LEC東京リーガルマインド大学も募集停止

マイスターです。

イベントの取材が始まる前に

■「愛知新城大谷大学、短期大学部も募集停止」

……なんて記事書いて、イベントのレポートが終わったときにはもう次の募集停止事例が出ていました。


【今日の大学関連ニュース】
■「LEC大、学部生募集を停止=株式会社立、入学者が減少」(時事ドットコム)

株式会社が設立したLEC東京リーガルマインド大学(東京都千代田区)は18日、2010年度以降の学部生の募集を停止すると発表した。入学者が減少し、学部の累積赤字は3月末で約30億円に達していた。大学院は募集を継続する。
LEC大は04年に構造改革特区制度で開校した初の株式会社大学の1つ。資格試験対策の予備校を展開する東京リーガルマインド(東京本部・中野区)が運営している。
全国に14キャンパスがあったが、志願者の減少で今年度は千代田キャンパスでのみ学部生を募集。入学者は定員160人、募集目標60人に対して18人だった。08年度は26人。学生がいる間は授業を続けるとしている。
(上記記事より)

LEC東京リーガルマインド大学が、募集停止です。

■「LEC 大学の定員割れへの弊社の対応につきまして」(株式会社東京リーガルマインド)

同大は、規制緩和によって生まれた「株式会社立大学」であることで知られています。

LEC大は04年4月に開校した。小泉改革の目玉だった規制緩和によって、「構造改革特区」で学校法人以外に株式会社でも大学が設置できるようになったのを受け、資格試験予備校などを経営する株式会社「東京リーガルマインド」(反町勝夫社長)が設置した。通常は設置認可まで8カ月程度かかるところ、株式会社立大学に適用される特例で、3カ月という短期間の審査で設置が認可された。
「LEC大、来年度の募集停止 日本初の株式会社立大」(Asahi.com)記事より)

LEC東京リーガルマインド大学は2004年に、東京・大阪の2拠点で開校。
その後、各地の自治体などと連携し、一時期は全国に14校舎を展開しています。

しかし2007年、勤務実態がない専任教員が非常に多い、ビデオを流すだけの授業がある、など、いくつかの点で文科省から改善勧告を受けました。

■(ニュースクリップ[-1/27] より)「LEC大、東京だけに縮小…地方では学生募集せず」(読売オンライン)

その後、受験生が集まらず定員割れが悪化。
一部の校舎を廃止し、2009年度の募集は、東京だけで行っていたとのことです。

LEC大に対しては、文部科学省が19年1月、専任教員の実体がなく、専門科目が予備校の科目と事実上同一化しているなどとして改善勧告を行った。同大は「当初描いていたカリキュラムなどが方向転換を余儀なくされ、一般の大学との差別化ができなくなったのが入学者低迷の一因」と説明している。
「LEC大が学生募集停止 入学者、定員の1割」(MSN産経ニュース)記事より)

……という報道もありましたが、別の報道によれば、実際には、2006年から定員割れが起きていたようなので、文部科学省の勧告があってもなくても、既に社会からの支持は失っていたのではないかと推察されます。

同じ株式会社によって設立された大学では、「LCA大学院大学」が昨年、募集停止を発表しています。

■「株式会社立のLCA大学院大学が募集停止」

このときは、鳴り物入りで始まった「株式会社立大学」のシステムに問題が起きたということで、「ほれ見ろ、企業が金儲け目的で大学をやるからだ」という批判が様々なところから上がっていました。
「株式会社立大学」という仕組み自体の問題点として論じたり、小泉改革批判につなげて語る方も多かったように思います。

今回のLEC東京リーガルマインド大学の場合は、以前に比べれば、あまりそういった報じられ方はされていません。
ここ最近、学校法人による「普通の大学」があまりにも連続で募集停止したので、さすがに「株式会社立」という点だけを責められなかったのかもしれません。

(過去の関連記事)
(2009年6月12日)■愛知新城大谷大学、短期大学部も募集停止
(2009年6月11日)■募集停止する大学と、その定員充足率:分かれる「経営判断」
(2009年6月8日)■聖トマス大学が募集停止 最後の入学者の4割は留学生
(2009年4月24日)■三重中京大学、および短期大学部が募集停止

↓少ないながら、今回も見つけた事例。

小泉改革の規制緩和で生まれた経営形態の行き詰まりは、利潤追求が目的の株式会社による大学運営をめぐる論議に影響を与えそうだ。
「LEC大、来年度の学生募集停止 「株式会社立」定員割れ続く」(47NEWS)記事より)

普通の大学でも募集停止が続く最近の状況を知っていたら、こういった論調がもうあまり意味を持たないと感じると思うのですけれど。
「利潤追求が目的の株式会社による大学運営をめぐる論議」というのも、ちょっと強引な気がしますし。株式会社立大学ぜんぶが金儲けのために作られているという印象を与えそうで、まっとうに大学を運営している株式会社立大学の関係者が気の毒。

↓このくらいが、客観的に言える範囲なのではないかとマイスターは思います。

株式会社立大学は全国に6校ある。特色ある教育で評価される大学がある一方、経営面や教育環境、内容が不安視される大学もあった。
「LEC大、来年度の募集停止 日本初の株式会社立大」(Asahi.com)記事より)

個人的には、学校法人だろうが、株式会社立大学だろうが、良い大学は良いし、ひどい大学はひどいと考えています。
学生を集められるかどうかも、設立母体とはあまり関係がないのでは。

どんな教育方針を持つ大学になるかは、関わる人達の考え方次第でしょう。
学校法人であっても、見栄や、特定の誰か(政治家や行政)の都合だけで開設されたような、教育理念がすっぽり抜け落ちた大学はやまほどあります。
先日の記事でも申し上げたように、経営が危険水準に陥っていながら、何も決断できずにいる大学も、少なからず存在しています。

その点で言えば、LEC東京リーガルマインド大学が行っていた教育が、学生の信頼を得られるものではなかったという一点に尽きるのではないでしょうか。
(実際、これまでの各種の報道を見る限り、疑わしい内容のものも多いように思われます。教職員が学生に対して十分な指導をできる体制でもなかったようですし)

……なんてことを、報道を見ながら思った、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

1 個のコメント

  • ■LEC大:来春から学部生の募集停止 定員割れ続き、累積赤字30億円-サブ・プライムローンと同じようにNPOの分野に民間営利企業が入り込むと失敗するという格好の事例か?
    こんにちは。LEC大学、というか、株式会社大学は結局失敗だったようです。私自身は、最初から失敗するのではと思っていました。私のブログでは、その根拠を掲載しました。結論として、NPOの分野に民間営利企業が入りこむと、失敗するというものです。日本では、報道されませんが、アメリカでは随分前から NPOが低所得者向け住宅の提供をしており、成功し続けています。サブプラムローンによる破綻は、民間営利企業がこの分野に入りこむと失敗することの格好の事例となったと思います。LEC大学の失敗も本来NPOの分野に民間襟企業である株式会社が入り込んで失敗したものであり、根本的にはサブプライムローンの問題と共通点があります。詳細は、是非私のブログをご覧になってください。