PCで文字を書くようになってから、その汚さに拍車がかかりました。
美麗な字を書く人を、スゴイ!と感じます。
就職活動の小論文試験などで文字をひさびさに60分書き続けた時、
手が引きつって動かなくなったことは、衝撃でした。
あぁ、生き物として退化していく電子メディア世代…。
【教育関連ニュース】——————————————–
■「ノートテイクをご存じですか?ノートテイク入門講座参加者募集中!」(waseda.jp)
http://www.waseda.jp/student/gakusei/notetake10.html
■「『ノートテイク入門講座』に参加して(政治経済学部2年生)」(waseda.jp)
http://www.waseda.jp/student/weekly/contents/2002a/972f.html
■「ノートテイク入門講座に参加して(手話さあくる所属 第一文学部1年生)」(WASEDA.COM on Asahi.com)
http://www.asahi.com/ad/clients/waseda/student/report/09.html
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今日ご紹介するのは、早稲田大学で行われている取り組み。
一般学生を対象に、「ノートテイク」のトレーニングをする講座を、大学内で開いているのですね。
「ノートテイク」とは、
聴覚障害を持つ学生が授業を理解するためのサポートとして、
隣で先生が話す内容を用紙に筆記して伝えることです。
私達が普段とっているノートは、自分のために、要点をまとめたもの。
対して、ノートテイクは、リアルタイムで聴覚障害を持つ学生に情報を伝えるものです。
(冒頭3つめの記事に、実際にノートテイカーによって書かれたノートの画像が掲載されています)
言ってみれば、文字の同時通訳。
それなりのスキルが要求される作業です。
聴覚に障害を持つ学生は、そうでない学生に比べ、
普通の講義から受け取れる情報が限られています。
板書や、パワーポイントなどの文字は、すべて「要点」のみ。
講師が話した枝葉の情報や、重要な解説の数々が、わからないのです。
友人からノートを借りるなどしても、結局は、講師が板書した通りの要点しか書かれていないことがほとんどです。
これでは、学業に支障がでます。
そこで、「ノートテイク」の出番なわけですが、派遣のプロを雇う場合はコストがかかりますよね。
一方、学生のボランティアを使う場合は、ノートテイクの技術を習得していることが条件ですので、人が集まりません。
聴覚障害を持った学生の需要に対して、供給が十分でないのです。
というわけで、早稲田大学では、ノートテイク技術を習得させる講座を開いているわけです。
これは、非常に素晴らしい取り組みだと思います。
聴覚に障害を持った学生のメリットは、言うまでもありません。
それ以上に、講習を受ける学生のメリットが大きいです。
講座を受けた後、大切なボランティア活動にそれを活かして活躍できるので、学生はやりがいや、達成感を感じることができます。
(しかもこれは、誰にでもできるボランティアではありません。
小さいけれど、貴重な自己実現の喜びを得られます)
また、講座に参加することで、ノートテイクという、なかなか学べないスキルを身につけることができますね。
ノートテイクは、自分のためにも、今後、活用できるスキルだと思います。
何より、この講座に参加すること自体が、障害を身近に感じ、様々な問題を考える絶好の機会になります。
もし、実際にノートテイクのボランティアをすることがなかったとしても、こうした体験をすることは、通常の講義で学ぶのとは異なった視点を与えてくれることでしょう。
もちろん、大学にとっても、
大学のためのボランティアを育成し、組織化する一助になること、
それによって聴覚に障害を持った学生を受け入れやすくなること、
一般学生のためにも、魅力的な体験を提供できること、
など、様々なメリットがありますね。
すべての関係者にとって、メリットがある取り組み。
こういったものを、Good Practice と呼ぶのでしょう。
主催しているのは、「学生生活課」だとのこと。
-「現在、早稲田大学では、聴覚障害を持つ学生をサポートするノートテイクのボランティアを募集している。 興味を持った方は、ぜひ下記までご連絡を。日程調整の上、実際にノートテイクの行われている授業の見学などをご案内する。」-(WASEDA.COM on Asahi.comの記事より)
として、連絡先のメールアドレスがきちんと掲載されています。
(これ、とっっっっっても、重要)
こうした、本当のGood Practiceというのは、
受験生や、マイスターのような学外の一般生活者にも、
大学全体のプラス印象を伝えることができるものなのですね。
この「ノートテイク講座」は、別に大学の広報のために企画されたものではないでしょう。
しかし、変にお金のかかったポスターやキャッチコピーよりも、
「自分も参加してみたいな」と思えるこうした取り組みを伝えていくことが、
時として、何よりの広報効果をもたらすということも、おそらく、事実です。
実はマイスター、この講座、早稲田大学が発行している学生向けメールマガジンで知りました。
・「早稲田ウィークリー・メールマガジン」
http://www.waseda.jp/student/weekly.html
で、少し調べてみると、冒頭で紹介したようなwebページが、すぐ見つかったのです。
おそらく、学内にも、この講座を紹介する貼り紙などが、適切に配置されているのだと思います。
こうしたものから、大学のイメージは、確実に伝わるわけです。
マイスターも、こうした情報から、
「自分が、キャンパスでこうした講座を受けて、ノートテイクで役に立っているシチュエーション」
「んで、達成感や、満足感を得られている自分」
を、すんなりイメージできちゃいましたもん。
大学の広報では、こうしたイメージを伝えるのが、大切なんだと思います。
どんな組織でも、エラい人達は
「上司は思いつきでものを言う」的な発想に従って、
微妙な、しかしとんでもなくお金のかかる広報を実施し、
自己満足して終わってしまうことがしばしば。
(マイスター注:思うに、エライ人が企画する広報企画は、
○地味過ぎ、カタ過ぎ、真面目過ぎで、誰の記憶にも残らない、
というかそもそも見てもらえない広告
○学者の、学者による、学者のための、学術的な文章広告(学者しか最後まで読まない)
○若者におもねろうとした結果、おかしな方向にはっちゃけてしまった、
見てもあまり意味のない広告
のいずれかに終わってしまうことが多い)
しかし、たまにはこの早稲田大学学生生活課の取り組みのようなGood Practiceをお持ちであるのでしたら、
大学のコミュニケーション戦略の一環として、
それをみなさんにうまく伝えてみるのもいいのではないでしょうか。
自分が学生、または高校生だったら、たぶんノートテイクの授業に参加してみたいと感じ、ついで、その大学自体に興味を抱いただとうなと思う、マイスターでした。