現在、6月1日25時過ぎなのですが、livedoorの各種サービスが、ほとんど停止状態です。何かあったんでしょうか。自分のブログの管理投稿画面にもアクセスできないありさまです。
困った。途中まで書きかけだった記事に、手を付けられないじゃないか。
このまま待っていても、朝まで復旧されるかどうかはわからないし、仮に明け方、システムが復旧したとしても、そこから記事の執筆を始めたのでは、アップが間に合わない可能性も。
と思ったら、現在、どうやらライブドアのブログ機能に深刻な障害が発生している模様です。
「ブログ閲覧障害のご報告」(livedoor)
http://isp.livedoor.com/info/detail?id=223
仕方がないので今日は、資料が無くても書ける、マイスターのキャンパス見学体験話でお茶を濁させてください。(もっとも、この記事がいつごろアップできるかもわからないのですが)
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マイスターは、キャンパス見学が趣味です。
よその大学に勝手に入って、勝手にまわって、学食で食べて、写真を撮って、志願者用の資料をもらって、生協で大学名入りボールペンを買って帰るのが好きです。
大学職員になってからは、この趣味に拍車がかかりました。何しろ、合同研修や、オフの日の共同勉強会など、他大学に入る口実がありまくりです。実益も兼ねるようになり、嬉しい限りです。
しかし、今日お話しするのは、そんな最近のことではありません。
もう、何年も前、マイスターが学生だった時の話です。
マイスターはかつて、とある大学の理工系学部で、建築を学んでいました。
建築家の安藤忠雄さんに憧れ、自分も、建築家を目指していました。
あれこれと本を読んだり、勉強会やワークショップに参加したり、建築設計事務所でバイトしたり、障害を持った方の介護ボランティアをしたり、建築を観るために海外をまわったりと、とにかく役に立ちそうなことを、片っぱしからやってみていました。
そんな中で、「建築ガイドマップの原稿を書く」というバイトをやったことがあるのです。
建築ガイドマップ、色々な出版社が出しています。ご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ここ数年、芸術や文化としての「建築」に関心をお持ちの方が、増えてきていますよね。もはや、「建築を観るために街を歩く」というのは、建築学生だけにみられる行動ではないのです。そこで、そんな方々のため、街歩き用地図の上に観るべき現代建築の位置をプロットして簡単な建築解説文を載っけたような本が、売られているのです。
マイスターもアルバイトで、そういう本のための解説文を書く仕事をしたことがあるのです。
研究室の助手さんがまとめているバイトでしたから、他の学生達も、おなじバイトをやってました。で、誰がどの建物の解説文を書くか、というのは、助手さんの裁量で配分されていました。
マイスターは4つの建物を担当することになったのですが……よく見てみると、その中に
「○○女子短期大学 ○○キャンパス新校舎棟」
という建築があるではないですか!
マイスター「あの、すみません。私の担当する建築に、女子短大が入ってるんですけど……」
助手「えっ…?」
何しろ建築物の紹介記事です。当然、その建築物のところに行って、中を見てまわって、写真などを撮った上で書かないと行けません。
しかしマイスターは男性。女子短大の中に入って、一人、写真を撮ってまわっていたら、通報されるのは確実です。
マイスター「この短大は、俺には無理です。キツイです。他のと取り替えてもらえませんか?」
助手「いやぁ、うっかりしてたなぁ。それが……もう、他のみんなは帰っちゃったんだよ。みんなしばらくこないからなぁ……ま、頼むよ♪」
マイスター「頼むよって言われても……なんか、取材のための紹介状とか、そういうのはないんですか?」
助手「ないんです。勝手に入って、勝手に記事を書くということしか想定してなかったからねぇ。まぁ、その辺は自分でなんとか考えてくれ。任せた!」
と、今思えばかなりいい加減な編集方針でしたが、かくしてマイスター、大学4年生の夏、女子短大デビューをしなければならなくなりました。
さて、記事を書くに当たって、
○外部の様子だけ見て記事を書く
○建築雑誌などに掲載された内部写真を見て、記事を書く
○こっそり侵入する
…と、選択肢がいくつか浮かびました。
浮かびましたが、はっきり言って、どれも選べません(汗)
侵入するのは論外として、しかし一方で、建築物というのは、写真に写った見た目ではなく中に入って体感しなければ真価がわからないものですから、それをせずに記事を書くというのも、ためらわれました。
で、この短大新校舎については、仕方ありませんから、
○正式に短大にアポを取って、取材を申し込んでみる
という選択をすることにしたのです。
迷うことなんてない、はじめからそうすればいいじゃないか、と思われる方もいることでしょう。
しかし、建築物の所有者というのは、部外者が建築見学に訪れることを必ずしも望んでいなかったりするのです。
わかりやすい例は、住宅です。あなたが有名な建築家に住宅の設計を依頼したとしましょう。完成した家には、毎週毎週、建築学生がやってきます。回りをうろついて写真を撮っていったり、スケッチをしていったりします。それどころか、「どうしても中が見たいんですが」と交渉にやってきたりします。最初は、学生さんのために協力してあげようかな、と思っても、それが毎週、それも一年を通じてずっとだったら、どうでしょうか。
住宅は極端な例ですし、実際にはどの出版社の建築マップも、「個人住宅は、外から見るくらいにしてね」と書いていますが、商店でもオフィスでも学校でも、多かれ少なかれ、同じようなことは当てはまるものです。
そんなわけで、ヘタにアポを取ると掲載させてもらえなくなる可能性があるので、
「勝手に取材して、勝手に記事書いて、勝手にマップで紹介する」
という方針が採られていたのです。(それでも今考えてみると、結構、無茶な話ですが)
また、逆のパターンもあります。
うっかりアポを取ってしまうことで、「ぜひぜひどうぞ観ていってください」と歓待され、結果的に、その建築物のことをやたら持ち上げる記事にせざるを得なくなる、という例です。アポを取ると、「書籍になる前に、できれば下書きを見せて欲しいのですが」と言われたりもしますよね。
プロのジャーナリストであれば、そのあたり、毅然とした対応ができるのでしょうが、当時のマイスター達はみんな学生。できれば、あんまりそういう面倒くさい流れにはしたくないなぁ、というのがホンネでした。
そんな事情はあったものの、この女子短大については、やむを得ずアポイントメントを取ろうと思ったマイスター青年です。
取材の申し込みなんてしたことがありませんでしたから、試しに電話をしてみました。
代表番号にかけたのですが、こちらの目的を説明すると、何人かの担当者を経て、あっという間に話す相手が
広報担当部長様に!!
広報担当部長さん「そうですか、それはそれは。ありがとうございます」
マイスター「はぁ。それでですね。ご説明したとおり、記事を書くために、ちょっとだけキャンパスに入ることを許可して頂ければと思いまして」
広報担当部長さん「わかりました。大丈夫です。先ほど、こちらでも協議しまして、ぜひ隅々まで観ていただこう、ということになりました」
マイスター「(いったい何の協議……?)」
広報担当部長さん「当日は、わたくしどもがご案内させて頂きます。お渡しできる資料なども一式ご用意致しますので。」
マイスター「いえ、あの、お手数をおかけするのも申し訳ありませんから、適当に観させていただくだけで結構なんですけど…(なんだか話が大きくなってきたぞ…)」
かくして、当時21歳だった理工系青年のマイスターは、広報部長、広報課長、あとよくわからんけどエライ人、計3人の中年男性に囲まれながら、学生さんがたむろするおしゃれな女子短期大学新校舎の中を、建物探訪することになったのです。
何しろ普段、コンクリ打ちっ放しみたいな建物で野郎どもに囲まれて過ごしているマイスター青年です。うれしいとかそういう感情を通り越してすごく緊張し、縮こまって歩いてました。(「両腕をFBI捜査官に捕まれている宇宙人」みたいな状況を想像していただければと。)
でも、広報部長さんが一所懸命に説明してくださるので、頑張って「へぇ」「そうなんですか」とか言いながら観てまわりました。
女子短大ですから、18~20歳くらいの女子学生さんばっかりが学んでいるわけで、そんな中、この4人パーティーは浮きまくってました……。
マイスター「あの、ここは建築的に見所なので、ちょっと資料写真を撮らせて頂いても良いでしょうか」
エライ3人「どうぞ、どうぞ(笑顔)」
回りの女子学生さん達「(ちょっと、なんであの人、短大内の写真なんか撮ってるの? しかもあのカメラ、『写ルンです』じゃない!)」
と、女子学生さん達には露骨に怪しまれました。そりゃそうですよね。orz
とにかく、短大広報部ご一行様のご協力もいただけて、仕事は無事になんとか終えることができました。当日、実に1時間以上、マイスターは至れり尽くせりの「ご案内」をしていただくことになったのです。
そう、この取材をするまで、マイスターは理解できていなかったのです。
女子短期大学にとって、校舎のイメージが、経営を左右する非常に重要な要因であるということを。
今思えば、あのときの短大広報部の対応は、至極当然なものでした。
マイスターが書く記事で、キャンパスがどのように表現されるかということは、彼らにとって死活問題だったのです。
受験雑誌でもないのに、と思う方もおられるでしょうが、あの短大にとってキャンパスのイメージはむしろ、受験雑誌以外のところでアピールしたい類のものだったのかもしれません。
もしも今、マイスターが短大の広報担当で、建築学生から取材の申し込みを受けたとしても、やはり同じように資料を取りそろえ、自ら案内したでしょう。
ただ、一点だけ改めたいところがあります。
マイスターを案内してくれたかつての短大広報部さんは、どうもマイスターのことを、「キャンパスの宣伝に一役買ってくれるボランティア」のように見ていたフシがありまして、マイスターはそのとき、ちょっと違和感を感じたのです。
その結果、「ううむ、これは、距離を置いて客観的に書かないといけないな。うかつにほめられないぞ」と、逆にマイナスの方に意識してしまったのを覚えています。
だからマイスターは、今後取材を受ける時には、どんな方が相手であろうと「プロのジャーナリスト」に対する姿勢をとるつもりでいます。
「必要な資料はそろえますし、見たいところはご案内します。質問にも答えます。でも、最終的に記事を書くのはあなただから、そこは、あなたの責任にお任せします。批判的なことを書かれたとしても、それが事実なら仕方ありません。」
と、こういうスタンスでいった方が、良い結果になるような気がするのです。
みなさまは、どう思われますか?
取材者に対して、「自分達の宣伝をしてくれる人」という態度を向けていませんか?
もう何年も前のことを思い出しながら、そんなことを考えるマイスターでした。
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※現在、6月2日 21:00ですが、つい先ほどようやくlivedoorブログの機能が復旧したようです。
http://isp.livedoor.com/info/detail?id=223
まる一日以上、更新できない状態でした。ブログのコメント機能も受け付けなくなっていたし、ある時点から、ブログ自体が閲覧不可能になっていましたね。
みなさま、お待たせいたしました。