教育再生のための財政改革案

マイスターです。

教育再生会議が、「お金」に関して、いくつかの構想を打ち出したようです。

【教育関連ニュース】—————————————–

■「大学交付金、削減見直し…教育再生会議」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070416ur01.htm
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同会議がまとめた提言の素案は、日本の教育予算は国際的に見て「極めて低い」と指摘し、「教育再生に必要な政策にはメリハリをつけた特別の財政措置が必要だ」として高等教育予算の充実を求める内容だ。

国立大への運営費交付金削減については、「最低限の光熱水費や設備のランニングコストは一定額を措置すべきだ。(政府方針を)見直す必要がある」としている。その上で、「教員数と学生数を前提とした一律的な配分ではなく、評価に基づく配分が必要だ」とし、研究に対して与えられる「特別教育研究経費」をはじめとする交付金のあり方に関し、研究内容を評価し、それに基づいて配分する新たな仕組みを求めている。

再生会議は第2次報告で、教育予算を拡充する具体的な方策にも言及したい考えだ。これまでに、〈1〉海外の研究者の招待にODA(政府開発援助)予算を使うなど、文部科学省以外の予算を回す〈2〉消費税の一部を教育目的に使う――などの意見が出ている。
(上記記事より)

日本では、国内総生産(GDP)に占める公教育の支出の割合が諸外国よりも低い、というのはよく指摘されることです。特に高等教育に関してはそうでした。その上、政府の財政計画「骨太の方針」では、国立大への運営費交付金を07年度から5年間、年1%ずつ削減することになっています。財政を立て直すためですね。
しかしこの時代に果たして、教育への投資をそのように絞っていって良いものか……という批判も、しばしば耳にします。

そんな中、今回、教育再生会議が、「予算方針の見直し」を打ち出しました。当然、財務省は猛反発することでしょう。
ただ、安倍政権にとって「教育」の改革は目玉です。そのあたりのバランスをどうとるかは、首相にとっては難しいところですね。
「教育への投資は必要だ、例外だ」と言ってしまえば国民の支持は得られるかも知れませんが、財政の立て直しもまた、国民に理解を求めながら勧めていかなければならない、政治家としての大事な仕事には違いありません。
安倍首相、どう判断されるのでしょうか。

■「教育予算、ODAから転用も・再生会議」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070414AT3S1301J13042007.html

日本の大学・大学院の国際競争力を高めるため、財政基盤を強化する必要があるとの認識で一致した。厳しい財政事情を踏まえ、公共事業費や政府開発援助(ODA)の一部を教育予算に転用する案や、寄付金の優遇税制の拡充などが課題に挙がった。
(上記記事より)

ODAにも手をつけよう、なんて意見も飛び出しています。さらには「寄付金の優遇税制の拡充」なんて構想も。

たぶんこの辺りは、普通、政治家ならなかなか言えないことなのでしょう。
教育再生会議の面々は、良くも悪くも政治家としてのしがらみから自由な方々ですので、こういった大胆な案もポーンと出せてしまうのかな、という気がします。
例えば寄付金の優遇税制はマイスターも大賛成ですが、これって結局「税金として国に預けるよりも、自分で使い途を決める」という発想なんですよね。いかにも財務省が嫌がりそうな案です。ODAは、外務省ですね。

「教育は大事だから、他の、なんかムダっぽい部分から予算をまわそうよ」

という、おそらく少なからぬ国民が思いついていたことが、教育再生会議によって提示されました。安易と言えば安易ですが、教育を最重視すると首相が打ち出している以上、一度は議論に上っていい話だとはマイスターも思います。

■「国立大授業料、学部で差…再生会議提言素案」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news/20070414ur02.htm

適切な競争原理と成果・実績主義の徹底を基本とし、予算配分に一段とメリハリをつけるのが柱だ。具体的には、現在は全国ほぼ一律の授業料・入学金について、理系を高くして文系を安くするなど、大学や学部別に差をつけることや、60歳以上の教員の給与を段階的に削減することなどを提案している。
(上記記事より)

先述した2点が、再生会議から政治家向けのメッセージだとすれば、こちらは「国立大学関係者向け」ということになるでしょうか。

痛みは皆で分けましょう、ということなのかなと思います……が、これまた賛否両論ありそうです。詳細は記事のリンクをご覧ください。

このように教育の「お金」に関する構想が、いくつも提示されました。提示されたからには、政治家が最終的な判断をしなければなりません。
各方面から突っつかれそうな案も混じっていますが、教育にとって重要な提案もあります。

さて、これらの構想、今後どうなるでしょうか。

以上、マイスターでした。