大学の学食がなんだか充実してきている

マイスターです。

■大学発の食品が再び新宿に集合 研究者の講義も聞ける一大イベントに

↑先日の記事で、「大学は美味しい!!」第2弾の話題をご紹介しました。
大学が世の中に送り出している食品の充実ぶりを、体感していただける絶好の機会ですので、どなたさまにもオススメです。

一方で、大学キャンパスでの学食の充実ぶりも、めざましいものがあります。

(過去の関連記事)
■大学生の食生活を改善させる取り組み
■(ニュースクリップ[-1/20]より )『食料自給率、こんなに低いの? 東北大学食に特別メニュー』
■(ニュースクリップ[-4/13]より) 『1食で20円、途上国に寄付。大妻女子大の学食でTFT』
■大学生のための「食育」 ちょっと画期的な実践例
■大学生のうちにメタボ対策?
■アメリカの大学で、生ゴミを減らすためにひろがっている施策とは……?

↑「食育」を絡めた取り組みが増えているのが、最近の傾向でしょうか。
食事代の中から途上国に寄付をする「テーブル・フォー・ツー」や、朝食をしっかり食べさせるための取り組みも拡がってきています。

毎日楽しみながら、生活の中で大事なものを少しずつ考え、身につけていけるという点で、学食や生協を舞台にしたこれらの取り組みは、非常に興味深いです

さて、食の話ばかりで恐縮ですが、今日は「学生用の食事がグレードアップしている」という事例を、最近の報道からいくつかご紹介したいと思います。

【今日の大学関連ニュース】
■「雑記帳:学食に回転ずし 名古屋学院大」(毎日jp)

愛知県瀬戸市の名古屋学院大学瀬戸キャンパスの食堂に、職人が出張して腕を振るう回転ずしランチが登場した。
若者の魚離れを防ごうと、09年度から学食業務を受託した回転ずし店の寿司処角(同市)が月1回企画。21日は約30種の新鮮なネタの握りや巻物が並んだ。一般の店頭では1皿240~360円のタイやヒラメが、1皿80円と破格。
(略)赤字覚悟というが、角田幸吉社長は「味の分かる大人になって」と、日本の将来の鍵を握る学生を励ます。
(上記記事より)

学食に回転寿司。
こんな取り組みを行ったのは、名古屋学院大学・瀬戸キャンパスです。

↓当日の様子が、大学の公式サイトでも紹介されています。

■「瀬戸キャンパス学食で回転寿司を行いました: 5月21日(木)2回目の回転寿司 」(名古屋学院大学)

7メートル50の移動式回転寿司台が食堂内に設置されたとのこと。
一ヶ月に1回程度の特別企画ということですので、常設ではないのでしょう。
(回転寿司のレーンって、こんな感じで据え付けられるものなのですね)

赤字覚悟で1皿80円の大盤振る舞い。
学生たちに本物の魚のおいしさを知ってもらい、若者の魚離れを防ぐのが目的なのだとか。
安い回転寿司だと、ネタがあまり上質でないこともありそうですが、この目的を読む限り、きっと美味しいお寿司なのでしょう。

回転寿司を経営している企業が学食業務を受託した、という点が既にユニーク。学生達の食の偏りを憂う、大学側の意図もあったのでしょうか。
ある意味では、これも食育の一つと言えるかもしれませんね。

■「米粉100%パスタ登場 クリームソースにマッチ 学生食堂、手応え十分/静岡文化芸術大学」(日本農業新聞)

グルテンなどを使わず米粉100%を素材とした新タイプのパスタが20日、浜松市中区にある静岡文化芸術大学の学生食堂のメニューに加わった。20~22日までの3日間、1日30食を380円で販売する。ソースは日替わりで初日はチーズやパプリカ、ノリを散らしたエビクリームソース。米粉100%の麺(めん)食品が学生食堂で登場するのは初めてという。
同大学では、食文化を専門分野とする米屋武文教授が、6年ほど前から米粉を原料とする麺やパン、菓子類の食品開発を研究している。米粉パスタは米屋教授と市内の製麺業者・杢屋食品(株)と共同で製品化した。
職員の下鶴一浩さんは「こしがあり、クリームとも合っておいしい。いろいろな味を楽しんでみたい」と話した。文化政策学部1年生の増井澪さんは「見た目がおいしそう。のどごしが良く、滑らかな感じ」と好評で、あっという間に完売した。
今後は、イベント時のメニューとして随時提供していく予定だ。
(上記記事より)

「米粉100%」のパスタとは、珍しいです。
同大教授の研究開発の成果だそうで、地元の企業と共同で製品化したものだとのこと。

こちらも、↓大学の公式サイトに画像が掲載されています。

■「[ トピックス ] 学生食堂のメニューに米粉100%の「米粉パスタ」が登場しました」(静岡文化芸術大学)

学生さんは大学の研究成果を体感することができますし、開発者の方は味に関する評判をすぐに受け取ることができて、お互いにメリットがあります。
学食も、名物料理ができたら嬉しいでしょう。

研究によって生まれた食品を学外で展開するのも良いですが、その前にキャンパスでこうして反応を見るというのも、大学らしくて面白いですね。

■「学食で家庭の味が食べられる! 追手門学院大学食堂に新店舗がオープン」(大学プレスセンター)

追手門学院大学(大阪府茨木市)の食堂に、「釜焚ごはん」など和食を中心とした「まいどおおきに食堂」などを展開する、外食チェーンの株式会社フジオフードシステム(大阪市北区)の進出が決定。焼き魚や煮物など「おふくろの味」を学生に提供できることになった。オープン日は3月30日(月)だ。
フジオフードシステムの藤尾正弘社長は同大の卒業生(1978年3月経済学部卒)で、2008年7月からは同大客員教授も務めるなどつながりが深い。「後輩たちに学食の概念をうち破るメニューを提供したい」という思いと同大の「体に良い和食を増やしたい」という思いが一致し、このたびの進出が決まった。
名称は「追手門食堂(おうてもんしょくどう)」で、席数は380席。「まいどおおきに食堂」のメニューをベースに「焼き魚」や「肉じゃが」など60種類余りをとり揃え、スイーツも充実させる。価格も、懐に優しい500円以内の学食価格にする。
同大の食堂は、朝日新聞社発行の2008年版大学ランキングで全国2位にランクインするなど全国的にも注目されている。
(上記記事より)

こちらは追手門学院大学の話題。
同大卒業生であるフジオフードシステムの藤尾正弘社長が、同大の客員教授も務めているということで、体によい和食を、一般よりも安い価格で提供することを決めたそうです。

■「新食堂がオープンします」(追手門学院大学)

学食の充実度が評判の大学って、ありますよね。
首都圏では、中央大学などが有名です。
また朝日新聞社発行の2008年版大学ランキングでは、第1位は青山学院大学でした。

マイスターは仕事柄、様々な大学に行きますが、その際に学食で食事をいただくことも多いです。
学食の充実度は、特に郊外のキャンパスにおいては、実はかなり重要な要素だよなぁといつも感じます。
体に良い食事を安価で食べられる環境は、学生や教職員の方々にとってはかなりありがたいはず。

■「大学会館内に焼きたてパンが楽しめるカフェベーカリーが誕生」(札幌大学)

昨年迎えた大学創立40周年を記念して、学生食堂が入る大学会館(愛称:リンデンホール)の2階部分を、焼きたてパンが楽しめるカフェベーカリーに改装し、10月20日(月)オープンしました。焼きたてパンを提供するパン工房をキャンパス内に設けるのは、道内で初となります。
愛称は、「Cafe&Bakery Palette」。大学内の公募により決まりました。いろんな色が混ざり合う画材のパレットのように、いろんな人が混ざり合う場所という意味が込められています。
(略)席は240席で、営業時間は平日10:00~16:00、土日祝日は休業です。学生のみならず、地域の方もご利用いただけます。
(上記記事より)

こちらも珍しい。
キャンパス内にパン工房があり、焼きたてパンを売っているという札幌大学のニュース。
記事を読んだだけで、焼きたてのパンの香りが漂う様子が想像でき、羨ましい限りです。

地域の方も利用できるという点がポイントでしょうか。

■「『アスリート食』で頑丈な体 カロリーなど種目に応じ献立 立命館の学食」(Asahi.com)

スポーツ系クラブに所属する学生に頑丈な体を作ってもらおうと、立命館大学はカロリーや栄養のバランスに配慮した「アスリート食」を選手に提供している。夕食だけでなく、抜きがちな朝食も提供して体調管理に気を配る。草津市のびわこ・くさつキャンパスを拠点に活動する全国屈指の強豪、アメリカンフットボール部や女子陸上競技部の選手たちも恩恵を受けている。
平日の午後9時。立命館生活協同組合が運営するキャンパスの学食には、鍛え上げられた肉体の選手たちが集まってくる。部員100人以上のアメフト部は、今年1月のライスボウルを制し、5年ぶり3度目の日本一に輝いた。彼らには一般男性の2.5倍、1日あたり6000キロカロリーの摂取が課せられている。
(略)アメフト部や陸上部のほか、男子バスケットボール部やカヌー部など計7部にアスリート食を提供する。種目によって鍛え方が異なるため、栄養士の奥井智美さん(30)がそれぞれの特性に応じた献立を考え、睡眠や間食のあり方もアドバイスしている。
例えば、陸上競技の長距離走の選手にとって、脂肪分は大敵。揚げ物を控え、納豆などの植物性たんぱく質に富んだメニューを心がける。一方、骨折している選手にはカルシウムを、靱帯(じんたい)や腱(けん)を痛めている選手にはコラーゲンを多めにとらせている。
かつてはファストフードや脂っこいメニューが多い外食で食事することが多かった選手たち。食事面での配慮が功を奏し、各部とも成績を伸ばしているという。
(上記記事より)

最後に、立命館大学の取り組み。
スポーツをしている学生達に対し、栄養士の方が、競技ごとの特性をふまえたメニューを提供しているという話題です。

栄養士の方の努力無しには実現できません。学食が栄養指導の場になっているわけです。
こういった食育のあり方も、確かに重要ですね。

以上、最近のニュースの中から、いくつかを選んでご紹介しました。

こうして見ると、各大学とも、非常に工夫をしていますね。
単に豪華にするというだけではなく、学生への教育や地域との連携など、それぞれの意図が込められていることがわかります。

パンフレットなどにはあまり取り上げられない部分かもしれませんが、これは隠れた「キャンパスの教育力」と言えるかもしれません。

他の大学の方にも、ご参考になればと思います。

以上、マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。