『非営利組織の経営』 P.F.ドラッカー

この一週間、おなかが急降下し続けていて、一時は死兆星が見えたマイスターです。
ようやく持ち直してきたようです。やはりあのスーパー安売りのメロンが原因だったか…?

今日は、本を一冊、紹介します。
学校で働く人にも、非営利組織に興味がある学生さんにも参考になる本ですよ。


非営利組織の経営―原理と実践

初版は1991年ですので、目にした、読んだという方も多いのではないでしょうか。

著者は、マネジメント研究での世界的有名人であり、いっぱしのビジネスマンなら一冊は著作を読んでいるであろう、P.F.ドラッカー氏です。

まだ彼のことをよく知らない方は、ビジネス本コーナーがある書店なら彼の本のどれかが必ず置かれていますので、興味のわいたタイトルを一冊読まれてみてはいかがでしょうか。どの本も、読んでおいて損はありません。

この『非営利組織の経営(現代”Managing the Nonprofit Organization”)』は、その名の通り、学校や宗教団体、NPO、NGOなどの非営利組織のマネジメントについての本です。

ドラッカーに寄れば、アメリカの成人の2人に1人、総数にして9,000万人の男女が非営利機関で「無給のスタッフ」として働き、この「第二の仕事」に週当たり最低でも3時間、平均して5時間を使っているとのこと。非営利機関は、アメリカにおいて「最大の雇用者」になっているというのです。
(※これらの数字は、出版時のものです)

このような労働力をどうマネジメントしていくか?
そんな問いに対して、様々なインタビューや統計データをもとに、ドラッカーが論じています。

ドラッカーがまず、最初にやるべきこととして挙げているのは、組織の目標(使命)の設定、リーダーの役割をしっかりと認識し、描くことです。

漠然としたことのようにも思えますが、確かに考えてみれば、これが最初に出てくるのも納得です。

一般の営利企業は、順調に儲かってさえいれば、組織のビジョンや理念なんて、なくてもそんなに困りません。
株式会社だったら、株主の利益を最大化するという目的を果たしている限り、会社が空中分解するなんてことはないでしょう。

でも、非営利組織は、違います。

非営利組織は、明確な社会的使命、目的を果たすために結成された組織です。
したがって、「なんとなく運営」は、本来、許されません。

非営利組織で働く人々は、自分が確かに社会的な目的を果たすために役立っている、という手ごたえや充実感を感じられてはじめて、機能するのです。
ボランティアの人がそうであるのは言うまでもありませんが、有給のスタッフを含め、他のステークホルダーにとっても、ある程度それは当てはまるのではないでしょうか。

マイスターが思うに、ちゃんとした非営利組織は

   目的設定
 → 達成のための手段立案
 → 実行
 → 成果測定
 → 手段再検討

というサイクルをきちっと実践しているのでしょう。

なんだか、できるビジネスマンになるマニュアル!なんて本に書かれていそうなことですけれど。

さて、目的・使命設定の後、ドラッカーはその使命を成果に結び付けるための方法として、

 「勝つための戦略」
 「市場の定義」
 「支持層の構築」
 「成果をあげるため意思決定」

などの重要性を論じています。

具体的な手法について、アメリカを代表する様々な非営利組織のリーダーにインタビューをしていますので、これまた、参考になります。

どうです、よさそうな本でしょ?

非営利組織にとって、かつて「マネジメント」という言葉はタブーであったと、この本は言っています。

組織の崇高な目標を達成するために無給で働いている、そのことを過度に神聖視したり、
人材管理や募金戦略といった手法を、唾棄すべきものとみなしたり
貴重な活動資金を、活動拡張のための広告費として使うことを否定したり。

そんな考え方が、アメリカにもあったと語っています。

もちろん、ボランティアで働くスタッフにとっては、仕事の成果より、仕事の過程そのものが重要かもしれませんし、それは、悪いことではないと、マイスターは思います。

が、組織を経営する立場の人間は、成果をあげることにこだわっていいのです

いや、おそらく、一般の企業経営者以上に、こだわらなければいけないのでしょう。
この本を読んで以来、そう考えるようになりました。

非営利組織がもっているリソースは、ボランティアが組織のために使ってくれる膨大な時間や、善意から集まった寄付金です。
「費用対効果」の概念をもって、こうした限られた資本を最大限に生かす知識と手腕、ビジョンが、非営利組織の経営者には求められているのだと思います。

非営利組織の世界は、きっと、一般の企業以上に、経営の実力が求められる戦場です。
善意や使命感だけで突っ走って、走りきれる世界でもないのでしょう。

以前紹介した社会起業家―「よい社会」をつくる人たちとあわせて、本当に社会を変えたい人に、お勧めです。

そこの学校経営者のあなたも、読んでみませんか?