マイスターです。
9月になりました。
夏休みを終え、学校や仕事に向かう人もいれば、「これから夏休みを取る」という人もいるかと思います。
夏休みのような長期休暇には、やはりどこか旅行に行きたいものです。
その「旅行」も、今では大学のPRの手段になっています。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「知的に観光楽しめ 京の私大発 滞在型プログラム」(京都新聞)
http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2007082900096&genre=G1&area=K10
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京都の私立大学が中心になって、京都の歴史や文化に関係する講義と観光を組み合わせた滞在型の教育プログラムを相次いで始めている。キャンパスでの本格的な講義のほか、伝統文化の継承者や職人らによる講座や体験学習など大学の「知」と京都の特色を生かす。旅行会社とも連携し、団塊の世代をねらった大学の新たな取り組みが注目を集めている。
(上記記事より)
詳細は、上記のリンク先をご覧ください。
以下のような事業が、記事では紹介されています。
いずれも基本的には「観光案内」ですから、一般の方が参加したくなるような情報発信を心がけておられるようです。
■「教養講座・京都の歴史と文化コース:佛大『京都学』始まる!!」(佛教大学通信教育部)
http://www.bunet.jp/kyoto/index.html
■京都検定推薦事業:楽洛キャンパス
http://rakurakucampus.jp/
■「京都歴史回廊文化塾」(京都歴史回廊協議会)
http://www.kairou.org/
■「滋賀大学サマーカレッジ開校 平成滋賀塾」(近畿日本ツーリスト株式会社)
http://www.knt.co.jp/ksb/manabutabi/shiga/
このように、主にシニア層を対象とした、
・観光地を訪れて観光を楽しみつつ
・大学で学ぶ体験を味わう
……という企画が増えているようです。
上記の記事は、京都の大学の取り組みを紹介したものです。
日本を代表する観光地の一つであり、同時に日本でも有数の大学集積地でもある、京都ならではの盛り上がりを見せています。
考えてみれば、もともと寺院というのは学術機関でもあったわけですから、今も昔も、京都はアカデミックな都市なのですね。
そんな都市の力を、「観光」を通じて大学の活動とリンクさせようというわけです。
入り口は観光だとしても、多くの方々がこうして大学のキャンパスを訪れ、学びを楽しんでくださるわけですから、これはなかなか意義がある試みだと思います。
せっかく、観光資源としての魅力もあるのですから、積極的に展開されてみても良いのではないかと思います。
このプログラムに参加したことがきっかけとなり、地元の大学の教養講座に通うようになる方だって、出てくるかも知れませんし。
大学の観光事業の事例をもう一つ、ご紹介します。
【教育関連ニュース】—————————————–
■「西日本4大学シニアカレッジ、不人気で中止…猛暑が影響?」(読売オンライン)
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07090856.htm
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全国の9国立大で8~9月に開講される予定だった「シニアサマーカレッジ2007」で、山口、香川、高知、宮崎の4大学では聴講者が集まらず、講義が中止となった。いずれも西日本地域の大学で、山口大は「今夏、全国的に厳しい暑さに見舞われ、中四国や九州はさらに暑いという思い込みで敬遠されたようだ」と分析。猛暑の思わぬ余波に、共催の旅行会社は、気候が穏やかな時期への変更を検討している。
シニアサマーカレッジは昨年、中高年層にひと夏のキャンパスライフを満喫してもらおうと、旅行会社JTB(東京)が企画、山口大と弘前大で始まった。50歳以上を対象に全国から聴講者を募り、1~2週間、各地域にまつわるテーマで講義を開講。山口大では青森県から福岡県まで全国各地から32人が参加し、二井関成知事も講師を務めた。
9大学に増えた今年は、岩手大に50人、信州大に39人、北海道大に21人、弘前大に14人、岐阜大に7人が応募。東日本の大学はおおむね人気を集めたが、香川大6人、山口大5人、高知大3人、宮崎大1人と、西日本の4大学は軒並み不人気。各大学がJTBと協議し、中止を決めたという。
(略)JTB事業創造本部地域ビジネス事業部の本間義信プロデューサーは、「講義内容や宣伝方法などが影響した可能性があるが、参加希望者には『好んで南に行く必要はない』『一番涼しい所に行きたい』などの声も多かった。来年は夏を避けて春や秋に行うことも検討する」と話している。
(上記記事より)
JTBによる「シニアサマーカレッジ」も、その名の通り、シニア向けの観光&大学教養講座のパッケージです。
昨年、試験的に2大学を対象に実施したところ非常に好評だったということで、今年は開催大学を増やして参加者を募集したとのこと。
↓以下のページから、対象となる大学と、そのカリキュラムの詳細が閲覧できます。
■「シニアサマーカレッジ」(JTB)
http://www.sscollege.jp/index.html
国立大学法人が9つ。いずれもその地域を代表する大学です……が、上記の記事にあるように、香川大、山口大、高知大、宮崎大は参加者が集まらず、中止になってしまったそうです。
web上で見つけた情報によると、宮崎大学では、東国原知事も教壇に立たれる予定だったとか。
新たに加えられた宮崎大学シニアサマーカレッジの実施期間は8月27日~9月7日で2週間コースの場合、全20講義となる。初日の27日には宮崎県の東国原知事による講義が決定した。「宮崎発おもてなし日本一宮崎を、日本をどげんかせんといかん(仮題)」と題し、教壇に立つという。講義後には受講者一同と記念写真撮影も予定している。
(「シニアサマーカレッジ受付開始 – 注目は東国原知事の講義が聞ける宮崎大学」より)
それなのに、参加者が1人……。
これは、なかなか厳しい事実です。
西日本の大学が参加者を集められなかったことについて、主催者側は「猛暑が影響した」と主張されているようです。
ただ個人的には、それは根本的な理由ではないように感じます。
だいたい、京都だって暑いですが、上述したように各大学とも大好評みたいですし、岐阜7人、香川6人の参加者はほとんど同じです。
そもそも「国立大学法人」に限定してコースを設定した根拠はなんだったのかな、と個人的には思ったりします。
一律に県名のついた大学を並べた結果、それぞれの大学の個性というものが感じられにくくなっているような印象を、マイスターは受けました。
こうした企画を行い、参加者を集められなかったときに、天気や気候というのは言い訳としてよく用いられます。
でも、実際には「企画が良くなかった」のが一番の原因であることも多いようです。
仮に猛暑が影響したとしても、それだってやはり、もとをただせば企画のせいです。
同じタイミングで、北から南まで一斉にツアーを組めば、参加者に差が出ることは、素人でもなんとなく想像できます。
シニアサマーカレッジを盛り上げようとして一斉に大学の数を並べようとしたところに、原因があるような気もします。
つまり、企画のせいです。
でも、こうして大学ツアーを盛り上げようという取り組みは、個人的には応援したいです。
前述したように意義のある事業だと思いますし、将来性を秘めた、育てがいのある市場だとも思います。
それに、全国からツアーに参加される、多様な参加者の方々に講義をするという体験を通じて、大学の教員の方々も刺激を受けられるのではないでしょうか。
観光産業各社はいずれもプロですので、こうして毎年取り組みを続けながら、ノウハウを蓄積していくことと思われます。
そのうち、新しい夏の楽しみ方として、シニア層を中心にこうしたツアーが定着していく日が来るかも知れません。
それは、ある種の豊かさを感じさせる光景です。
そんなことを期待する、マイスターでした。