食育の在り方なのですねー。
それがよくわかります。

ただそれでもやっぱり、

「制度化したとしても、本当に栄養教諭が現場で他の関係者を指導して、中心的な役割を担えるとは限らない」

という心配はあります。
「総合学習」が良い例です。制度上、全国で一斉に導入されはしましたが、その実践レベルは学校や教員によってバラバラ。
調査や発表まで含め非常に素晴らしい学びを展開する教師もいれば、
地域のゴミを拾って感想文書かせて終わり、みたいなひどい手抜き授業もいまだにあります。

食育も、そんなことにならないか、不安は残ります。

ただ、総合学習と異なるのは、栄養教諭がスペシャリティを認められた免許であるということです。

■「栄養教諭免許制度の概要」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/eiyou/04111101/005.htm

↑こちらは、栄養教諭免許制度の概要です。

栄養教諭の最高位である「専修免許状」を取得するためには、

 「修士の学位」+「管理栄養士免許」+「それ以外に定められた24単位の取得」

という条件が必要です。
これは、かなり高いハードルだと言えましょう。

国家資格である管理栄養士はこれまで栄養関連の最上級資格でした。
合格率は2割程度、しかも受験するには大学の専門の課程を出るか、栄養士として一定の実務経験を積むことが必要です。
ここまでで、既に結構な難関です。これプラス、修士の学位ですからね。

なお栄養教諭には一種免許状と、二種免許状もあります。
一種は学部卒の栄養士&管理栄養士、
二種は、短大卒の栄養士を想定しているようです。

また学校栄養職員から栄養教諭への移行措置も設けられております。
ただそれなりの実務経験が求められる上、管理栄養士を持っている職員でも「栄養教諭一種免許」までしか得られません。

「専修免許状」を持った栄養教諭は、必ず修士以上の学位を持っているという制度設計になっています。

「大学院卒」に限定する以上、専門的な知識に加え、「政策提案能力」のようなものが求められているのだと思われます。
学校内だけにとどまらず、地域の核として食育を先導していくリーダーになることが求められているわけです。
大学院の栄養学研究科が、ある意味、隠れた「専門職養成大学院」のような位置づけになっていくのかも知れません。

実際の現場では、まず、一種および二種免許を持った栄養教諭の方々が活躍すると思います。
全国の学校を満足に満たせるだけの人数が果たして今いるのか、満たせるとしたらいつごろになるのかは、データがないので定かではありません。
栄養教諭を量的に行き渡らせていくと同時に、リーダーとして活躍する人材も輩出されることが、期待されます。

何にしても、栄養教諭が食育の中心になることはほぼ間違いなさそうです。

【管理栄養士、栄養士】

管理栄養士および栄養士として、既に社会で活躍されている方々が数多くいらっしゃいます。

栄養教諭は学校を起点に食育を展開するわけですが、栄養士として深く社会に根付いている皆様には、それぞれのフィールドで食育に関わる仕事を担っていくことが期待されます。

フードサービス産業や、公共の施設、学校、そして企業の食堂など、栄養士が活躍している場は多種多様です。

食育というのは、学校内だけにとどまらず、あらゆる年齢層の人々を巻き込んで行われるわけです。
ですから食育の成功は、こうした栄養士の方々がどのような働きをするかに懸かっていると言っても過言ではありません。

特に管理栄養士は、もともと日本の食を支えてきた、栄養学のエキスパート。
その専門性を活かし、指導的な立場で食育の展開に寄与することが期待されます。

既に日本栄養士会は、栄養教諭創設以前から以下のような見解を発表し、食育の中心として働くことを求めています。

■「食育に関する日本栄養士会の見解」(日本栄養士会)
http://www.dietitian.or.jp/topics&news/topics040311.html

この中では「栄養教諭の創設」も主張されていたようですね。

【学校栄養士(学校栄養職員)】

学校栄養士というのは、学校で働く栄養士のことです。
こういう名前の資格があるわけではなく、管理栄養士の方が、行政の学校栄養職員採用試験などを受けてこうした仕事についたりするのが一般的です。

(…と、調べた限りではわかったのですが、もしかして間違っているところがあるかもわかりません!
 その場合はすぐに訂正しますので、何か気づかれた方がいらしたら、ご指摘をお願いします!)

学校栄養士の職務は、以下のように定められています。

■「学校栄養職員の職務内容について(通知)」(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/sports/004/toushin/010701c.htm

早い話が、「学校給食」に関するあらゆる業務の責任者、ですね。

学校の栄養指導をこれまで担ってきたのは、この学校栄養士の方々でした。
「学校給食」を中心としているところが、栄養教諭との違いです。

栄養教諭が制度化されることで、栄養教諭と学校栄養士の棲み分けがなされていくのかな?などとと思いますが、詳細はまだよくわかりません。
「教えて!goo」に、そのあたりに関する質問がちょうど出ていたので、興味のある方はどうぞ、

・「質問:栄養教諭と学校栄養職員について。」
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1332455

自治体も今後、栄養教諭と学校栄養士を区別して採用していくような感じのようですね。

なお学校栄養士の方々に関しては、資料となるサイトが豊富に存在しています。
こちらもあわせてどうぞ。

・「こちら小学校の給食室です!」
http://www.nikonet.or.jp/~kana55go/

・「学校給食ニュース」
http://www1.jca.apc.org/kyusyoku/

・学校給食研究改善協会
http://www.gakkyu.or.jp/

直接、食育の現場で活躍するスペシャリストとしては、以上のような方々が代表としてあげられるかと思います。
もちろんこれに加えて、各教科の教員や、「家庭」の存在が無ければ、栄養教諭や栄養士がどれだけ頑張っても、さしたる効果は期待できません。

この他にも、様々な方々が食育のために活動しています。
以下は、色々と調べていく上で見つけたサイトです。

■「食育推進担当ホームページ」(厚生労働省)
http://www8.cao.go.jp/syokuiku/
■「給食は生きた教材」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20050712us41.htm
■「子どもの食物アレルギー、学会が指針まとめる」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0902/002.html
■「『食育』で健康増進を 7月に基本法 広がり目指し勉強会」(産経web)
http://www.sankei.co.jp/databox/kyoiku/etc/051129-1etc.html

オススメは最初の2つです。

というわけで、3回にわたって、「食育」に関する記事をご紹介しました。
いかがでしたでしょうか?

マイスターは、既存の学問ジャンルや省庁の担当領域ではなく、食という「テーマ」で社会を見るという食育のコンセプトに共感しました。
いや、別に既存の枠組みがダメだというのではなくて、こうしたテーマごと、目的ごとの動きも大切なんじゃないかと思うのです。
また、その目的のために「栄養教諭」のようなスペシャリストを創出するのだ、という流れも、なんだか合理的でいいなと思いました。
実際、食育の重要性は言うまでもありませんから、こうした専門家達には存分に活躍して欲しいと思います。

食の他にも、こうした横断的な取り組みが必要なジャンルはあるでしょうから、そのモデルになるためにも、食育の試みには成功して欲しいです。

以上、マイスターでした。
3日間、おつきあいありがとうございました。

———————————————————
<関連記事>
・<食育を考える(1)> 給食指導の功罪
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50112688.html
・<食育を考える(2)> 食育基本法ってどんな法律?
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50113871.html

————————————–
<おまけ>
「【データ】増える給食費未納、1億3490万円 千葉県調査」(毎日教育メール)
http://www.mainichi.co.jp/life/kyoiku/edumail/archive/data/200501/21-01.html

「食育」とは違う話題かも知れませんが、これはこれで問題です。

「給食当番」
http://www.kyusyokutoban.com/kyusyoku/

こんな店があるのですか…知りませんでした。
っていうか、値段はそんなに安くないんですね…でも、一回くらい行ってみたいかも。