同志社大学、系列女子大の定員超過により、複数学部の定員を削減

マイスターです。

数日前の報道ですが、皆さんはもうご覧になったでしょうか。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「同大、既存学部の定員削減 学部新設で認可基準超過、緊急措置」(京都新聞)
http://kyoto-np.jp/article.php?mid=P2007060600026&genre=G1&area=K1B
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同志社大(京都市上京区)が来春、生命医科学部とスポーツ健康科学部を開設するため、既存学部の入学定員を急きょ、200人あまり削減したことが5日分かった。同じ学校法人の同志社女子大(京都府京田辺市)の一部学部で入学者が文部科学省の定める基準を超えたため、学部新設に伴う定員増ができなくなった形だ。

文科省などによると、学部新設で総定員を増やす場合、文科省の認可が必要になる。認可基準は、各学部の直近4年間の平均入学者が定員の1・3倍未満であることで、同一法人内なら全大学で基準が適用される。総定員を増やさない場合は、学部の再編扱いになって基準は適用されず、届け出のみで済む。

同女大薬学部は今春の入学者が定員の約1・4倍になり、直近の平均でも約1・34倍と基準を超えた。その結果、同大の生命医科学部(入学定員240人)とスポーツ健康科学部(同150人)の開設に際して定員増を伴う認可申請ができなくなったという。

同志社大は来春、工学部を理工学部に再編して165人の定員減を予定していたが、さらに225人の定員減が必要になり、神、文化情報の両学部を除く6学部からそれぞれ45-25人の定員を削減して、5月25日に文科省に届け出た。

同志社女子大広報課は「今春の合格者で辞退者が予想より少なく、このような結果になった。同志社大に迷惑をかけて申し訳ない」としている。

(上記記事より)

最近、こういった話題が多いようです。

上記の記事にあるように、学部新設の認可には、既設学部の直近4年間の入学者が平均で「定員の1.3倍未満」であることが必要です。

この「1.3倍」をわずかに超過したために、法政大学は新学部の開設を延期することになりました。

・歩留まり率の予測には気をつけよう(2007年05月09日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50311734.html

また武蔵工業大学と東横学園女子短期大学は、たった1人の超過のために1.3倍を超え、合併を見送るハメになっています。

・「武蔵工大、統合を1年延期=定員「1人超過」で基準満たさず」(ニュースクリップ[-5/27])
https://unipro-note.net/wpc/archives/50315975.html

そして今回の、同志社女子大学です。
今回は、

 「同志社女子大学薬学部の入学者が定員の1.3倍をオーバー」

→「(工学部の定員を減らすことで可能になるはずだった)同志社大学生命医科学部、スポーツ健康科学部の開設が不可能に」

→「同志社大学の既存学部の定員をさらに削って対応」

と、やや複雑なことになっています。冒頭の記事にあるように、

認可基準は、各学部の直近4年間の平均入学者が定員の1・3倍未満であることで、同一法人内なら全大学で基準が適用される。総定員を増やさない場合は、学部の再編扱いになって基準は適用されず、届け出のみで済む。

……というルールがあるのです。
同じ法人の大学である同志社女子大学と同志社大学は、一蓮托生の状態なのですね。
(何だか不思議なルールだという感じもします)

しかし、以前はこういった話題をあまり聞かなかったのですが、どうして今年になって、こうも定員超過が報じられているのでしょう?

○受験生の行動パターンが変わり、合格した大学に入学する方が増えた

○定員割れを避けるためにギリギリの歩留まり率を見込む大学が増え、結果的に、読みが外れて大幅な定員超過を起こす学校も多くなった

○定員超過の実態は以前と変わっていないが、学部学科の新設などが相次いでいるため、定員超過に引っかかって報道される機会が増えた

うーん、色々考えられそうです。
そう言えば以前、↓こんな記事も書きました。

(過去の関連記事)
・国立大学も大幅に定員超過したら補助金カットに?(2007年03月12日)
https://unipro-note.net/wpc/archives/50296891.html

独立法人化した結果、国立大学の間でも定員超過が目立つようになってきた、という報道をご紹介した記事です。
こういうのを見ると、業界全体に「定員よりやや多めの学生を入学させよう」という雰囲気があるのかもしれないなと思います。

これは個人的な想像ですが……。
今は、入学者が定員を少しでも下回ると、「定員割れ大学!」とされてメディアで取り上げられます。
実際には、受験生がたくさん集まる人気校でも、単に歩留まり率を読み誤った結果として、数人のマイナスが出ることはあります。しかし、それでも「○○大学、定員割れ!」という報道がされ、大学のイメージが悪くなってしまうことがあるようです。

そういった事態を避けるために、各校の入学責任者には、「何があろうと定員割れだけは起こすな」という経営陣からのプレッシャーがかかっているものと推察します。
それが、ご紹介したような定員超過の事態を招く原因の一つになってはいないでしょうか。

あまり無理をして入学者を確保しようとすると、せっかくの新学部開設が延期されて受験生からの信頼を失ったり、系列校に影響が出たりすることもあります。
くれぐれも慎重にどうぞ。

以上、マイスターでした。