学生のネットマナー向上に取り組む大学

マイスターです。

パソコンのインターネットでwebサイトを閲覧し、ブログやMixiで日記を書く。
ケータイでメールを送りあう。

……と書くとなんだか、「ネットで暇つぶしをしている」とか、「だらだらしている」という様子を想像される方もいるかもしれません。

でも考えてみれば、こんなにも多くの人々が、毎日毎日文章を書いている時代って、実はなかったのではないでしょうか。
昔の人が鉛筆やペンで書いていた文字数と、現代に生きる私たちがパソコンやケータイで入力している文字数を一日単位で比べたら、おそらく圧倒的に、現代の方が多いと思います。
そう考えてみると、あながち悪い変化でもないような気がしませんか?

ただ、日々そうして生み出される文章の中のいくつかが、大学を悩ませていたりします。

さて今日は、こんな報道をご紹介します。

【今日の大学関連ニュース】
■「ネットマナーに大学懸命──学生の書き込みトラブル増加 漫画・テストで訴え」(NIKKEI NET)

学生がインターネットのサイトに書き込む際のマナーを向上させようと、大学が躍起になっている。個人情報を公開した日記風サイトなどが普及する中、安易な書き込みが原因のトラブルが相次いでいるためだ。学生をトラブルから守るだけでなく、「放置すれば大学の評価も下がる」との本音ものぞく。漫画形式の啓発ビラを配ったり、テストを行ったりと懸命だ。
(略) 「ここ1、2年でサイトの書き込みに対する苦情が増えだした」と話すのは関西学院大(兵庫県西宮市)。昨年だけで「ミニバイクで飲酒運転した」「1人1 パックが決まりのスーパーの特売品の卵を仲間と買い占めた」「深夜まで友人と部屋で騒いだ」といった違法行為・マナー違反に関する学生の書き込みを見た外部の人から苦情が数件寄せられた。
他大学でも同様で、学生に反省文を書かせたり、保護者を呼び出して注意したケースもあるという。
背景には氏名や学校名を公開する日記風サイトの流行がある。京都教育大(京都市)が昨年3月に全学生約790人にアンケートしたところ、約5割の約410人がサイトを開設。うち約140人が氏名などのプロフィルを誰でも見られるよう設定していたという。
大学側は「非常識な学生がいるとの評判が広まれば、大学全体の評価が下がる」と危機感を募らせ、入学後のガイダンスなどでネット利用時の注意を呼び掛け始めた。
(上記記事より)

……というわけで、学生に対し、ネットで非常識な書き込みなどをしないよう、注意を呼びかける大学が増えているようです。

確かにここ数年、大学生の不用意な書き込みが、しばしば大きく報道されています。
それもmixiのように、大学名などがわかるプロフィールを掲載している場での書き込み。
結果的に、

「○○大生がネットで問題発言」

……のように、大学名とセットで報道されてしまうケースが少なくありません。

学長名などでコメントを発表するなど、報道後、大学が対応に追われる事例も見られます。

一つ、わかりやすい例をご紹介します。

■Google Trends

上記は、Google社が試験的に公開している、「Google Trends」というサービスです。
これは「ある時期に、そのワードが何回くらい検索されたか」という結果を、ビジュアルで示してくれる、便利な機能。

これで、「名古屋大学」というワードが、2007年にどのくらい検索されたか、調べてみました。

■Google Trends: 「名古屋大学」 2007年の検索結果

9月の半ば頃、検索数が突出して伸びているのが、おわかりいただけるかと思います。
この時期、何があったか、皆さんは覚えていらっしゃいますか?

鳥取砂丘に、巨大な落書きが発見されたのが、9月8日の朝。
それが、名古屋大学の学生サークルによるものであるとネット上で広まったのが、9日から10日頃。
名古屋大学が調査を行ったのが、12日。
そんな事件があった時期なのです。

■Google Trends: 「名古屋大学」 2007年9月の検索結果

↑もう少し拡大してみました。
ネット上で噂を見かけた方々でしょう。これを見る限り9日には既に、「名古屋大学」という大学名での検索行為が、爆発的に増えています。
大学が調査をする3日も前に、多くの方々が、「名古屋大学の学生が起こした事件」を知るためにネットで情報収集を行っているわけです。

落書きという行為そのものがまず大いに問題なのですが、このサークルは、さらにそれをmixiの日記やサークルのwebサイトなどで公表していたのです。
そのため、名古屋大学の関係者であるということがあっという間に知れ渡りました。
これらのことが結果的に、名古屋大学のイメージに悪い影響を与えてしまったことは間違いありません。
逆PRのようなものです。

冒頭の記事に戻りますが、こういった事件が発生したら、いかに大学の広報部が素早く対応しようとしても、追いつけません。
ですから、「そもそも不適切な書き込みをしない」よう、指導に力を入れるということが、一番有力な対処法になるというわけです。

そもそも不特定多数のユーザーが閲覧するインターネット空間においては、非常識な発言は関係者に迷惑を与えるだけではなく、書き込んだ本人に危害を及ぼしかねません。
自分の身を守るためにも、ネット上でのマナーを知っておくことは大切です。
学生にその知識が不足しているというのであれば、大学が教える必要も、あるのかもしれません。

以上、マイスターでした。

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※個人的には、書き込みをしないよう指導する前に、そもそも不適切な行為を行ってはいけない、ということを教える必要もあるような気もします。

※この記事は、現役高校生のための予備校「早稲田塾」在籍当時、早稲田塾webサイト上に掲載したものです。