北京パラリンピックと大学(2):オリンピックとの違いは?

マイスターです。

昨日に続き、パラリンピックの選手を大学がどうPRしているかについてご紹介していきたいと思います。

(※すみません、記事予約機能の動作が怪しいため、2日分一気にアップさせていただきます)


■「学長室Website:麗澤卒業生が今季の北京パラリンピックに出場」(麗澤大学)

開会式まで後1ヶ月あまり、何かと話題の多い北京オリンピックであるが、今年の9月6日から17日にかけて開催される北京パラリンピックからも目が離せない。というのも、麗澤大学国際経済学部卒業生で現在職員でもある国枝慎吾さんが、北京パラリンピック派遣選手に選ばれたからだ。
麗澤大学職員の国枝慎吾さんの活躍ぶりについては、この「学長Small Talk」でもすでに紹介したが(2007年10月2日・5日)、その破竹の勢いはその後も止まらず、フレンチ・オープンでもシングルスとダブルスの両方で見事優勝を飾った。さらに国際テニス連盟より、車いすテニス部門でアジア初となる「ワールドチャンピオン2007」を授与される栄誉に浴した。
そのような国枝君の姿は、後輩にも勇気と希望を与えている。今年の4月に麗澤大学経済学部に入学した竹畠明聡さんもその一人だ。骨肉腫で死に直面した竹畠さんが、度重なる手術を乗り越え、車いすテニスで世界を目指すようになったのは、2004年にアテネ・パラリンピックで金メダルを取った齋田悟司選手と国枝慎吾選手の雑誌記事を読んだことがきっかけだった。その後、千葉県吉田記念テニスセンターで、下半身不随の人たちが笑顔で汗を流している姿を目の当たりにして勇気づけられ、「自分に何ができるかを考えたい」と、それまで落ち込んでいた毎日から決別できたという。
そのような前向きの人生を歩み始めた竹畠さんが麗澤大学進学を決意したのも、国枝さんとの実際の出会いがきっかけである。その時2人はつぎのような言葉を交わしたという。「いつか倒します」という決意を見せる竹畠さん、それに対し「楽しみにしているよ」と笑顔で答える国枝さん。
(上記記事より)

「学長室の言葉」で取り上げられていた、麗澤大学の国枝慎吾選手。
パラリンピック出場を、単なるニュースではない形で紹介しています。

毎回、日本のメディアがパラリンピックを報じる際、「勇気や希望を与える」という表現をこれでもかと多用します。
そんな中には、個人的に「安易だなぁ」と感じるものも少なくないのですが、上記のケースはまさに後輩の生き方を変えた例。
大学がこういった想いの継承のステージになったわけですから、素敵です。

学長がこういった逸話を知っているというのがまた、なんだか良いですね。

■「天理大学職員の中西彩さん、アーチェリー女子W2クラス北京パラリンピック出場決定」(天理大学)

こちらは職員の方が日本代表に。
天理大学の卒業生でもあるそうです。

トップアスリートとして、母校の期待がかかっている様子が伝わってきます。

↓メディアでも取り上げられていました。

■「パラリンピックでメダル目指す 天理の中西さん、奈良県知事を訪問」(iZa!)

■「粟野選手に芸工大学長奨励賞 北京パラリンピックに出場」(山形新聞)

北京パラリンピック(9月6-17日)に、シッティングバレーボール女子の日本代表として出場する東北芸術工科大(松本哲男学長)の粟野幸智恵さん(19)に24日、同大学長奨励賞として10万円が贈られた。
同賞は、芸術関連の全国規模の作品コンテストなどで入賞した学生が対象で、スポーツ大会の出場者に授与されるのは初めて。
(上記記事より)

代表に選ばれた、在学生である粟野選手に、学長奨励賞を贈った東北芸術工科大学。
スポーツ大会の出場者に授与されるのは初めてだそうです。
同大を代表するアスリートとして、後輩達の自慢になることでしょう。

■「輝いています、ときの人:パラリンピック水泳日本代表チームキャプテン 江島大佑さん」(立命館大学)

立命館学園の「ときの人」を紹介するコンテンツ。
こちらに、北京パラリンピックの日本代表である、江島大佑選手が登場しています。

良いなと思うのは、障害者スポーツに限定された話になっていない点です。

当然のことながら、選手達は日本の代表ですから、多くのメディアに注目もされますし、様々なことに気を遣って選手生活を送ることになります。世界レベルで活躍するアスリートゆえの悩みや混乱です。
しかし、パラリンピックの選手を、そういった視点で描いている文章というのは、あまり見かけません。

この記事では、江島さんを、「世界レベルの舞台に立つとはどういうことか」、「リーダーとして人を引っ張るとはどういうことか」といったことを語る、すべての学生にとって参考になるモデルとして紹介しています。素敵な切り口です。

以上、他にも事例はたくさんあると思いますが、とりあえずこの辺りにしておきます。

こうして見ると、パラリンピック代表選手達は、オリンピック代表以上に、多様な紹介のされ方をしているように思います。

「障害との戦い」みたいな話と絡めて紹介するか、そうではなくアスリートとしての活躍だけを前面に出して紹介するかが、まず大きなポイント。これは、大学によって明確に違いがありました。

どちらが良いという話ではなく、大学の考え方や広報上のストーリー作りの違いだと思いますが、いずれにしても、しっかりした考えを持って選手達を紹介すべきだと思います。

それと、調べている間にひとつ、気がつきました。

■オリンピックの実績で大学に入学するということ

「スポーツ推薦」の仕組みを持っている大学は少なくありません。その中で、「オリンピック出場」を何らかの条件として取り入れている大学が存在することは、上記の記事で既に申し上げました。

ふと気がついたのですが、オリンピックは出願条件の中に取り入れていても、パラリンピックを同じように扱っている例は、ほとんどありません。

自らの力で頂点を目指して世界の舞台で活躍する人材であり、周囲のモデルになる存在であるという点は、オリンピック選手と同様であるにもかかわらず、です。
個人的には、スポーツ推薦制度自体にあまり賛成ではありませんが、意義があるとしたらこういった点だと思います。そして、この点では、オリンピックにもパラリンピックにも差はありません。

にも関わらず、大学がスポーツ推薦制度において、オリンピックとパラリンピックの扱いに差をつけている理由としては、

1:入学してもらっても、競技の力を伸ばす指導体制が大学にないから
2:入試担当者が、パラリンピックのことを思いつかなかった
3:メディアの扱いに差があり、パラリンピック選手を大学で育成することにメリットを感じないから
4:競技人口が少なく、社会へのインパクトがないから

……といったところが考えられます。

ただ、1については、ちょっと疑わしいです。
その競技の指導体制がなくても、オリンピック出場経験者を喜んで迎え入れる大学はあるでしょう。
「募集している競技以外でも、オリンピック出場の経験がある方は相談に乗りますので、入試課にご連絡ください」みたいな告知をしている大学があるくらいですし。

それにオリンピックもパラリンピックも、トップ選手は大学以外の組織で指導を受けていることが多いと思います。

となると実際には、2~4の要因が大きいのかなと思うのですが、だとすると、ちょっと残念です。
実際には、どうしてなんでしょうか。
スポーツ推薦制度をお持ちの大学、特にオリンピックにこだわりを持っている大学の関係者の方々に、ご意見をいただきたいところです。

……と、パラリンピックが近づくのに合わせて、こんなことを考えておりました。

とりあえず、まず今年は、ぜひパラリンピックの競技の様子を、テレビなどでご覧ください。
オリンピックに比べると、メディアの報道は格段に減りますが、テレビで視聴できる競技もあると思います。

マイスターでした。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。