期待される、大学「技術職員」の活躍

昨日の記事が「毎日連続更新 750日目」でした。「大学プロデューサーズ・ノート」のマイスターです。

もともと三日坊主の自分が、こつこつここまでやってこれるとは、当初はまったく想像しておりませんでした。これもみな、このブログを訪れてくださる皆様のおかげです。

でも大学には、マイスターなど及びも付かない、長期的な取り組みをされている方々がごまんといます。
研究者の皆様は、専門分野に、ライフワークと呼べる研究をお持ちでしょう。それこそ数十年の研究成果なんてものもあるわけで、気が遠くなります。
しかしそういった研究は、やはりどこかで然るべき評価を受けるのでしょう。

というわけで今日は、そんな大学の隠れたヒーローをご紹介します。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「スウェーデン教授が高評価 徳大技術職員・庄野さん、顕微鏡研究」(徳島新聞社)
http://www.topics.or.jp/contents.html?m1=2&m2=3&NB=CORENEWS&GI=Kennai&G=&ns=news_11791240862&v=&vm=all
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光学顕微鏡の測定法に関する研究をしている徳島大学大学院の技術職員庄野正行さん(55)=徳島市八万町大坪=が、一九八九年から十九回続けて生理学技術研究会(愛知県岡崎市)で研究発表し、感謝状を贈られた。絶え間ない研究は、二十七年前にノーベル医学生理学賞を授与するスウェーデンのカロリンスカ研究所教授から技術力を評価されたことが原動力になっている。

生理学技術研究会は、全国の国立大学や研究機関の医学、生物学、工学分野の技術職員が技術問題などを討論する研究会。毎年二月に発表会があり、庄野さんは八九年から連続して参加。この姿勢が研究会に評価され、「技術が他の大学に与えた影響は大きい」として二月に表彰された。

(上記記事より)

この記事で取り上げられている庄野さんは、大学の技術職員の方です。長期にわたる研究成果が評価されました。

技術力の高さを認めたダネホールト所長から同研究所で研究に加わるように勧められ、必要な学位を取るために一念発起。知人の教官に生物学を教わったり、図書館で勉強したりして九九年、栄養学博士号を取得した。

と、非常に意欲的な姿勢で取り組んでこられたとのこと。見習いたいです。

技術職員というのは大学の中で働くスペシャリストであり、言うまでもなく大学の教育・研究を支える重要な職務です。特に理工、医療を始めとする自然科学系の分野では、こうした専門家の方々が大学キャンパスで活躍しています。

しばしば使われるたとえですが、大学のスタッフというのは、舞台で言えば演出家や振り付け師、音響、照明技術者などのようなもの。ステージに上がるのは学生や教員であり、それを高度な専門性で支えるプロフェッショナルというのが、大学職員だと言えます。これは大学経営を専門とするアドミニストレーターも、技術系のスペシャリストも同じかな、と思います。
ステージの幕の内側に隠れていても、実は非常に高度な技術や知識で優れた仕事をしていて、舞台に欠かせない存在になっている、ということですね。

アドミニストレーターの方は、大学改革が社会的なテーマとして注目を集めるに従い少しずつ大学の窓口として一般のメディアに登場する機会が増えているような気がします。
一方、技術系の方々は、あまり世間一般に活躍が紹介されることはありません。しかしより自身の専門性を高めて、専門分野の中で存在感を発揮していくという方向で光っている方はいらっしゃることと思います。
今後、単なる「技術者」というだけにとどまらず、研究、教育についてアカデミックに関わっていかれることは、技術職員に広く期待されていくのではないかと、個人的には思います。

例えば上記の庄野さんのように、研究成果を発表しながら学位も取得し、より高度なスペシャリストとしてキャンパス内外で活躍するという方がいらっしゃるわけです。こういったキャリアパスで働こうという方々が、今後もどんどん出てこられるとすばらしいですよね。

まだあまり議論されることが多くないようですが、大学にとって、こういった人材をどう確保し伸ばしていくかということは重要なテーマの一つではないでしょうか。
もしかすると、

「我が大学が世界的な研究拠点になるためには、あなたの力が必要だ」

なんて形でヘッドハントされる技術職員の方も、これからはたくさん出てくるのかも知れませんね。

以上、マイスターでした。