「豪大陸縦断ソーラーカーレース、東海大が優勝」ほか

マイスターです。

ここしばらく、書店で雑誌の「大学」特集が目立っていました。

定期的に各誌がこうした特集を組みますが、年々、大学経営に関する情報が充実度を増してきているように思います。
センセーショナルな誌面をつくろうとしたのか、「これってどうかなぁ?」と思うような偏った情報や分析もたまにあるのですが、参考になる情報も少なくありません。
手元に置いておくと、何かと便利かも。

さて今日も、ここ一週間ほどの教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

今週は、「学生さん、頑張った!」……という内容のニュースを多く見かけました。

【海外の大会で優勝!】
■「豪大陸縦断ソーラーカーレース、東海大が優勝」(afpbb.com)

オーストラリア北部ダーウィン(Darwin)から南部アデレード(Adelaide)まで、豪大陸を縦断する3000キロのソーラーカーレース「World Solar Challenge」で、東海大学(Tokai University)チームが28日、平均時速100キロ以上を出してトップでゴールした。
東海大の「Tokai Challenger」号は、現地時間28日午後3時39分にゴール。走行タイムは29時間49分だった。
レースは25日から4日間にわたって行われ、コースはオーストラリアの砂漠地帯を通過するものだったが、東海大チームは1回のタイヤのパンクだけでほぼ完璧な走りを見せた。平均時速は100.54キロで、2位との差は2時間以上もついた。
4連勝のオランダ電力会社NUONチームを破っての優勝で、日本チームとしての勝利は1993年の「Honda Dream II」以来。
(上記記事より)

世界各国から参加者が集まって開催されるソーラーカーレースで、東海大学のチームが2位以下に大きな差をつけ、優勝しました。
プロジェクトに参加された皆さん、おめでとうございます!

詳細は、↓大学のプレスリリースをご覧ください。

■「世界最大規模のソーラーカーレースで優勝しました」(東海大学)

東海大学は、ソーラーカーの他、ロケットや人力飛行機などのものづくり、高齢者や障害者支援、地域活性化、デザイン、サイエンスコミュニケーター養成など、様々な学生プロジェクトが運営されていることで知られています。
理工系のプロジェクトが多めですが、決してそれだけではありません。

こうした活動の中心になっているのが、「チャレンジセンター」。
運営面や活動のPR展開などで学生の活動を支援しながら、プロジェクトを通じて学生を育てている組織です。

■「チャレンジセンター」(東海大学)

マイスターは、「塾大連携プログラム」を担当していることもあり、高校生と一緒に各種の学会や競技会に行くことが多いのですが、行く先々で、同センターの「でかちゃれ」の文字を見かけます。

教員だけではなく、様々な立場のスタッフが、それぞれの方法で学生を育てる。
大学の教育力には、こういうものもあるのだなぁと、いつも感じます。

【学生の視点で。】
■「『かわいい』途上国支援 フェアトレード」(Asahi.com)

「かわいい」「欲しい」からの国際貢献――そんなメッセージを込めたファッションショーを31日、宇都宮大学の学生たちが開く。「フェアトレード」で輸入された衣服を着て、ステージに登壇。フェアトレードについて知ってもらい、「海外に行かなくても日本で買うだけで発展途上国の生産者の自立と安定につながる」とアピールする。
(略)生沼さんは、高校時代からフェアトレードやボランティア活動に興味があった。大学入学後、所属サークルがかかわるイベントでフェアトレードを紹介してきたが、「たいそうなことをやっているね」とよく言われた。中身を理解してもらえないことが歯がゆかったが、「ファッションショーなら『かわいい』『私も欲しい』と感じ、フェアトレード品を買ってもらうことで国際貢献につながる」。
すぐに大学が募集する「学生支援プロジェクト」事業に応募し、20万円の支援が受けられることになった。
(略)ファッションショーは午後3時10分から、同市峰町の同大学講堂で開かれる。講堂は1924(大正13)年、宇都宮高等農林学校時代に建てられた洋館で、今年3月に修復工事を済ませた。「歴史を感じさせる建物だが、学生にあまり知られていないから選んだ」と生沼さんは話す。
(上記記事より)

フェアトレードの取り組み、世界各国で進められています。
最近では、先進国でも人気が出るような、デザインや品質にこだわった商品を展開する取り組みもあるようです。

上記の宇都宮大学の学生さん達が行う取り組みも、そんな取り組みの一つ。
「かわいい」という視点で、キャンパスでのファッションショーというのは、学生らしいアプローチですね。

こちらも、大学が行う「学生支援プロジェクト」事業の支援を受けているという点に注目です。

【本格的な商品に。】
■「学食生ゴミを『エコスイーツ』鹿大生ら販売」(Asahi.com)

鹿児島大学の学生たちが、大学の食堂(学食)から出た生ゴミを堆肥(たい・ひ)にして育てたサツマイモやカボチャで作ったケーキなど5種類を期間限定で販売している。その名も「エコスイーツ」。郡元キャンパスの中央食堂で30日まで販売している。
大学の教員と学生が進めているプロジェクトの生協部会の学生25人が企画。原料は、郡元キャンパスの学食から出る生ゴミにおがくずと腐葉土を加えて堆肥にし、農学部の農場の2アールを借りて無農薬栽培した。
法文学部の大前慶和准教授(環境経営学)によると、以前は教員が研究の中心だったが、07年に「学生と一緒に取り組むサークル活動」に転換。同年には同じく生ゴミの堆肥を使って育てたサツマイモで「芋ご飯」などを学食メニューにした。昨年は「エコ芋パン」を販売し、400個が完売した。
「食堂で出た生ゴミが、また商品に生まれ変わるのがみそ」と大前准教授。「プロジェクトを通して、環境問題を考えることが非常に楽しいものに変わった」と話す。
3年目の今年は鹿児島市の菓子店「ヤナギムラ」の協力を得てケーキやプリンなどのスイーツを開発。約60種類の案を学生たちが提案し、7月ごろから試作を繰り返してきた。
販売初日の26日は、販売開始から1時間でプリン75個が完売。「学食の生ゴミがこんなにおいしいスイーツになると思う人はいないのでは」と生協部会の会長で法文学部3年の木宮寛人さん(20)。「環境問題を楽しみながら、学生でもこんなことができると分かってもらいたい。一般のお客さんも大歓迎です」
(上記記事より)

こちらは、教員の取り組みが学生の活動に引き継がれ、さらなる広がりを見せているという例。
きっかけを作られた教員の方や、学食の方々、菓子店「ヤナギムラ」の方々など、様々な方がサポートされているというのも、大事なところだと思います。

ちなみに「ヤナギムラ」って、地域を代表する、結構有名なパティスリーだそうです。
単に商品化を目的とするのではなく、「どうせなら、誰もが食べたくなるような美味しい商品に」という発想。前述のフェアトレードと共通する視点があるように思います。

自己満足で終わるのではなく、こういった「本気で定着させてやるぜ」度が高い取り組み、大事だと思います。

【突っ走っています。】
■「明大がマンガ図書館計画、資料200万点保存」(読売オンライン)

明治大学(納谷廣美学長)は22日、東京都千代田区の駿河台キャンパスに、200万点以上のサブカルチャーの資料を保存する「東京国際マンガ図書館」(仮称)を作る計画を発表した。
今月31日に開館する漫画の専門図書館「米沢嘉博記念図書館」を手始めに、同大が収集したアニメやゲームの資料のほか、私立のマンガ図書館や「コミックマーケット」に出品された同人誌も、購入や貸与などの方法で保存する予定。資料の規模で世界最大級を目指し、2014年度の設立を目指す。既にある建物を利用するか新築するかは未定。
日本のマンガやアニメは国際的評価が高まる一方、公共図書館でも資料保存は不十分と言われるが、同大では、「将来の研究などに生かすため、さまざまな機関と連携した資料保存を進めたい」という。
(上記記事より)

明治大学と言えば、マンガやサブカルチャーに関する図書館「米澤嘉博記念図書館」を開設すると発表し、話題になりました。

(過去の関連記事)
・明治大学がマンガの図書館を設立

ちなみにその「米澤嘉博記念図書館」、10月31日、つまり明日にオープンです。
既に公式サイトには蔵書検索システムも立ち上がっていて、試しに「手塚治虫」と検索してみたら425件ヒットしました。

そして、今回報道された「東京国際マンガ図書館」(仮称)は、それとはまた別のプロジェクトです。
こちらも、リリースと同時に、公式サイトがアップされています。

■「東京国際マンガ図書館」(明治大学)

CGによるイメージ映像も。
それによると、今回の「東京国際マンガ図書館」には、観光庁や国際交流基金の他、コミックマーケット準備会や海洋堂などが協力。
イベントホールは、同人誌の展示即売会なども想定している模様です。

これらの図書館は、日本のポップカルチャー、サブカルチャーなども研究対象にする「国際日本学部」の研究拠点になるのでしょう。
この学部名を初めて聞いたときには、正直「?」と思った方も少なくないかもしれませんが、一連の計画により、この分野で勝負をかける明治大学の本気っぷりが伝わってきたのではないでしょうか。

とりあえず、どちらの図書館にも、一度行ってみたいです。

【マグロ出荷中。】
■「近大の完全養殖マグロ、過去最大の出荷数に」(読売オンライン)

世界で初めてクロマグロ(ホンマグロ)の完全養殖に成功した近畿大水産研究所大島実験場(和歌山県串本町)は23日、幼魚(ヨコワ)の今年度の生産は約4万匹で、昨年度の4倍に増えたと発表した。
養殖業者への販売数も過去最大の3万2400匹となる見込み。同研究所では「天然資源が減少する中、量産化への大きな一歩」と期待している。
(略)生存数の大幅アップについて、生産拠点を同実験場のほか、浦神(那智勝浦町)と奄美(鹿児島県)の両事業場にも広げたほか、独自に開発した配合飼料の品質を向上させたことで稚魚の栄養状態が改善された――などの要因を挙げている。
同研究所の村田修所長は「今後、品種改良などにも取り組みながら、天然物に勝る『近大マグロ』の量産化につなげたい」と話している。
(上記記事より)

研究成果を商品化する取り組みの中でも、成功例としてよく紹介される、近畿大学の「近大マグロ」。
本ブログでも以前、↓紹介させていただきました。

・第2回 『大学は美味しい!!』 フェア(1):「学市学座」+「大学は美味しい!!」連動企画 
・第2回 『大学は美味しい!!』 フェア(2):各大学のブースをレポート!

「実験」のフェーズから、大規模な生産・販売体制の確立に向けて、着々と事業が本格化している様子。大学に、大きな利益をもたらすようになるかもしれません。
売り上げによって、「近大マグロ奨学金」みたいなものが作られる日も近いかも?

以上、ここしばらくのニュースでした。
タイトルから、「ニュースクリップ」の文字を取っちゃいました。

それでは今週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。