「シックスクール」の問題を知っておこう(1):大人が気づかない間に、子どもは被害を受けている

迷惑メールがえらいことになっているマイスターです。

複数のパソコンで同じサーバーのメールを受け取れるように設定しているのですが、半月ほど放置していたパソコンのメーラーを起動したら、2300件もメールを受信しやがりました。
もちろん、本当に必要なのは50件程度で、あとは迷惑メールです。
いやはや…。

今日は、「シックスクール」の問題について書きます。

みなさま、この言葉、聞いたことがありますでしょうか?

「シックスクール」とは、教室内の空気汚染から発生する病気や、体の不調、行動・精神の異常の総称、です。

「シックハウス症候群」という言葉の方が、よく聞かれるかも知れません。
シックハウスは、家の中の化学物質が原因で、健康に悪い影響が出る症状のことですね。

「シックスクール」というのは、シックハウスの学校版、というイメージで使われだした言葉です。
(正式な病名や、医学用語というわけではありません。
 医学的には、「シックハウス症候群」と一緒だと思います)

わかりやすく言えば学校内で使われている化学物質が原因となり、子供が気分や体調を悪くしたり、集中力を失ってしまったりする状態、ということになります。

その発生には、大まかに言って、以下の2つのケースがあります。

1:化学物質などによる学校環境汚染により、子供や教職員に新たな健康影響が出る場合

2:化学物質などによる学校環境汚染により、子供や教職員の既往症(化学物質過敏症、アレルギー疾患など)が悪化する場合

参考:シックスクール―子どもの健康と学習権が危ない!

さて、一口に「化学物質」と言いますが、どんなものが原因になるかわかりますか?

シックスクールの原因となる主な物質としては、たとえば、以下のようなものが挙げられます。

・学校校舎の新築・改修・外壁塗装などの際に発生する塗装剤などの化学物質
・清掃時に使用するワックス、トイレの芳香剤、除草剤などの化学物質
・家具や、新しい教科書、のり、油性マジックなどの文具類、資料プリントのインク等に使用されている化学物質
・合成洗剤で洗った衣類や、教員のタバコ臭や整髪料、化粧品など

いかがでしょうか?
どれもこれも、学校に、普通に存在しているものばかり。

新築、改築などで大量の化学物質が発生し、
適切にそれを処理しなかった場合が、多くの場合、キッカケになるようです。

こうした化学物質を大量に吸い込みますと、
それが引き金になって、子供が、体調を崩したり、

「恒常的に、化学物質に反応しやすい状態」

になってしまったりするのです。
こうした症状は、ひどい場合「科学物質過敏症」と呼ばれます。

一度、「化学物質過敏症」という状態になってしまうと、

工作用の「のり」や、油性マジック、
教員の化粧品や整髪料、合成洗剤で洗った服、

などにも反応してしまうようになるんですね。

こうなると、もう、それまでのように生活を送ることはなかなかできません。

あらゆる物質に反応してしまうわけですから、私生活にも多大な影響が出ます。
家ならまだ、自分たちで化学物質を押さえる工夫ができますが、学校はそうもいきません。

シックスクールに理解が深く、化学物質の抑制に協力的な学校や教諭もないわけではありませんが、多くの学校では「のり」や油性マジックを使い続けるでしょう。

発祥した子供は、学校になんて行けなくなってしまうことが多いのです。

結果として、本人には何の問題もないのに、転校を余儀なくされたりする子供も、いるのです。

つまり、シックスクールは、

子供達から、『教育を受ける権利』を奪ってしまう可能性もある、

非常におそろしい問題なのです。

さらに、この「シックスクール」については、

誤解を生みやすい要因が、色々とあるんですね。

まず、子供は大人より化学物質による健康影響を受けやすいのです。

・東京都福祉保健局「化学物質の子どもガイドライン(室内空気編)」
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/kanho/indoor/child/index.html

体重1kgあたりで比較すると、子供は大人の2倍近くの化学物質を取り込んでいることになるため、です。

言い換えると、大人は子供より、化学物質に鈍感だとも言えますね。

そのため子供が「気持ちが悪い」「帰りたい」などと訴えても、

教諭や保護者などの大人が「この子はズル休みしようとしている」なんて考えてしまうことだって、容易に起きうるわけです。

また、実は、化学物質過敏症の症状として、

「落ち着きが無くなる」「集中力が低下する」

といった症状が出ることがあるのです。これは、あまり知られていません。

教室で落ち着きがない子供を見て、

「化学物質のせいかも」

と疑える大人が、果たしてどれだけいるでしょうか?

「おとなしくしなさい!」などと、叱りつけるだけになってしまいそうです。

教育学的な視点だけでは、教室で起こる問題を解決することはできない、という一つの例ですね。

もちろん、そうやって叱られた子供には、罪はありません。

シックスクールは、精神的な二次被害を容易に生み出し得ます。

心ある教員なら、こうした問題にきづく…と言いたいところですが、なかなか現実的には、対応は難しいのです。

もともと化学物質過敏症の発症者は、外見上はごく普通で、病人らしくないという方が少なくありません。

さらに、普通の人にはにおいすら感じられない、ごくごく微量の化学物質でも苦しむという症状自体が、周囲には理解されにくい性質のものですよね。

くわえて、子供は、大人ほど自分の体調をうまく説明できないことも多いです。

そうした結果、病気の苦しみが理解されず、

「神経質だ」
「怠けている」

として、教師の叱責や、同級生のいじめの対象になってしまうことが、実際の事例として、報告されているのです。

逆に教員の大変な尽力により、

化学物質過敏症になっても、自宅や屋外で個別授業を受けるなどして、

「教育を受ける権利」を享受し続けることができた子供だっています。

今日は、ここまでにします。

「シックスクール」は、子供の環境を考える上で、非常に大事な問題ですから、より詳しいことを、続きとしてまた改めて書こうと思います。

マイスターでした。

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※実際にシックスクールの被害に遭われた方などがいらしたら、苦労された点、悩まれた点など、可能な範囲で教えていただければと思います。

この問題で困っている方々のため、このブログが情報共有でお役に立てればうれしいです。