関西3府県、私立高の2割に『関関同立』入学枠がある?

マイスターです。

結構、インパクトがある数字だと思うんですが、いかがでしょうか?

【教育関連ニュース】—————————————–

■「関西3府県、私立高の2割に『関関同立』入学枠が存在」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200712080100.html
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「関関同立」と呼ばれる関西の有力4私大へ一定数の入学枠をもつ全日制私立高校が、京都、大阪、兵庫の3府県で08年度には全体の約2割にあたる36校になることがわかった。数年前までは、まとまった入学枠をもつのは、大学の系列高校(付属校)の10校ほどだった。しかし最近は、少子化を背景に、系列でなかった大学と高校が急速に関係を深めている。

最近の入学枠確保は主に3通りある。一つは、高校を運営する学校法人を大学が吸収合併し、系列化する方法。すべて、または多くの卒業生がその大学へ進める。二つ目は、特定の大学への進学を保証するコース(クラス)を高校につくるやり方。三つ目は、大学と高校が協定を結び、5人程度〜数十人の入学枠を設ける手法。大学が高校に推薦枠を与える「指定校推薦」も前からあるが、人数は数人が多い。

系列化、コース、協定のいずれかの入学枠がある私立高について、関関同立の4私大に取材したところ、京都、大阪、兵庫の3府県で関西大13校、関西学院大6校、同志社大4校、立命館大17校あった(開校時からの系列校、08年度からの分も含む)。複数の大学と提携する高校もあり、実質は36校で、3府県の全日制私立高186校の19%を占めた。

府県別では大阪17校(95校中)、京都14校(39校中)、兵庫5校(52校中)。京都産業大、近畿大、甲南大、龍谷大の「産近甲龍」を加えると計43校になった。

関関同立との協定は関西以外の私立高にも広がり、同志社大は北陸学院(金沢市)などと、立命館大は星稜(同)、明徳義塾(高知県須崎市)、広島城北(広島市)などと結んでいる。

こうした動きが本格化したのはこの数年だ。少子化で、入学者を確実におさえたい大学と、有力大のブランド力で受験生を増やしたい高校の思いが一致した。

(略)立命館大は今春、「新付属校設置準備室」を設けた。担当者は「優秀な人材を中学や高校の時からじっくり育てられるのがいい」という。

(上記記事より)

いわゆる「指定校推薦枠」の範囲ではありません。
数十人、ときには百人以上の生徒を高校から大学に送り込むルートが、こんなにも存在しているわけです。

例えば、あなたが(あるいはあなたのご子息が)自宅から通える範囲の私立高校を想像してみてください。
そのうち5校に1校が、トップレベルの私立大学に何人も送り込める進学枠を持っているなんて、ビックリしませんか?
「どうせなら、そういう枠を持っている高校の方が安心かも」なんて、思ったりしませんか?

例えば、あなたは私立高校の校長を務めていると、想像してみてください。
近隣のライバル校の多くが、人気大学への進学枠を持っていたら、どうしますか?
「自分のところも、どこかへの枠をゲットしないと、競争に勝てない!」……と、考えたりしませんか?

例えば、あなたはある私立大学の理事長だと思ってください。
人気の高い大学が、数十人、数百人の単位で、めぼしい高校の成績優秀者をこぞって吸い上げていく仕組みを整備しているとしたら、どうしますか?
「ずるい!」とか思うのでしょうか。それとも、「うちはさらに魅力的な方法を使わなければ!」とか考え、さっそく実現のための準備を始めますか?

いずれにしても、「私立校の2割」というのは、関係者にとっては無視できない数字だと思います。

100人の定員があったとしても、筆記試験、いわゆる一般入試のためにあてがわれるのは、そのうちの数割。
残りの数割を、「いかに、優秀な生徒を獲得するか?」という方法に使うのが、今の大学入試です。

ある程度のレベルを持った学生を、安定して確実に、他のどの大学よりも多く確保する。そのために手を尽くすのが、大学のアドミッションズ・オフィスだったり、入試課だったりするわけですね。
上記のような系列化やコース、協定といった手段は、そういった戦略・戦術の一つということなのだと思います。

冒頭の記事を見ると、「うおっ」と一瞬たじろいでしまいます。
が、しかし考えてみれば、「系列校」というシステム自体は昔からあったわけですし、入試担当者が、「少しでも優秀な生徒を獲得したい」と考えるのも当然。
また大学として、高校のうちから「人材育成」を始めたいと考えるのも、自然なことです。

少子化に伴う学生獲得競争激化の結果、これまでは消極的・保守的だった大学までもが一斉にそういった取り組みに着手し始めたから、冒頭のようなニュースになっているのかも知れません。

そしてその影響が、高校のシステムにも大きな影響を及ぼし始めている、ということでしょうか。

「関関同立」以外の大学も含め、こういった動きは、これからまだまだ全国に拡がっていきそうな気がします。

以上、マイスターでした。