春学期に通っていた桜美林大学の、科目等履修生としての単位が無事にもらえていてホッとしているマイスターです。
今週も、記事でご紹介できなかった報道の中から、独断と偏見で選んだニュースクリップをお届けします。
学生支援の取り組みに補助金。
■「『引きこもり』の相談など、大学の学生支援に補助金」(NIKKEI NET)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060912AT1G1201112092006.html
文部科学省は来年度から、就職指導や悩み事相談などの学生支援に力を入れている大学などに補助金を出す事業を始める。大学、短期大学、高等専門学校の3割に当たる計360校程度を対象にしたい考え。同省が学生支援の分野で公募による資金援助の枠組みを設けるのは初めて。
事業名は「新たな社会的ニーズに対応した学生支援プログラム」(仮称)。学生支援活動の中でも、いわゆる「引きこもり」状態にある学生のための特別な相談体制の整備や、留学生向けの就職セミナーの開催など、特色ある取り組みに助成する。
(上記記事より)
対象が360校程度というのは、とても多いですね。
学生支援に関する取り組みは、研究に関する取り組みと異なり、一握りの学校だけを支援しても仕方がない、ということかもしれません。「点」ではなく「面」として、社会全体で手厚い支援をしていきたいという主旨なのではないかと思います。
ところで、引きこもり状態の大学生を支援する……のは、大学だけが単体で取り組むべきことではないように思います。例えば、学外の組織とネットワークを組んで、引きこもり学生をサポートする総合的な支援の一角を大学が担う、というような取り組みの提案なら良いんじゃないかなと、個人的には思います。
学生が抱える個人的問題の全部を、大学だけで解決するのは不可能です。
ただ、大学と学生の接点が多いのは事実。学生と社会とをつなげる重要な窓口の一つとして、大学は、担える役割を担って行ければ良いんじゃないでしょうか。
そういった取り組みのうち、優れたものを補助金で支援するというのなら、悪くないかも知れません。
医師派遣の決定権を握る大学医学部。地域の病院はご機嫌取りに必死。
■「弘前大医学部にホタテ・メロン、自治体病院が贈答攻勢」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20060911it15.htm
■「『派遣続けてほしくて』弘大医学部に贈答品(青森)」(読売オンライン)
http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/news2/20060912wm00.htm
弘前大医学部(青森県弘前市)は11日、県内の自治体病院21病院から2001~05年度に約1230万円分の贈答品や現金を受け取っていたことを明らかにした。
贈答品は特産のホタテやメロン、菓子などで、歳暮や中元などの名目。21病院はいずれも同大から医師の派遣を受けており、病院関係者は「医師派遣を継続してもらう意味も込めていた」と証言。
医師不足に悩む地方病院から大学医学部への贈答攻勢の実態が改めて浮き彫りとなった。
(「弘前大医学部にホタテ・メロン、自治体病院が贈答攻勢」記事より)
弘前大医学部が県内の自治体病院21病院から約1230万円分の贈答品を受け取っていたことが判明した11日、贈った側の病院関係者からは、「医師派遣を継続してもらいたくて贈った」などとする声が相次いだ。同大医学部は、医師派遣とは無関係だと説明するが、関係者の証言からは、医師不足に直面する自治体病院の置かれた苦しい立場が浮かび上がってくる。
同大医学部に贈答品を提供し、医師の派遣を受けていた津軽地域の病院関係者は、「見返りを求めてやったわけではなく、世話になった医師に対する儀礼上の贈答としてやっていた。だが、医師確保は最重要課題であり、気持ちの中には『心証をよくしたい』との思いはあった」と胸の内を語る。
また、上十三地域の病院関係者は、「医師派遣を継続してもらう意味もこめて、贈答品を贈ってきた。今後の付き合いもあり、香典や祝儀は今後もカットしにくい」と話す。
同大医学部の調査委員会によると、贈答品の送り先は、医学部の臨床系の講座に集中していた。医学部関係者は、「自治体病院側は、手の足りない診療科に医師を派遣してもらいたくて、贈答品を贈ってきたのではないか」と指摘する。
(「『派遣続けてほしくて』弘大医学部に贈答品」記事より)
地元の医師を育成するのが使命でもある国立大学医学部。しかしその医学部から医師を派遣してもらうために、県や市の病院は必死の贈り物攻撃を展開しているようです。
1230万円相当を5年間で21病院から送られたとすると、1病院が送った1年あたりの贈り物は、11万7千円ほどになります。この金額、「社会通念上の儀礼の範囲でのやり取り」にあたるかどうか。人によって判断が分かれそうな気がします。
しかしいずれにしても「贈答品の送り先は、医学部の臨床系の講座に集中していた」ということですから、1年あたり246万円相当の贈り物を、数人の教員が毎年受け取っていたというのは確かな事実。
地域の医療のために尽くすという本来の役割を果たす過程で、これだけの贈り物を、顧客である地域の病院から受け取っているというのは、やはり職業倫理的に問題がないとは言えない気がします。
自治体病院は、その地域の人々のための機関。そして国立大学医学部は、国の税金を使って、その自治体病院などに人材を供給することを大きな役割としている機関です。当たり前の役割をこなしているだけなのに、それらの公共機関の間でこれだけの金額が非公式にやりとりされているという事実。納得しない市民も少なくないのではないでしょうか。
定員より多めに学生を受け入れるようになった国立大学。
■国立大、入学者を多めに確保・定員充足率が私大を上回る
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20060905AT1G2303R05092006.html
国立大学の定員充足率(入学定員に対する新入生の割合)が今年度、初めて私立大学を上回ったことが5日、日本私立学校振興・共済事業団の調べで分かった。定員割れ私大の急増に加え、国立大が授業料の増収を図るため、以前に比べ入学者を多めに確保するようになっていることが背景にある。大学全入時代を前に、私大の学生確保は一段と厳しくなっている。
今年度の国立大の入学定員は約9万6000人、入学者は約10万4000人で、定員充足率は昨年度からほぼ横ばいの107.9%。私大の定員は約44万人、入学者は約47万2000人で、充足率は107.2%と昨年度から2.6ポイント低下した。
(上記記事より)
私立大学では、合格しても他の大学に進学してしまう受験生が少なからずいるので、たいてい、合格者を結構多めに出しています。予想よりも進学者が少ないと定員割れするし、予想よりも多く進学すると、入学者が定員を大きく上回ることになります。その配分を見極めるのが、大学の入試課の役割の一つです。
ただ少子化にともない、よその大学に「逃げられる」ことが多くなった大学も、少なくないのではないでしょうか。
一方、国立大学は、私立大学に比べると「合格→進学」となる率が高いという印象があります。第一志望校であることが多いのですね。(私立大学の入試が一段落した後に、国立大学の入試がやってくる、ということも理由の一つでしょうか)
それゆえ国立大入試では、あまり余分に合格者を出さなくても良かったんだと思います。
国立大学の定員充足率が高めになった背景には、
「合格者が他大学に進学してしまうことが多くなったので、従来よりも多めに合格者を出すようにした」
……という流れがあるんじゃないかとマイスターは思うのですが、さて、どうなのでしょう?
再び、望まれない形でメディアに登場です。
「植草教授を逮捕、今度は女子高生に痴漢-『覚えていない』と供述」(サンスポ.COM)
http://www.sanspo.com/sokuho/0914sokuho014.html
目撃していた乗客2人に取り押さえられたそうです。
本人は容疑を否認されているそうですので、それ以上のことはマイスターにはわかりませんが、こうした報道が大学にとって、「辞めさせろ」という圧力になるのは確かでしょう。
いずれ必ず裁判で、有罪か無罪かの結論が出ます。「痴漢をしたのも手鏡を持っていたのも、すべて『神の見えざる手』でした」……という訳にはいきません。
そして有罪をいくつももらったら、本人が無罪と主張したところで、大学は雇用しておけません。
もし目玉教授がこのような形で大学を去ることになったら、大学にとっては大きなダメージでしょうね。
ここでも進む再編。
■「国立高専、初の再編へ 宮城高専と仙台電波高専が協議」(Asahi.com)
http://www.asahi.com/edu/news/TKY200609130408.html
宮城高専(宮城県名取市)と仙台電波高専(仙台市)は13日、再編・統合へ向けて協議を開始した。国立高専の再編・統合は全国で初めて。15歳人口の減少に加え、中高一貫校の増加などにより、高専をめぐる状況が厳しくなっていることが背景にある。早ければ08年度に統合し、09年度から入学を受け入れる。
(上記記事より)
大学に続き、ここでも再編・統合が進められているようです。高専は優れた教育機関だと思いますが、受験生に対するアピールという点では、苦戦しているのかも知れません。
いったいなぜ……
■(カナダ)銃乱射の動機、経緯捜査 大学、一時休校を決定
http://www.usfl.com/Daily/News/06/09/0914_014.asp?id=50479
■(カナダ)カナダの大学で銃乱射事件、20人死傷…容疑者は射殺される
http://www.sanspo.com/shakai/top/sha200609/sha2006091505.html
多くの犠牲者を出した、ショッキングな事件。
大学で起きた事件というのは、どの国でも、やはり大きな衝撃を持って受け止められます。
現在も、捜査が進められています。
以上、今週のニュースクリップでした。
また、桜美林大学の科目等履修生に出願しました。3科目です。
おもしろい授業だったら、皆様にもお勧めしますね。
マイスターでした。