マイスターです。
プロスポーツと大学に関する話題を、以前の記事でご紹介してきました。
■プロスポーツと大学(1) Jリーグと大学の連携
■プロスポーツと大学(2) プロ野球チームと大学の連携
Jリーグチームやプロ野球の球団は、大学との連携に力を入れています。
この2つは、プロスポーツとしてファンの裾野を広げるため、以前から子供向けにサッカーや野球を教えたり、地域のイベントに協力したりと、こうした活動に積極的でした。
今回は、ちょっと珍しい取り組みをご紹介します。
【今日の大学関連ニュース】
■「ノアのヘビー級戦士ら7人が大学講師に」(デイリースポーツonline)
帝京平成大で ノアのヘビー級戦士とスタッフの計7人が帝京平成大で教べんを執ることが、都内で発表された。三沢光晴(46)が客員教授、小橋建太(41)、秋山準(39)、本田多聞(45)、力皇猛(36)、仲田龍統括本部長(46)、浅子覚トレーナー(37)が講師に就任。東京・池袋キャンパスで今年4月から7月までの前期に開講する「スポーツ文化論」を各自のテーマで担当する。
同大学の木村都優司教授がノアのトレーナーを務めていた縁で実現。
(上記記事より)
「ノア(NOAH)」というのは、プロとして興業を行っている、プロレス団体のひとつです。
ご存じのない方には、格闘技に疎いマイスターの説明よりも、実際に同団体のサイトを見ていただいた方が早いかもしれません。
■PRO-WRESTLING NOAH OFFICAL SITE
そして帝京平成大学は、メディカル系の学科を多く持つ大学です。
この帝京平成大学・地域医療学部柔道整復学科の木村都優司教授が、「ノア」のトレーナーを務めているということで今回、上記のような授業が実現することになったそうです。
実際にリングに上がっている選手のほか、トレーナーや、団体運営を担っている方々が、それぞれのテーマで講義を行うとのこと。
以前の記事でご紹介したように、Jリーグやプロ野球チームも、マネジメント側のスタッフやトレーナー、それに監督が講義を行う取り組みは行っていました。
ただ、それに加え、複数の選手が講義を担当するというのは、珍しいと思います。
この講義を受講する学生には、理学療法や柔道整復をはじめ、医療を学ぶ方々が大勢います。
「経営マネージメント学科 トレーナー・スポーツ経営コース」なんて学科もあります
プロスポーツに限らず、何らかの形で、スポーツに関わる学生もいることでしょう。
三沢は「学生は人生でもっとも悩んでいる時期。下手な話しはできない」と、やや緊張気味で、小橋は「腎臓がんを含めて9度の手術を乗り越えた経験を伝えたい」。秋山は「27歳で患った自律神経障害の克服法を学生と一緒に考えたい」と話した。
(「三沢教授!ノアが大学でスポーツ文化論」(nikkansports.com)記事より)
中でも「自律神経障害に対するスポーツ選手のコンディショニング」を講義する秋山は、そのテーマを選んだ理由として「僕は27歳のころからパニック障害となり、まだ完全に克服していない」と告白。「息苦しさと動悸(どうき)があり、異常に汗をかく。飛行機に乗ると苦しい。真夏の試合中に症状が出たこともあった。“大丈夫”と暗示をかけて闘っている」と明かした。
ノアの3・1日本武道館大会ではGHCヘビー級王者・佐々木健介との大一番を控える。秋山は「チャンピオンになってスーツの中にベルトを巻いて講義したい。同じ障害を持つ人の励みになれば」と、王者としての“教壇デビュー”を誓った。
(「ノアのヘビー級戦士ら7人が大学講師に」(デイリースポーツonline)記事より)
プロとして格闘技に関わっている方が、どのように自分の体と付き合っているか。
こうした選手達の、実体験に基づく話は、医療やスポーツについて学ぶ学生達にとって、参考になる内容になることでしょう。
とても貴重な機会です。
これはただ単に派手な話題作りというわけではなく、非常に意義のある、面白い取り組みです。
こうした形で、様々なスポーツに関わる方々が学生と接点を持てば、スポーツ全体の裾野を広げる結果になるのではないでしょうか。
その機会を作る「場」として、大学が果たせる役割はまだまだありそうです。
以上、マイスターでした。
※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。