マイスターです。
今週は一週間、タヒチ(フレンチ・ポリネシア)に海外出張しておりました。
東京工業大学・広瀬茂雄研究室の皆様とマサチューセッツ工科大学が連携して行う共同実験に、「スーパー ロボティクス プログラム」に参加した現役高校生達を連れて行ったからです。
そちらの詳細は、追って↓こちらのブログでご紹介していきますので、ご興味のある方はご覧下さい。
■「SRP:スーパー ロボティクス プログラム エントリー一覧」(スーパープログラム・ブログ)
さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。
【アラブ首長国連邦に教員を派遣。】
■「一橋大、UAEに教員派遣 経営管理で特別コース」(NIKKEI NET)
一橋大学は27日、世界有数の産油国であるアラブ首長国連邦(UAE)の高等技術大学(HCT)に経営管理に関する特別コースを設け、教員を派遣することを決めた。慶応義塾大学はUAEのアブダビ首長国の新設大学に9月にも教員を送り込む方向で準備中。留学生の受け入れも実施する。
(上記記事より)
日本の大学ランキングには、「外国人教員比率」という項目がありますが、「外国に派遣している教員の数」という項目も作ったら面白そう。
近隣の東アジアの国々から欧米諸国、はるか離れた中東の国まで、どの国にどのくらい、どんな分野の教員を送り込んでいるかということを世界地図にプロットしたら、その大学の隠れた評価が明らかになるかも知れません。
【PRにあたっているのも学生。】
■「びわ湖大学駅伝 交通規制に『理解を』」(読売オンライン)
11月15日に開催される「びわ湖大学駅伝 第70回関西学生対校駅伝競走大会兼西日本大学招待」(関西学生陸上競技連盟、読売新聞社など主催)を前に、同連盟の大学生ら21人が29日、大津、守山両市にかかる琵琶湖大橋周辺で、PRと協力を呼びかけるためのチラシ3000枚を配った。9月3日にはコース沿いで、さらに1万2000枚を配布する。
昨年からたすきをつなぐ繰り上げ時間が5分から10分に延長され、同大橋周辺の通行止めの時間が長くなったため、重点的に訪問。9月20日開店予定のショッピングモール「ピエリ守山」や、コース沿いのコンビニエンスストアなどで、店内にチラシを置いてもらうよう依頼したほか、交通規制や予想される混雑についての理解を求めた。
(上記記事より)
チラシの印刷代などを出しているのは読売新聞社なのかなと思いますが、配布しているのは学生の皆さんなのですね。
このように多くの大学が関わる有名イベントはいくつかありますが、その運営に、こうした形で学生が関わっているということは普段、あまり報じられません。
自社のイベントをアピールする記事であるとは言え、ちょっと新鮮に感じました。
【「修士号」の扱いを巡るちょっとした違い。】
■「吉田&伊調姉妹に 母校中京女大名誉修士号」(nikkansports.com)
北京五輪の女子レスリングで金メダルを獲得した55キロ級吉田沙保里(25)63キロ級伊調馨(24)と銀メダルを獲得した48キロ級伊調千春(26=いずれも綜合警備保障)に、母校の中京女大(愛知県大府市)から「学位」のごほうびが贈られる。3選手は28日、愛知・大府市内で祝勝パレード。同日に同校で行われた凱旋(がいせん)報告会で谷岡郁子学長(54)が同校初の「名誉修士号」を授与する意向を明らかにした。
(略)最初は「修士って何ですか?」ときょとんとしていた吉田は内容を聞かされると「すごいじゃないですか」とびっくり。3連覇がかかるロンドン五輪は「修士で金」を目指す。
(上記記事より)
■「朝原、母校の同志社大に銅メダル報告『次は修士論文』」(スポーツ報知)
北京五輪の陸上男子四百メートルリレーで銅メダルを獲得した朝原宣治選手(36)が30日、母校の同志社大(京都市)を訪れ八田英二学長に結果を報告。「重圧はあったが、最高の結果を出せて満足」と笑顔を見せた。
八田学長は「大学全体が喜びに沸き返っている」と祝福。朝原選手は持参したメダルを胸にかけて学長と握手した。実は同大大学院を休学中の朝原選手は「まずは修士論文を書いて卒業したい」と話し、周囲の笑いを誘った。
(上記記事より)
ともに、北京オリンピックでメダルを獲得したアスリート。
たまたま、両方で「修士号」のことが触れられていたのですが、選手本人の学位に対する思い入れが好対照でした。
ちなみにハンマー投げの室伏広治選手は、「ハンマー頭部の加速についてのバイオメカニクス的考察」という博士論文で昨年度、中京大学から博士(体育学)を授与されています。
研究能力を兼ね備えたトップアスリートの皆様は、自身の競技の指導にかかわらず、今後、様々な形での活躍が期待されるところです。
【究極のヘリコプター・ペアレンツ?】
■「天津 子供の大学付近に保護者も『引越し』」(japanese.china.org.cn)
かつて孟子の母は子供の教育のために3回引越しをしたというが、現在では小中学校、ひいては大学にいたるまで、子供の学校の近くに「引越し」する家庭が多く現れている。「北方網」が伝えた。
「娘が南開大学に合格したため、部屋を探しています。長期間を希望。」南開大学キャンパス内の掲示板では25日、こういった部屋探しの広告が見られた。夏休みに入って以来、大学生の保護者が子供に付き添って暮らす現象が天津市の大学で増加しつつあり、大学周辺には徐々に独特の「保護者付き添い学生」の住宅エリアが形成されている。多くの保護者は子供の学習や日常生活を心配し、天津に来て付き添って暮らしている。
(略)「娘は東北の故郷から天津の大学に合格した。娘は小さいころから家を離れたことがなく、今回大学に入学するのも全く心配でたまらない。私は早期退職してやることもないから、ここで部屋を借りれば、子供が天津で大学に通うのにも孤独感を感じさせずにすむ」と李さんは語る。李さんの1カ月の支出は、部屋代が1200元、親子2人の食費が約800元、光熱費やその他の雑費を含むと1カ月に 3000~4000元の出費となる。
李さんのように働く必要がない付き添いの保護者は、天津市の大学周辺の「保護者付き添い学生」の住宅エリアで約6割以上を占めているという。
(上記記事より)
子どものために何かと世話を焼く保護者のことを、ヘリコプター・ペアレンツと呼びます。
普段は子どもの上で「旋回」しており、何かあったら急降下して駆けつけ、子どもに代わって対応するというのが言葉の由来なのだとか。
日本に限らず、中国や韓国、アメリカなどでも使われている言葉だと聞きます。
ヘリコプター・ペアレンツが「保護・監視」する対象は、大学生。
子どもに代わって大学にクレームや要望を出したり、子どもの就職活動に代理として登場する保護者が問題となっています。
こちらの記事で紹介されているのは、子どもの大学生活に保護者が「ついていく」という中国の事例。
ある意味、究極のヘリコプター・ペアレンツです。
日本でも、「実家通学しか認めない」という保護者層は存在します。
大抵はその理由として経済的な事情を挙げますが、それは建前で、本当は単に心配だから親元から離したくないだけなのではないか、と思うこともたまにあります。
大学職員時代、保護者から休講の電話や問い合わせを何度も受けたマイスターの印象です。
【英雄的行為で大学合格。】
■「四川大地震の『英雄少年』、最高学府に推薦入学―中国」(レコードチャイナ)
2008年8月28日、京華時報によれば、四川大地震で人命救助などに活躍し、清華大学に推薦入学することになった王佳明(ワン・ジアミン)さんが、24日、北京に到着し、大学で入学手続きを行った。
王さんは19歳で、チャン族。5月12日の震災発生時には、北川高校で授業の最中だった。クラス長だった王さんは同級生の避難を誘導し、さらに倒壊した校舎の中から、生き埋めになっていた生徒を20人以上救出。王さんは6月27日、その功績により「抗震救災英雄少年」として表彰されるとともに、中国の最高学府である清華大学と北京大学への推薦が決まった。
(上記記事より)
詳しくは元記事をご覧下さい。
英雄的な行為を行った方の功績はもちろん否定されるものではありません。
ただ、入学後についていけるだけの学力はどこで担保されたのかとか、そもそも大学への入学というのはご褒美のように与えられるものなのだろうかとか、色々考えさせられる内容です。
あと、ひねくれ者のマイスターとしては、そもそもこの合格と報道自体が、国のメディア戦略なんじゃないか、という穿った見方すらしてしまうところなのですが、皆さんはどう思われますか?
以上、今週のニュースクリップでした。
タヒチにいる間は、無線LANがホテルの庭にしか通っていないという理由で、夜、屋外でブログを書いておりました。
もう3年以上ブログを書いておりますが、星空を見ながらブログを書くというのは、初めての体験でした。
南十字星がとても綺麗で、毎回のブログの書き出しも何か詩的な感じにしようかと考えましたが、「北斗の拳」のネタしか思い浮かばなかったマイスターでした。
今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。
マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。