大学のweb掲示板が、新入生向けメディアとして機能している事例

大学のwebサイトを見るのが趣味のマイスターです。

昨今では、大学関係者(教職員、学生、卒業生)のブログを公式サイトで公開したり、在学生専用のポータルサイトやSNSを立ち上げたり、受験生専用の登録制情報サイトで受験生の囲い込みを狙ったりと、様々なコンテンツを見かけるようになりました。
メルマガやRSSのような情報発信の仕組みも、当たり前になってきています。

これから先はどんなコンテンツが出てくるのかな……と思っていたら、ふと、こんな記事が目にとまりました。
中国のメディアが報じた、中国の大学の話題です。

【今日の大学関連ニュース】
■「大学のBBSが入学予定者の「大学ガイド」に(1)」(人民日報)
■「大学のBBSが入学予定者の「大学ガイド」に(2)」(人民日報)

「私は今年入学予定の新入生です。学校の宿舎の条件はどうですか。」「入学後のクラス分けにテストは必要ですか。何のテストですか。」新学期が近づくと、多くの入学予定者が大学のサイトで様々な情報を求め出し、各大学のBBSが賑わって、新入生が学校やその所在地の都市を理解するための具体的なガイドの役割を果たすようになっている。「新華網」が伝えた。
東北大学のBBS「新白山黒水」や遼寧大学のBBS「天遼地大」といった大学の掲示板では、いずれも入学予定者のために「新入生専門コーナー」を設けて様々な疑問に答えている。
「大学のBBSが入学予定者の「大学ガイド」に(1)」(人民日報)より)

入学予定者の数々の疑問に対して、熱心な先輩たちは忍耐強く答えると同時に、入学予定者が思いつかないような問題について、自らテーマを選んでまとめている。東北大学BBSでは「大学4年の生活経験を語ってください。入学予定者が回り道をしないように」と呼びかける書き込みがある。すぐに多くの意見が寄せられ、多くの経験が入学予定者へのアドバイスとして書き込まれた。東北財経大学のあるコミュニティーでは、「新入生のスーパーガイド」と題する書き込みで、大学の学習上の問題や日常生活の問題、新入生の必需品ガイド、買い物、大連の交通問題といった10以上の問題に詳しい回答がつけられ、「東北財経大学百科」と呼べる内容になっている。
「大学のBBSが入学予定者の「大学ガイド」に(2)」(人民日報)より)

ここで言う「東北大学」は、中国にある大学のことを指しています。
(余談ですが、韓国には中央大学が、台湾には東海大学があります)

「掲示板」に情報を寄せ合うというのは、日本でもインターネットが普及し始めて間もない頃、非常に活発に行われていた行為。ちょっと、懐かしい感じがします。

もともと「インターネット」が登場してきたときに想定されていたのは、こうしてユーザー同士が情報をもちよるというイメージだったように思います。
組織の運営側が思いつかないような細かい質問や気づきに対して、それを知っているどこかのユーザーが対応するといった、ニッチな情報のやりとりですね。

日本の大学でも、公式サイトの一角に掲示板を開設し、在学生や受験生、卒業生などがコメントを書き込めるようにしていた時期があったのではないでしょうか。

しかし現在、公式サイトに、どこの誰でも書き込める掲示板を設けている大学はほとんどないでしょう。
荒れたら怖いからです。

大学に批判的なコメントや、誹謗中傷の類が寄せられた場合の対処はもちろん、昨今では、web掲示板が犯罪の予告現場にすらなってしまったりします。管理しきれません。
マイスターが管理者でも、掲示板を誰でもアクセスできるところに、そのままどーんと置いたりはしないでしょう。

代わりに日本では、例えば入試課ブログや先輩ブログにコメントを書き込んでもらうという形をとっています。ただ、これは「自由に情報を寄せる」という主旨のものではありません。
受験生や新入生向けの登録制コミュニティサイトを設けている大学もあります。これは、掲示板の要素を持ちつつ、おかしな書き込みをある程度防げる仕組みですが、ふらっと立ち寄って情報を得られる感じではありません。

ユーザーが気軽に情報を書き込め、誰もがそれを読める仕組みをうまく作れれば、大学が制作したパンフレットを上回る、膨大な情報のアーカイブを作れるとアタマでは分かっているのですが、何かあったときのリスクも無視できない。
日本の大学のwebマスターが感じているジレンマです。

で、中国の大学はどうかというと、冒頭の記事にあるように、けっこう掲示板でのやりとりが活発らしいのですね。荒れていても気にしないのか、もしくは荒れないのか。中国ではネット上の書き込みに対する国のチェックが厳しいと言いますが、そういうシステムが背後にあるから安心(?)なのか。
その辺りの詳細はわかりません。

ただ、技術的には別に難しくも何ともない掲示板が、今でも公式メディアとして大いに機能しているのだとしたら、ちょっと気になります。
そこには何か、参考になる部分があるかもしれません。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。