電話もない、携帯もない、ネットもない新生活です。
修理の間、とりあえず携帯のショップで代替機を借りたものの、アドレス帳のデータがないので受信のみ。いっきに、貧弱な通信環境になってしまいました。
ちなみにこの数日間、本ブログは、24時間OPENのネットカフェで更新されています。個室ブース&従量課金制なので、家より集中して書けるような気もします……が、お金がかかりますから、やっぱりなるべくならこれは避けたいところ。(長文ブログがこんなところでネックに…!)
そんなわけで悶々としていたところ、JAFSAのひろさんのブログで、W-ZERO3なる端末が紹介されていたので、気になっていました。で、試しに量販店の店頭をのぞいたら、
「これで外出先からもブログが更新できます」
という売り文句のPOP。
これは、何があってもブログを止めるなという、天のお告げか何かですか?(T_T)
そんなわけで、横浜から通勤する途中の電車や、外食時に料理が運ばれてくるまでのちょっとした時間などでも、ブログが書ける環境が整ってしまいました。(高かったです、この端末)
で、さっそく新品の通信端末をいじりながら、ふと思うのです。
今や、企業でも「会社に命じられて、業務としてブログを書いている人」は珍しくなくなってきていると思うけど、そうした人達は、やっぱり業務時間内でブログを更新しているのかなぁ?と。
ブログを運営するには、(ブログの内容にもよりますが)ただ文章を漫然と書くだけではなくて、世の中のニュースを見てまわったり組織内の情報を集めたり、コメントやトラックバックにレスを返したりと、様々な作業をこなさなければなりませんよね。趣味でやる分にはいいのですが、仕事でとなると、いつ更新するかが悩みのためになりそうです。
■「学長ブログ対決!」(俺の職場は大学キャンパス)
http://blog.livedoor.jp/shiki01/archives/50096468.html
↑この記事でご紹介した、「学長ブログ」の類なんて、まさにそうかなと思います。日々の仕事が他に山積みになっている中で、そうしたブログを業務時間内に毎日更新するって、結構骨が折れそうです。ですので、こうしたものの中には、夜遅くに更新されているブログも少なくないようです。
教員の皆様はともかく、サラリーマンとしての労働体系でやってきている事務職員の皆様にとっては、どこまでが業務でどこまでが個人的なわからないこうした業務を深夜に自宅などで行うのは、勤務体系的に難しいのかな? なんて、ふと思ったりしました。
マイスターの場合は、物好きな個人が自分の責任でやっているブログですから、深夜3時だろうがお昼休み中だろうが好きな時に更新すればいいわけですが、仕事だとそのへんの線引きがあいまいですよね。
コラムを書くためのネタ集めに教育情報サイトをサーフィンしてまわって、その行為で残業代を請求するってのも、ちょっと勇気が要ります。
大学ではなくて中央省庁の公務員のブログなのですが、上記とはまたちょっと違った話で少し前、ブログと業務の関係について議論を起こした例がありました。
■「経産省部長ブログ『炎上』 PSE法巡り書き込み殺到」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0308/TKY200603080273.html
■「谷みどりの消費者情報」
http://blogs.dion.ne.jp/tanimidori/
http://blogs.dion.ne.jp/tanimidori/archives/2006-02.html
経済産業省の方が、「省の施策を、国民にわかりやすく伝えよう」という主旨のもと、ブログを運営していたのですね。実際、省の公式サイトなんかよりも非常にわかりやすい説明をされていて、おおむね好評だったのですが、「勤務時間内に更新している」ということでバッシングを浴びて炎上。それがキッカケで、「職務に専念する規定に違反した」とのことで、大臣官房から注意を受けることになってしまいました。
この方のブログ、職場から運営を命じられたわけでもなく、確かに形としては個人ブログだったのです。
なので、職務中の更新を叩かれてしまったのですね。
でも、経済産業省の発表した施策を説明する以外のことは書いていなかったので、やっている内容や目的からして「公務」と変わらないのでは?という意見が、ネットメディアの関係者からは聞かれました。
同じように中央省庁の公務員としてブログを運営している若手グループの皆様の記事が、その辺についての論点をわかりやすく表していると思います。
↓
■「新事業支援担当官日記:ブログは公務か?」(情報通信政策局情報通信政策課企画グループのブログ)
http://blog.livedoor.jp/bntdt916/archives/50599693.html
省庁でも大学でも、このように、「直接、個人として、社会の皆様に自分達の大学の情報や意見をお届けしたい!」という欲求を持っておられる方はいると思います。
正式な業務としては認められなくても、個人のブログとしてやるならいいだろうと思って、ブログを開設される方もいらっしゃることでしょう。
でも実際には、少なくとも事務系の職員においては、個人の活動なのか業務の一部なのか扱いのグレーな部分が多く出てきそうで、「これは業務、これは業務外」とそうはっきり区別できないこともあるんじゃないかという気がします。
上述した経済産業省の例も、好評な時は省は何も言わず、バッシングされた途端に注意というあたりはなんだか調子がいいなと感じますが、現行の規定に照らせば、確かに職務専念規定違反と言うことになるのでしょう。
勤務時間外に更新すればよかったのでしょうが、それでも考え出すと、じゃあ残業の中には含めて良いのか?とか、グレーな部分は残りそうで、マイスターにはもう何が何だかよくわかりません。
どういう風にすればよかったのか、マイスターはさしたる提案を持ち合わせているわけではありません。
でも、もともとブログというのは極めて個人的なツールとして使われてきた経緯がありますので、「仕事にブログを活かす」というときに、油断すると色々と問題が起きるのだな、ということはわかりました。
大学の公式ブログって、そのあたりどうなのでしょうね。
学長日記とか教員系のブログって、わりと平日の日中にも更新されていたりするんですよ。
教員は、基本的には勤務時間に縛られない働き方をしているからいつ何をしようと自由だけど、
事務職員は勤務時間を明確に定められた会社員型の労働をしているから、その勤務時間内に、仕事なのか個人メディアなのか扱いがあいまいなブログを更新するのは、避けた方がいい、
ということなのかな?
たまたま、↓こんな記事を見つけました。
■「教員はブログ開設が必須!?」(大学職員.net -Blog/News-)
http://blog.university-staff.net/archives/2006/0330/0003post_324.html
■「上海交通大学、学生指導員は実名ブログ開設必修」(エクスプロア上海)
http://www.explore.ne.jp/news/article.php3?n=2496&r=sh
この場合、明らかに業務でしょうね。
(「学生指導員」がどんな働き方をする、どんな位置づけの方々なのかはあまり存じ上げませんが)
そう言えば、大学教員でも事務職員でも、個人で運営するブログは今やいっぱいありますが、
「大学の教職員が、業務として正式に更新しているブログ」というものには、どういったものがあるのでしょうか?
ちょっと調べてみました。
■金沢工業大学院Blog
http://blog.kitnet.jp/mt/tokyo/archives/000458.html
■名城大学経済学部公式ブログ ECONO BLOG
http://wwwecono.meijo-u.ac.jp/blog/
■仁愛大学コミュニケーション学科ブログ
http://cms.jindai.ac.jp/communication/
■Bond-BBT MBA ブログ(ボンド大学大学院 MBA)
http://bond-bbt-alumni.cocolog-nifty.com/bbt/
■青山学院大学・国際政治経済学部
http://www.sipeb-square.net/
・青山学院大学国際政治経済学部が、Movable Typeを使う理由。
http://www.sixapart.jp/business/education/00985.html
■KIUブログ-九州国際大学ブログ
http://www.kiu.ac.jp/MT/
■札幌学院大学商学部ブログ
http://com2.sgu.ac.jp/comblog/
■話題満載!ブログ:広島工業大学
http://www.it-hiroshima.ac.jp/blog_nyushibu/
■一宮女子短期大学
http://www.tandai.ichinomiya.ac.jp/blog/
…などなど、いっぱい出てきました。
Bond-BBT MBA ブログの場合、
「事務局スタッフと、Bond-BBT MBA卒業生 そして現役生がこのサイトを共同運営しています。もし受講に対するご質問、またMBA について一般的なご質問がございましたら、どうぞお気軽にお書き込みください。」
という説明がありました。
学部単位、学科単位で運営されているブログの場合、このように教職員+学生が入り交じって運営に当たっているケースがあるようです。なるほど考えてみれば、学科の運営ってそういうものですよね。ブログも、必然的にそうなるのでしょう。
上の事例に、こうした学部学科単位、研究科単位のものが多いのは、「特定のニーズを持ったユーザー集団に対して、様々な分野の人が、様々な情報を投げかける」というニーズに、ブログというメディアが非常に向いているということの一つの証左なのかも知れませんね。
ガバナンス的にも、「雑多な関係者が思い思いに投稿する」ということが許される組織規模なのでしょう。
九州国際大学の場合は、大学全体の色々な部署の方が一つのブログに乗り合いしているスタイルです。
実は、マイスターが前々から考えていた「大学ブログ」の姿に一番近いのはこれです。
「このブログ一つをチェックしておけば、大学内の色々な活動が日々感じられる。大学生活で必要な情報も一通りアタマに入る」というスタイルがいいんじゃないかと、個人的には思っていますので、実際に運営されている事例には興味があります。
一宮女子短期大学のブログは、広報課の皆様が更新されておられるのですが、一見すると、業務に関係ない情報も多いように思えます。でもブログはこういう方が読んでもらえるでしょうし、そういう「書き手個人を感じられる部分と、公的な情報が混在している」スタイルって、ブログというメディアが生み出した文化であり、最大の強みでもあるとも思います。ですので、こういうのも効果的で良いんじゃないかな、というのが、マイスターの個人的な考えです。
最後にご紹介するのが、↓こちら。
■「夢プロジェクト」
http://yume.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/dream/index.php
大阪教育大学の若手職員が、大学改革の案をまとめているブログです。
マイスターはこのブログを見るたびに色々と勇気づけられているのですが、このブログは一応、業務の一環(?)として位置づけられているみたいですね。
そんなわけで、あれこれと事例をご紹介してみましたが、「大学ブログとはこういうものだ!」といった確固たる考えは、マイスターはまだ持っていません。
ブログの運営には、その組織のガバナンスの在り方が色濃く表れているように思います。結局、組織次第ですよね。
なんだか半端なまとめになってしまいましたが、大学のブログについては今後も事例をご紹介し、一緒にその在り方について考えていきたいと思います。
以上、マイスターでした。
はじめまして。
一宮女子短期大学入試広報課の六浦です。
マイスターさん、いつも楽しく拝見しております。
私もマイスターさん同様、ブログ更新を業務の一環と捉えるかどうかは色々諸問題があるのでなかなか難しいことだと思います。
しかし、これだけ社会的に認知されてくれば業務の一環と捉えることもありなのではと思います。
そこで本学では、ブログをPRの効果的なツールとして有効活用していけるよう学内のコンセンサスを取り、運営を行っております。
これは大学自体に理解力があるかどうかということになりますかね?
では、今後も楽しみにしております!!
はじめまして。
九州国際大学ウェブ編集長の山本(教員)です。TBありがとうございました。また、本文中でも言及していただき、ありがとうございます。当方の狙いをドンピシャで捉えていただき、光栄です。
このブログを導入する以前は、ウェブの更新権限はネットワーク関連の部署のみが保有していたので、各部署が直接ブログに書き込めるよう学内規約の改正を行いました。
なお、「広報」という仕事は、組織内のコンセンサス作り、コミュニケーションの活性化に力の7割を割くべきだと思っています。
そこで、しばしば「編集会議」と称して、各部署のライター(ブログの書き手をこのように呼んでいます)同士の意見交換を行える場を設けるようにしています。
今後ともご意見いただけるとありがたいです。ブログも応援しています。
一宮女子短期大学入試広報課 六浦さま:
こんにちは、マイスターです。
ご当人からこうしてコメントをいただけて、光栄です!
本ブログを読んでくださって恐縮です。ありがとうございます。
「一宮女子短期大学blog」は、ビジュアルが非常に多く盛り込まれている点と、まるで友達の日記を読むような感覚で、大学のイベントなどを知ることができるという点が、非常にすばらしいと思いました。本学でも見習わなければ!と思います。
広報には「まず読んでもらえるかどうかが勝負」、という面があるのかなと個人的には考えているのですが、「一宮女子短期大学blog」は、つい毎日読んでしまいそうです。本当に、楽しいですよね!
学生さんが共感できる文章を書くのって、人によってはものすごく難しいことだと思います。「ブログを作って学生さんに読んでもらおう」と考えても、実際に日々読んでもらえるものになるかどうかは、執筆者次第ですよね。
「一宮女子短期大学blog」があんなに楽しい内容になっているのは、ひとえに、六浦さんの力量なんじゃないかな、と思います。
ぜひこれからも、楽しいブログを書いていってください!
(「antenna」も、やっぱり楽しいコンテンツになりそうですね!)
九州国際大学ウェブ編集長 山本さま:
こんにちは、マイスターです。
コメントをいただき、ありがとうございます!
ブログの試み自体は、様々な大学や企業で広まっていると思いますが、各部門が別々に運用しているために情報がバラバラに提供されていて、なかなか毎日チェックしようというブログになっていないことが多いように感じています。
その点「KIUブログ」は、ユーザーにとって理想的なメディアになっていると思います。この更新体制を構築するために、学内規約を改正されたとのこと。その姿勢、すばらしいと感じました。
ユーザーにとって理想的なプロジェクトであっても、実際には組織の問題が障壁となって実現に至らないことが、全国の大学や行政組織では少なくないと思います。
使い手のことを第一の行動基準に置くその姿勢、私の勤務する大学も見習わないといけないな、と思います。
「広報という仕事は、組織内のコンセンサス作り、コミュニケーションの活性化に力の7割を割くべき」
というご意見も、まさにその通りだと思います。
ブログのために学内規定改正を行われるなど、貴校の場合、こうした考えがきちんと実行されているのですね。ブログライターさん同士の編集会議も、そのためのコミュニケーション機会の一つとして機能しているのだと思います。
「単なるコンテンツ」ではなく、学内組織の活性化にもつながる仕組みとしてブログが活用されている点、非常に参考になります!
学ばせていただきました。
今後も、よりよいコミュニケーション(学内、学外ともに)の構築の試み、拝見させていただきます。
マイスター様
いつもブログ、ウンウンとうなずきながら拝見させてもらっております。
職員数70名弱の本校でさえ、情報の共有・発信が難しい状況です。そのような中で昨年より「山陽女子公式ブログ」を立ち上げました。
できるだけ業務時間内の更新を目指していますが、無理なこともあります。深夜3時にアップしたこともあります。それなりに好きでやっているので別に苦ではないのですが・・・
しかし、あまりに好きに書きすぎて「公式ブログ」が「ワタシの仕事日記」になってしまった面がでてきました。そこで今年度から「公式ブログ」=学校のニュース伝達と割り切ることにし、「ワタシの仕事日記」は新ブログとして独立させています。
これからは堂々と「公式」では述べられない「オレ流広報」を展開していってみます。
上司に怒られない程度に・・・