ニュースクリップ[-2/1] 「『つくば薬科大』開学断念経営困難のおそれ理由に」ほか

マイスターです。

さて、日曜日になりましたので、今週も一週間の教育ニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

【市の補助を受けるも、開学断念。】
■「『つくば薬科大』開学断念経営困難のおそれ理由に」(読売オンライン)

筑西市で「つくば薬科大学」の開学を計画していた学校法人広沢学園(つくば市)が開学を断念したことが分かった。同法人は、昨今の急速な経済情勢の悪化により、学費の高い薬科大学が受験者に敬遠され、大学経営が困難になるおそれがあることなどを理由に挙げている。
計画によると、同大学は6年制の薬学部を持つ単科大学で、定員は1学年100人。同市茂田の約2万6700平方メートルの敷地に校舎を建設する予定で、今年3月に文科省へ設置認可を申請し、2010年4月の開学を目指していた。
学園側は今月15日、筑西市に対し、文書で「少子化に伴い定員割れの大学が急増し、特に地方の小規模大学は苦戦を強いられている。これに追い打ちをかけるような経済環境悪化の中、開学しても実績を積む間もなく経営困難に陥る懸念があり、迷惑がかかる結果になりかねない」として、開学を断念することを報告した。
旧下館市時代から大学誘致に取り組んでいた市は、07年12月に市や市議、民間人などでつくる「早期開学推進協議会」を発足させ、昨年9月には大学のグラウンドなどの施設整備費用として、新年度から3年間の間に2億円を補助することを決定した。開学すれば、県西地域初の大学で、県内でも初めての薬科大学になるはずだった。
(上記記事より)

一時期ブームだった薬学部の人気を背景に、市から補助金を受けて開学準備を進めていた、つくば薬科大学。しかし、上記のような結果となってしまいました。

■皇學館大学社会福祉学部が募集停止・キャンパスも撤退

↑先日も、皇學館大学のキャンパス撤退が決定し、それに対して多額の補助金などを供出していた市が困惑、というニュースをご紹介したばかり。
こういった出来事は、大学側だけでなく、行政の責任問題にもなりかねません。

■「筑西市つくば薬科大学運営及び施設整備等支援事業基金条例」(筑西市)

↑こんなものもありました……。
こうしたニュースが続くと、大学を誘致する自治体も減るかもしれませn。

でも、この「つくば薬科大学」は、まだ開学の前でストップをかけただけ、良い方だと思いますけれど。

【入試直前の、ノロウイルスによる集団食中毒。】
■「千葉工大の寮生79人がノロ食中毒、入試控え休校・消毒」(読売オンライン)

千葉市は29日、同市花見川区の千葉工業大学生寮「千種寮」で、男子学生79人(18~24歳)がノロウイルスによる集団食中毒を発症したと発表した。
大学は31日から2月3日まで、千葉県習志野市のキャンパスで入学試験を予定しており、29日に寮生約290人の通学を停止。30日には大学を休校にして試験会場などの消毒を行う。
(上記記事より)

こういった事件は大学に限らずしばしば起こることですが、「入試直前の大学」というあたりが、さらに様々な問題を発生させているものと思われます。
大学にとっては、これで受験生から敬遠されたりしたら、死活問題。現在、大学は不安を払拭する対処に、最大限の努力を図っているのだと想像します。

ちなみに同大には、全国的にも珍しい、経営に関するリスク管理などを学べる「金融・経営リスク科学科」があります。
今のこの状況が、まさに経営に関する突発的な問題発生にどう対応するか、という事例。大学関係者の皆様、腕の見せ所です。

【ゲームを通じて様々な理論を学ぶ。】
■「来たれ、『スタークラフト学』履修者-米大学でRTSの金字塔がコースに」(iNSIDE)

カリフォルニア大学バークレー校は『スタークラフト』コースを開設。
「RTSと競争力のあるゲーム風景に興味を持つバークレー校の学生」が参加を奨励されるコースであり、「戦争がゲームの中でどのように行われるか、その理論を調べる」とのこと。履修者には「『スタークラフト』のユニットと基本的な戦略を知っていること」に加えて微分方程式と微積分学が求められ、「ゲームとリプレイを解析することで意志決定のスキルと高度なスタークラフト理論を補強する」ものであり、「批判的思考法と迅速な意志決定、ゲームのセオリーの適用」が学べるとのこと。
(上記記事より)

マイスターはあまりよく知りませんが、「スタークラフト」というのは世界的に人気を博したオンラインゲームだそうです。

(参考)
■「What is ” Starcraft “? – スタークラフトとは?」(Espoir Starcraft House ME)

日本の大学で考えれば、「信長の野望コース」みたいな感じでしょうか。
例えば文学部などでは、特定の文学作品について学ぶ授業が普通にあると思いますが、そのゲーム版と考えたら良いのかもしれません。

【財政難により、大学の財産である美術品を売却。】
■「米有名大学、財政難で美術館を閉鎖 所蔵品を売却へ」(CNN)

米マサチューセッツ州のブランダイス大学がこのほど、財政難をしのぐため、開設しているローズ美術館を閉鎖し、所蔵品約6000点を売却することになった。
1948年創立のブランダイス大学は、ユダヤ系の学校だが、無宗派学校として知られる有名校。1961年に開館したローズ美術館は、アンディ・ウォーホルやロイ・リキテンスタイン、ジェームス・ローゼンクイスト、ロバート・ラウシェンバーグ、ジャスパー・ジョーンズ、アレックス・カッツなど、20世紀を代表する米芸術家の作品を所蔵している。
美術館の閉鎖ならびに所蔵品の売却について、広報担当のデニス・ニーロン氏は、「非常につらく、悲しい決断だ」としながらも、大学が生き残るためには必要だったと述べている。
(上記記事より)

財政難のため、大学の財産である美術品の数々を売却し、美術館も閉鎖する……という、なんだか聞いているだけでも寂しくなるようなニュースです。

収集にはそれなりの時間やコストがかかったでしょうし、大学としても自慢のコレクションだったことでしょう。
大学も学生も、残念でしょうね。

【かなり目的を絞ったコース。】
■「伊ローマ大にホロコースト教育者を育てる修士課程」(AFPBB News)

イタリアのローマ大学(Rome University)では、第2次大戦中のナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の伝承者を育てる目的で、ホロコースト専門の修士(MA)課程が設けられている。
イタリア在住ユダヤ人による団体「Union of Jewish Communities」のレンゾ・ガテグナ(Renzo Gattegna)代表は、「じきにホロコーストの目撃者は誰もいなくなる。そのため、若い世代に過去の悲劇を伝える新しい手段が必要だ」と説明する。
修士課程は1年制で、歴史・芸術・文学・心理学など複数の学術分野にまたがる学際的アプローチを取り入れている。
(略)「ホロコースト学」など、ユダヤ人大虐殺の歴史を学ぶ学位コースは米英の大学にもあるが、ローマ大の学位コースは、ホロコーストの教授法に重点を置いている点が特徴だ。
(上記記事より)

日本では、あまり聞かないタイプの課程です。
こんなコースが成立するくらい、こうした教育活動に関するニーズがイタリア社会の中にある、ということなのでしょうか。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログを読んでくださいまして、ありがとうございました。
来週も、お互いがんばりましょう。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。

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