ニュースクリップ[-5/27]「就職難で『博士離れ』か 博士課程の定員、初めて減少」ほか

マイスターです。

本日、本ブログのURLを全面的に「www.unipro-note.net」に移行した……のですが、色々と安定しないので、一度元に戻しました。
新しいURL、もう少々お待ちください。

それでは日曜日ですので、一週間のニュースの中から、いくつかを選んでご紹介します。

政策と実態が逆に。
■「就職難で『博士離れ』か 博士課程の定員、初めて減少」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/life/update/0526/TKY200705260053.html

文部科学省によると、国立大大学院博士課程の07年度の定員は1万4282人で前年度より118人の減。定員を減らしたのは秋田大(26人)、九州大(20人)、神戸大と千葉大(各18人)など。減少は56年以来だが、このときは戦後の学制改革の影響だったため、実質的には初めてという。

政府は91年度から大学院生の倍増計画を進めてきた。国立大博士課程の定員は91年度の7589人から右肩上がりで増え続け、ほぼ倍増。一方で、博士の受け皿となる大学や公的研究機関の研究職の数は増えず、06年3月に博士課程を修了した人の就職率(企業なども含む)は6割程度にとどまった。

学生の「博士離れ」は既に始まっており、大学院博士課程への入学者数は03年度をピークに減少に転じている。とくに理工系では、優秀な人材が修士課程までで企業などに就職する傾向が強まっているという。

(上記記事より)

国の政策を受けて定員は増えていくけれど、社会の受け皿はいっこうに増えない日本の博士。
この矛盾が、ついに「定員減」という具体的な形として表れました。大学院の充実を進めている文科省や政府にとっては、頭の痛い問題でしょう。

大学院の方に問題があるのか、企業を始めとする社会に問題があるのか。
個人的には、人材に対する企業の考え方が一番問題だと思いますが、大学の方にも改善すべき点が少なからずあるように思っています。

(過去の関連記事)
・博士号はどんな学問分野に多い? 各国のデータを比較します!(2005年12月27日

http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50123351.html
・日本で、人文科学系と社会科学系の博士号が少ない理由は?(2005年12月28日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50122978.html・博士号取得を目指すことには、どういうメリットがある? (2005年12月29日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50123973.html
・大学院生に特化した職業紹介会社(2006年12月15日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50272393.html
大学院生のためのフリーペーパー「アカリク」(2007年05月14日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50312676.html

学生の卒業研究が大学を動かした。
■「希少なクモ保護のため校舎建設計画を縮小 神戸女学院大」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/OSK200705160047.html

神戸女学院大学(兵庫県西宮市)のキャンパス内で、希少なクモが多数生息していることが学生の卒業研究でわかり、生息地に新校舎を建設しようとしていた同大学が、生息地を避けるために新校舎の形状を大幅に変更することを決めた。同大学は「環境・バイオサイエンス学科を設けて人と自然の共生を掲げているのに、希少種の存在を無視できない」としている。

(略)05年に同大学人間科学部4年生だった大家(おおいえ)理絵さん(24)が卒業研究のため、絶滅のおそれがあるこのクモの生息状況を調査。西宮市や同県宝塚市の計9カ所で生息を確認した。とりわけ同大学の南西部の敷地は高密度の生息地だった。

ところが、クモが多数見つかった南西部で、同大学の新教育棟(地上3階・地下1階、延べ2381平方メートル)の建設計画が浮上。計画を知った大家さんが指導教官で昆虫に詳しい遠藤知二教授(動物生態学)に「貴重なクモの生息地が侵される」と進言。改めて06年6月に調査し、予定地の一部で550個の巣を見つけた。

報告を受けた同大学は06年夏、学長や教授らで構成する「環境保全委員会」や「将来計画委員会」に諮り、「環境と学びを共存するため、校舎の建設地の変更はやむを得ない」という結論に落ち着いた。

(上記記事より)

学生の研究が、政策決定の参考にされるということはしばしばあります。上記は、「在籍している大学のキャンパス形状を変えることになった」という、非常に珍しいケース。希少種のクモを保護するためとのことで、ちょっと感動する話です。

希少生物がいるということは環境が良い証明。岡田山は大学だけではなく社会の財産でもあり、自然と人の共生を目指す大学として決断した(上記記事より)

という学長の言葉も素敵ですね。
研究とはかくあるべし、ということを、学生の皆さんもこれ以上ない形で学べたのではないでしょうか。

滑り込みアウト。
■「武蔵工大、統合を1年延期=定員「1人超過」で基準満たさず」(時事ドットコム)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007052200340

学校法人五島育英会(東京都渋谷区)は22日、経営する武蔵工業大(世田谷区)と東横学園女子短大(同)の統合時期を、当初予定の来年4月から1年延期し、2009年4月にすると発表した。
定員超過率が認可に必要な基準をオーバーし、新学部の設置ができなくなったためで、来年5月、文部科学省に改めて設置認可を申請する。
文科省は教育の質を維持するため、既設学部の学生数が過去4年間平均で定員の1.3倍未満であることを認可の条件としている。武蔵工大によると、今年度新設した知識工学部の定員超過率が1.302倍となり、基準に抵触した。仮に入学者が1人少なければ、1.297倍でクリアできていたという。

(上記記事より)

一人!

なんとも手痛い「一人」です。関係者はさぞ身もだえしたことでしょう。

・武蔵工大と東横女子短大が統合 総合大学に転換(2007年03月09日)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50296016.html

保護者同伴、是か非か。
■「少子化影響? 大学入学式『保護者ら大挙出席』」(SankeiWEB)
http://www.sankei.co.jp/kyouiku/kyouiku/070527/kik070527000.htm

大学の入学式に家族同伴で出席する新入生が年々増えている。今春の入学式では、両親や祖父母らの来場が予想を上回り、入場者数を急遽(きゅうきょ)制限して謝罪を迫られる大学もあった。“子離れ”“孫離れ”が遅くなる傾向は少子化の影響なのか? 大学は「マンモス入学式」への対応を迫られている。

今春の入学式で初めて入場者制限に踏み切ったのは、明治大、日本大、東洋大など。全国最多の学生数を誇る日大では、以前から式典を午前と午後の2回に分けて開催していたが、今回は日曜日に重なったこともあり、来場者が予想をオーバー。当日になって入場制限を決め、ホームページ上で「深くおわびします。今後繰り返さぬよう対策を講じます」と謝罪した。

東洋大は、来場者数の増加傾向を踏まえて「入場は1家族2人以内にしてほしい」と事前に周知。会場周辺の混雑に配慮し、開式を30分繰り下げた。いずれも、約1万5000人を収容できる日本武道館を会場としていた。

(略)来場者増加の背景について「一人っ子が増えて教育への関心が高まった」と少子化をあげる大学関係者は多い。「大学進学率が上昇し、小中高の入学式と同じ感覚になってきている」と専大の担当者。

(上記記事より)

確かに、「小中高の入学式と同じ」になっているという実感は、マイスターにもあります。
「ヘリコプター・ペアレンツ」という言葉はすっかりおなじみになりましたが、大学生というのは、今の保護者にとってはまだまだ庇護すべき、見守るべき存在という感覚なのかもしれません。

記事の中で、「アメリカでも家族は大学の式典に来ていた」という声が紹介されています。
ただ、マイスターが知り合いから聞いた話によると、アメリカでは日本のような「入学式」はあまり一般的ではないようで、盛り上がるのは卒業式の方だそうです。
保護者も、「おまえは私たち家族の誇りだ」という、純粋に我が子を祝福する気持ちでキャンパスに来るのだとか。ですから日本の保護者が入学式にやってくる感覚とは、かなり様子は違うんじゃないかという気もします。
(もっとも、アメリカでも「ヘリコプター・ペアレンツ」という言葉は流行しているようですから、今は日本と大差ないのかも知れません)

受験大戦争、前夜。
■「目前に迫る大学入試! 受験生は臨戦態勢」(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2007&d=0525&f=national_0525_004.shtml&pt=large

中国では新学年が9月に始まる。したがって、入学試験は夏休み前の6月に実施される。今年も一般大学入学全国統一試験まで残すところわずか。受験生たちは、人生における「ターニングポイント」を万全の状態で迎えるべく、準備に余念がない。

写真は安徽省亳州市の高校で、昼食を取る時間も惜しんで教材に目を通す受験生。

(上記記事より)

「世界では、大学は9月入学だ」という意見を最近よく耳にしますね。つまり世界では、今頃がちょうど大学入試の追い込みだということです。

中国の受験競争の苛烈さについては、何度か本ブログでも取り上げてまいりました。日本以上の学歴社会。一人っ子政策。受験生に苛烈なプレッシャーがかかる環境です。その辺りは、現代の「科挙」と言えるのかも知れません。

プレッシャーの大きさを象徴的に表しているのが、何度も紹介させていただいている、↓この写真。

■「統一大学入試、会場から出る受験生にどよめく親」(中国情報局)
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2006&d=0607&f=national_0607_002.shtml&pt=large

「あんまり調子よくなかった」とは言いにくい雰囲気ですね……。
というわけで、中国の皆さん、悔いの無いようにがんばってください。

以上、今週のニュースクリップでした。

今週も一週間、本ブログをご覧くださいまして、ありがとうございました。
名称やURL等、これから少しずつ変わって参りますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

マイスターでした。