今日も研修を受けてきたマイスターです。
2日目の今日は、「講演&ディスカッション」に加えて、「懇親会」というものがついてました。
交通費は出るわ、昼食は出るわ、懇親会は用意されているわ。
「月イチくらいで研修開いてくれたらいいのに」
と思ったのは、マイスターだけではありますまい。
懇親会では、この『俺の職場は大学キャンパス』を読んでくださっているという方にお会いしました!ごあいさつすることができました!
さらに、マイスターの勤め先の同僚で、
「あなたがマイスターですか?」
と、他大の方に話しかけられたという方がいました。
残念ながら、その質問された方とは直接お話しすることができませんでしたが、後で聞いて、とってもビックリしました。
みなさん、こんなブログを読んでくださっているのですね…。
最高にうれしいです!
もし私が直接「マイスターですか?」と話しかけられていたら、
「はい、私がマイスターです!」と、うれしさのあまりその方に抱きついてしまっていたかも知れません…。
あぁ、毎日ブログを書いてて良かった…
と、心から思えた日でした。
これは、がんばらねば!
というわけで、個人的にはモチベーションがものすごく上がった研修でした。
参加してよかった。
今日は、本日のグループ別ディスカッションで考えたことを。
マイスターの班では途中から、
「ゼネラリストとスペシャリスト」
についての話題が、キーワードになっていたように思います。
アメリカの大学についてとても詳しくご存じの方がグループにいたので、あれこれと質問をしているうちに、日米の大学比較論になりました。
大学を構成する職員は、アメリカの大学職員のようなスペシャリストを目指すべきか?
それとも、従来の日本の大学職員のようにゼネラリストを志向するべきか?
このブログでもご紹介したことがあるかと思いますが、
アメリカの大学職員は、特定分野の業務に特化した、スペシャリストという色が強いです。
んで、マイスターもどちらかというと、大学職員はスペシャリストを目指すべきだという意見です。
(過去の記事)
・教学部門の充実度で勝負するアメリカの大学
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/27824148.html
・これからの大学職員 -大学で生き残るには?-
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/25400061.html
そんなマイスター、今日のディスカッションのおかげで、
「なんでスペシャリストがなかなか日本では養成されないのか?」
ということを、より整理して考えられるようになった気がします。
今日のディスカッションで出てきた日米の大学職員の違いを、以下に簡単にまとめました。
まぁ、大学職員として働いている皆様ならすでにご存じの内容もありますが、整理のために今一度ご確認を。
<就職>
米:最初から、「奨学金担当」「入学広報担当」などと、仕事を限定して就職
日:「○○大学職員」という枠で就職(情報系など例外も一部あり)。「就職」というよりは「就社」?
<経験する業務の変遷>
米:大学内での配置移動はほぼ皆無。専門とは違う仕事にまわされることはない。担当している仕事が不要になったら、そのときは、その大学を離れなければならない(=クビ)
日:様々な部門をローテーション。配属先についてある程度の希望は出せるが、だいたいは人事部門が大学全体の欠員状況などを見て判断する
<キャリア形成についての考え方>
米:奨学金を扱う人なら、「自分は奨学金のプロ」という意識。
様々な大学の奨学金業務を、転職で渡り歩く。自分の専門業務に集中。
日:「自分は○○大学の職員」という意識(?)
自分が行う業務についてある程度「これをやりたい」という希望は持っているが、反面、様々な部署を経験させてくれることを、「いい経験ができて、自分の役に立った」と好意的に評価する人が多い。
<出世>
米:転職する際に、なるべく上のポストを得られるように動くことで、キャリアを上げていく
日:年功序列。多くの部署を経験し、大学全体のことに詳しくなった人が評価される…かと思うと、そういうわけでもなかったり。
<組織内の人の流れ>
米:転職が当然の社会なので、10年以上同じ大学に勤めている職員はまれ
→ほっといても、自然に人間が入れ替わり、職場は活性化する
日:他の組織に転職する人は、まだまだ稀少な存在
→強制的に人員をローテーションさせないと、各部門のメンバーが固定化し、組織の活性化に支障を来す(と考えられている)
これらを見ていただければわかるように、アメリカの大学スペシャリストが活動している背景には、活発な転職市場があります。
また、「転職しないと給料が上がらない」という雇用習慣の違いもあります。
これらが大きな要因であるのは、確かです。
それに加えて、
日本の大学では、職員が転職しない&クビにできないから、組織を活性化させるために、強制にでも人材ローテーションをする必要があったのではないか。
…という意見には、なるほどと思いました。
確かに、特定部署のメンバーが何十年も固定、という状況を避けるためには、強制的に人がローテーションする仕組みが必要ですよね。
で、それが、専門を持たないゼネラリストの量産につながっている…と。
むむむ、そういう見方もあったか。
(なんか、「タマゴが先か鶏が先か」みたいな話でもありますね…)
企業だと、「他の支社の、同じ部門へ」とか、専門性を保ちながら人を移動させる方法がわりとありますよね。
大学だと、なかなかそうもいきません。
たとえば大きな総合大学なら、学部やキャンパスをまたいだ移動が考えられますが、限界はあるでしょうね…。
とまぁ、以上のような見方は、
「『働く人間の視点』で見たときの、ゼネラリストとスペシャリストの比較」
と言えるかと思います。
この他に、
「大学経営上のメリット、デメリットから考えたときは、ゼネラリストが多いのと、スペシャリストが多いのと、どう違うか」
という見方もあると思います。
理事長の視点、ですね。
また、
「学生やインターンシップのパートナー企業、高校の進路指導教員といった大学に関わるステークホルダー達から見れば、ゼネラリスト育成型の大学人事と、スペシャリスト雇用型の大学人事、どちらがメリットが大きいのか?」
という見方もまた、あると思います。
とりあえず、今日の話し合いでは最終的に、
「全員スペシャリスト、全員ゼネラリストというのはやはり不都合だろう」
「最初の数年間は部門を転々とし、その後、専門性を高めるのがいい」
といったところに意見が収束していきました。
ことは日米の「働き方」の違い、に関わってくるものなので、やっぱりそう簡単には答えは出ませんよね。
でも、非常に多角的な議論ができて、おもしろかったです。
やっぱり、大学のこうした研修イベントって、すばらしいですよ。
今後も、どんどん参加していきたいです。
(予算の都合があるので、あんまりマイスターばっかり行かせてもらえないと思いますが…)
今日も、最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
アメリカの雇用体系の話ですが、アメリカも20年位前までは(特に公共機関)、日本のように一つの組織でずっと働いていくという文化があったそうです。それが今のような転職の文化になったのはここ最近の話だ、ということを、コミュニティカレッジの時の私の上司が言っていました。ていうことは、20年後くらいには、日本もそうなっていくのでしょうか?
それと、個人的なことで恐縮なのですが、私もブログを始めました。「アメリカの大学事情」というテーマで、アメリカの大学に関する情報を、自分なりの視点から日本に提供していくというのが基本コンセプトです。
http://ameblo.jp/yanatake/
もし時間があるようでしたら、是非読んでみてください。日々のお仕事とブログの更新、大変かとは思いますが、これからも頑張ってください!
マイスターです。こんにちは!
貴重な情報、ありがとうございました。
なるほど、現在のような雇用システムが確立されたのは、ここ最近なのですか…知りませんでした。
こうした情報をいただけると、勉強になります!
ブログも、拝見しました!
とても参考になりそうなブログでしたので、さっそく、リンクに加えさせていただきましたが、ご迷惑でないでしょうか?
実は私、3年ほど前に、チャータースクールの調査でミネソタ大学を訪ねたことがあります。フランク・O・ゲイリー設計のあの美術館も観ました(^_^)
ツインシティ、いいところですよね。1週間ほど街はずれのホテルに滞在していましたが、あの街は私にとって初めてのアメリカでして、とても好きです。
>企業だと、「他の支社の、同じ部門へ」とか、
>専門性を保ちながら人を移動させる方法がわりとありますよね。
とのことですが、国立大学の場合、(同じ都道府県内が多いですが)他国立大学や高等専門学校、大学共同利用機関法人(要するに文部省所管の研究所)、あるいは、放送大学、日本学術振興会、日本学生支援機構などと人事交流を行っています。
ですので、本当に人事課が人材育成する気があるならば、できないことはありません。
ただし、課長級と部長級の大部分、事務局長の全員が文部科学省出身者で占めれている状況を打破できればの話ですが…