大学webサイトの考え方(2):達成すべき「目標」を設定しよう【後編】

マイスターです。

昨日の記事の続きです。
「こういう状態を達成したらこのサイトは成功だ」
という目標値、成功の定義を決めておこうという話でしたね。

例えば以下のようなものはどんな大学でも使える、割と普遍的な目標設定かもしれません。

○サイト全体のページビューを、前年度同時期の1.5倍に増やす。

○サイト全体の「直帰率」を30%以内に抑える。

○年間を通じて最もアクセスが集中する時期と、最もアクセスが集まらない時期とのアクセス数の差を○○%までに抑える。

○校友会コンテンツの卒業生IDを○○件以上発行する。

○学内ネットワークからの「オンラインシラバス」閲覧件数を常に○○件以上に維持する。

○サイトからの入試資料請求数を○○件に増加させる。

○入試情報コンテンツにやってきたユーザーのうち、資料請求まで行っていった方の割合を○%以上にする。

○検索エンジンで訪れたユーザーの動線を解析し、各コンテンツへの動線が途切れている箇所は2ヶ月以内に修正・解決する。

○webサイトに対するユーザーからの苦情をゼロ件にする。

○図書館サイトの書籍検索件数、オンライン予約件数を○○件以上に保つ。

○日経の大学webサイトランキング10位以内を常に維持する。

○「キャンパス生活に必要な情報はすべてwebサイト上にあります」という宣言を学生に対して出し、それに対して苦情が出ない状態を○年以内に作り出す。

○サイトを通じてユーザーからのお問い合わせに回答した際、「この回答で解決しましたか?」という簡単なアンケートにお答えいただき、その満足度を前年度以上にする。

○サイト全体についての満足度調査を定期的に行い、その数値を常に向上させる。

(※よくわからない用語も混じっているかと思いますが、後々の記事で解説していきます)

このようにちょっと考えただけで、いくらでも目標設定はできるのであります。

webサイトの特性として、アクセスログからユーザーの行動のかなりが測定できてしまうという点があげられます。
webサイトはパンフレットや交通広告などと異なり、実際の「見られ方」をかなり正確に調査できてしまう希有なメディアです。これを活用しない手はありません。

ちなみに、こうして並んだ具体的な「達成すべき目標」を見て腰が引けてしまう人もおられるかと思います。いい機会ですのでこの際、webサイトの運営に関わることでプロジェクト・マネジメント力を鍛えられるのもよろしいのではと思います。

さて、このように「これが達成できたらwebサイトは成功」という条件を詰めていると、その都度、ある疑問にぶつかると思います。
それは、「そもそもこの大学のミッションは何?」という疑問です。

つまりこういうことです。

例えば「世界的な研究大学」になることを使命とする大学なら、「海外からアクセスしてくる研究者などのユーザーを丁寧に案内し、お探しの情報を確実に届ける」といった役割を、webサイトで確実にこなすことが求められるかも知れませんよね。

「どんな学力の学生も入学させ、保護者から一定の評価を得る」ことが大学のミッションなら、どんな保護者でもコミュニケーションできるよう電話によるお問い合わせがしやすいサイトにするとか、保護者のキャンパス訪問を常にネットで受け付けるとかいった機能が求められるかも知れません。

前衛的なセンスを持つ受験生を集めてアーティストを養成するデザイン系大学なら、例えばトップページのビジュアルを1週間おきに変更し、かつそれが世間のブログなどで取り上げられるようにするといった目標設定も考えられます。

トップアスリートを養成する体育系大学なら、「我が校出身のメダリスト」コンテンツや、メディア関係者向けコンテンツに対する反響を何より重視すべきかも知れません。

「伝統と格式に基づいた女子教育で信頼を集める」ことを目指す大学なんて場合だと、中には「サイトの使いやすさは二の次で、サイトデザインのトーンを注意深く管理する」ことを重くみる学校だってあるかもしれません。

これらはあくまでも例ですが、要は、学校全体のミッション(目標)が明確でないと、webサイトが果たすべき役割も明確にならないということなのです。

何もwebサイトだけに限った話ではありませんよね。考えてみれば大学で行われる活動はすべて、その大学が定めるミッションに沿ったものであるはずです。
広報部門が関わる業務についても同様で、日頃から「本学のミッションは○○です」と説明できるような仕事に従事していれば、その中でサイトが果たす役割を考えるのはそれほど難しくはないはずです。

……とこのようにして、まずは具体的な「サイト成功の定義」を決めてみることをマイスターはオススメします。

大学関係者にとっては、このプロセスが全作業の中で最もしんどいかも知れません。ミッションがあいまいだったり、責任の所在があいまいだったり、学内関係者同士の意見がこんがらがって対立していたりすることが、往々にしてあるからです。

でもこうした作業は確実にwebサイトを改善させます。
また「この目標が達成できなかったら、理由が何であろうと俺の責任」という状態に身を置くことで、サイトに関わる方々も成長することができます。
それに、何のためかわからない更新作業に従事させられるより、明確に達成すべき目標が決まっているほうが、関わる人たちのモチベーションは上がるのではないかと、マイスターは考えます。

今回のテーマは「達成すべき『目標』を設定しよう」でした。

以上、マイスターでした。