「楽しめなかったら観戦代無料」 スタンフォード大学スポーツ部門の取り組み

マイスターです。

大学のサービスに民間企業的な視点を入れようという意見は、よく耳にします。
民間企業出身の方を大学のスタッフに招いたり、大学職員が地元の企業などで研修したりという取り組みも、しばしば見かけます。
確かに民間サービス業が持っているサービスへの考え方や、サービス実践のためのノウハウには、大学や行政機関などでも求められそうなものが少なくありません。

一方、海の外を見てみると、大学のサービスが民間企業をリードしている例があったりします。

【今日の大学関連ニュース】
■「ファン獲得へ“お代は見てから” スタンフォード大学が返金制度導入」(FujiSankei Business i.)

スタンフォード大学の競技スポーツ部は、勝ち負けに関係なく、アメリカンフットボールの試合に満足できなければ返金に応じるという制度を導入した。楽しめなければ、観戦代が無料になるというわけだ。その評価はマーケティングでいうところの「顧客経験価値」に基づき、交通の便、飲食物の温度、トイレの清潔さなど多岐にわたる基準で判断される。
「われわれの顧客経験価値が最高だというのではありません。ただ、ファンの人たちに最大限楽しんでもらうための努力をしています。それこそ、自宅を出てから帰り着くまで」と、同部のマーケティング・ディレクター、ボブ・カルエスコ氏は語る。
制度の定着具合を確認するため、試合の開催日に同大のスタジアムに足を運んでみた。スコアボードには改善点に関する投書を呼びかけるメッセージが定期的に流れる。売店にはコメントカードが用意されている。職員が清掃に当たり、トイレの順番待ちが長いなど気づいたことをメモしている。
スポーツチームはファンを顧客として考えるべきだとは、ずっと前からいわれていることだが、なかなか実践されていない。レジャーの選択肢が無数にあり、しかも今後は個人が使える遊興費が減っていくだろうと予想されるにもかかわらずだ。
スタンフォード大学アメフト部のシーズンチケットを持つファンは2万5000人。そのうちの9割以上が毎年更新する。しかし問題は既存ファンの維持ではなく、新しいファンの開拓だ。
「返金制度」は、関心のある人に金銭的なリスクなしに商品を試してもらうことを目的としている。「一度見たらやみつき」を狙っているのだ。
「スポーツチームにどんなことをお望みですか?」とカルエスコ氏に尋ねられた。私の答えはこうだ。
大学、プロを問わず、多くのチームにスタンフォード大学をまねてもらいたい。
(上記記事より)

そんなわけで、アメリカ・スタンフォード大学から。
正確には、スタンフォード大学のスポーツ部門の話題です。

アメリカの大学には、スポーツに力を入れているところが少なくありません。

様々な面でバランスの取れた人材を育成しようというのが、アメリカの多くの大学で掲げられているリベラル・アーツ教育のミッションのひとつ。スポーツの振興も、そんな人材を育てる教育環境の一環と考えられていたりするようです。

そしてもうひとつの大きな理由が、大学のブランド戦略。
日本でもそうですが、スポーツが強いと、関係者は大学への帰属意識や愛校心を抱きやすいのですね。それが最終的には、OB・OGからの寄付金回収額にまで影響を与えるというのです。
いきおい、大学側もスポーツの盛り上げには力を入れてきます。

そんなわけで、顧客サービスやマーケティング手法に長けたアメリカの大学らしく、大学スポーツでも民間企業顔負けの実践を行っています。

その一つが、冒頭でご紹介した、「勝ち負けに関係なく、あらゆる点で試合を楽しめなければ、観戦代が無料になる」という返金制度だというわけです。
その判断基準は、「交通の便、飲食物の温度、トイレの清潔さなど多岐にわたる基準で判断される。」とありますから、ダテではありません。
あらゆる点を改善し続ける覚悟がなければ、サービス業は成立しないという言葉を誰かが言っていたような気がしますが、この返金制度は、まさにそんなサービス業の究極の姿です。

■「Football – Stanford University Official Athletic Site」(Stanford University)

↑ちなみにこちらは、スタンフォード大学フットボールチームの公式サイトですが、日本のプロスポーツチーム並み、いやそれ以上に充実したwebサイトです。
試合情報はもちろん、チームの情報や、YouTubeのコンテンツなどなど、試合を盛り上げる工夫が盛りだくさん。色々な点で、スポーツを楽しむ時間を提供している、という感じです。
こんなところの満足度も、チェックされているかもしれませんね。

日本では、いきなりここまでは行けないと思いますが、色々と参考になる部分もあると思いましたので、ご紹介させていただきました。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。