アメリカの、イケてる仕事ランキング

大学職員のマイスターです。

お金持ちになりたい! ……とは、あんまり思わないけれど、あんまり貧乏なのも困りますよね。

「お金なんかなくてもいい!やりがいさえあれば!
 奉仕の精神だ! お金目当てなんて低俗だ!」

……という考え方も立派ではありますが、度が過ぎるとちょっと危険。
「奉仕」という発想では、どんな活動も拡がらないし、持続されません。

最近では、社会起業家という言葉もよく聞くようになってきましたが、意義のある社会活動こそ、きちんと対価を生み出せるようにすることが大切ではないでしょうか。

【教育関連ニュース】——————————————–

■[BEST JOBS IN AMERICA](CNN MONEY)
http://money.cnn.com/magazines/moneymag/bestjobs/top50/index.html
—————————————————————

ネットで見つけた、アメリカの「いけてる仕事」の収入・成長率別ランキングです。
インドなどにアウトソーシングされるようになってきたといわれているIT関係の仕事もまだまだがんばっているとか、投資関係の仕事はやっぱり伸び盛りだなとか、なかなか見ていて興味深いです。

上位50までの職種を見ていると、まぁ、研究職と医療系専門職が目立つこと。
日本では理工系離れとか、理系は文系より生涯収入が数千万円低いとかいった話題を聞くのですが、アメリカではEngineerが17位と大健闘。

職種別の給与から、アメリカ社会が見えてきます。
給与が高い職種のランクからは、今現在、ニーズを集めている産業がわかります。

また成長率の高い職種のランキングは、今後アメリカで伸びると思われている産業ということですから、今アメリカ社会で社会問題となりつつある分野や、潜在的に隠れたウォンツが多い分野、テクノロジーの発展と深く結びついている分野などがなんなのかを、私達に教えてくれます。

で、TOP3はこちら。

Rank Career Job growth Average pay
——————————————————-
1 Software engineer 46.07% $80,427
2 College professor 31.39% $81,491
3 Financial advisor 25.92% $122,462

大学の教授が、なんと2位!
10年間で30パーセント以上の伸び率というのはすごい。
きっと、人気の職業なのでしょう。

しかし、この成長率の高さは、何を意味しているのでしょうか。

大学教授の需要が年々高まっているということでしょうか。
それとも単に、教授の世界で、給与のインフレが起きているということでしょうか。

前者ならまだいいのですが、なんとなく、後者の要素が強い気がします。

「学費が上がる理由」(アメリカの大学事情)
http://ameblo.jp/yanatake/entry-10003825466.html#t10006102207

上記の、「アメリカの大学事情」さんの記事で紹介されている内容を見ると、この高い成長率の理由がなんとなくわかります。

結局、大学教授の給与が高い割合で成長しているというのは、言い換えると、学費がどんどん上がってるってことですよね。そんなことを考えると、今回のランキングも、ちょっと見方が違ってくるのではないでしょうか。

(これは想像ですが、同じく1位のSEや3位のFinancial Advisorも、引き抜き合戦が給与を実態以上に引き上げている部分はありそうな……)

18位には、「Curriculum developer」という職種がランクインしていますね。
【Career description】を見ると、

Develop instructional material, coordinate educational content, and incorporate current technology in specialized fields that provide guidelines to educators and instructors for developing curricula and conducting courses. Include educational consultants and specialists, and instructional material directors. Illustrative Example: Consultant – Education, Director – Instructional Material, Educational Specialist, Music Supervisor, Supervisor – Education, Supervisor – Special Education

とあります。もしかしたら、大学で働いている方もこのなかにいるかも知れませんね。
しかし、あれですね。日本で、こんな職種が「成長中の有望職業」なんていう形で紹介されることはないのではないでしょうか。そもそも我が国ではまだまだ、こういう職種が確立されていない気がします。

……なーんて思っていたら、

Rank Career Job growth Average pay
——————————————————-
50 School Administrator 14.55% $73,767

学校のアドミニストレーターもランクインしてるよ、おっかさん!

50位までのランキング表なので、すべりこみのランク入りですが、いやぁ、いけてる仕事みたいです。こりゃすごいと思って”School Administrator”の定義を見てみると、

[Career description] Plan, direct, or coordinate the academic and nonacademic activities of preschool and child care centers or programs, the academic, clerical, or auxiliary activities of public or private elementary or secondary level schools, etc.

とあります。
小中学校およびその前の年齢の子供達に対して、教育活動や、各種のケア活動などを計画・コーディネートする人……ということですから、どうやら大学のスタッフではなさそうですね。

※↓詳細はこちら。
■[BEST JOBS IN AMERICA:School Administrator](CNN MONEY)
http://money.cnn.com/magazines/moneymag/bestjobs/snapshots/50.html

でも、これはこれで、興味深いです。

マイスターは、この調査での「School Administrator」が、どこまでの、どういう人達を指すのか、まだよくわかっていないのですが、

教員として教壇に立つのではなく、計画の立案やコーディネートを通じて、子供達の教育に関わっていく専門職があって、

それが、「現在成長中の、有望な職業」として認識されている、ということは事実なのですよね。

日本では、こんな専門職は、ありません。自治体の行政官やNPOの方、または学校の現場の教員が、似たような役割を担うことはあるでしょうが、専門に、これを職業としているプロフェッショナルの話は聞きません。

でも、アメリカではどうやら、そういう人達が活躍するようになってきているのですね。

社会の中でこういう人達のニーズが高まっていると言うこと?
それとも、社会制度が変わって、こういう人達がより多くの公的資金を得られるようになっただけ?

前者だとすれば、なぜ、ニーズが高まっているのでしょう?
従来には知られていなかった、あるいは存在しなかった仕事だけど、急速に世間に知られ始めた…ところなのでしょうか?

給与が増えているとして、それはどこから支払われているのでしょうか?
公金? それとも顧客?

…そんなことを考え始めると、面白いです。

(どなたか、この職業についてご存じの方がいらしたら、教えてください)

※追記(4/27)————-
上記のように書いた後で思ったのですが、この「School Administrator」って、よくよく考えてみれば、「校長先生」のことですか!?

「成長する職種ランキング」に、まさか校長先生が出てくるなんて、そんなこと夢にも思っていなかったので、このような記事にしてしまったのですが、英語の定義、読めば読むほど、なんだかストレートに校長先生のことを言っているっぽいですよね…。「School Administrator」って、そのまま訳せば、ズバリ学校の管理者ですもんね・・・これは失礼しました…orz。

・・・・・・って、えええ?
校長先生、そんなにアメリカでは、成長しているんですか!?
日本だと、小中学校、高校の校長先生は、(全国の校長先生には失礼ですが)「職業」としてはあまり印象がないというか、専門職という位置づけがされていませんよね。

というか、日本の学校制度になぞらえて「校長先生」と訳すからイメージしづらいのでしょうかね。おそらく日本の「校長先生」と、アメリカの「School Administrator」って、仕事内容も位置づけも、全然違うと思いますし。
「学校管理者」みたいな言葉で想像するほうが、正確にイメージできるのかも。

でも考えてみれば、本来、学校のトップほど、専門職としての資質が問われるポジションもないですよね。リーダー次第で、学校が変わりますもんね。もしかするとアメリカでは、憧れの職業なのかもしれません。
—————————————————-

給与ランキングは、世の中の様々な実態を語ります。
色々な角度から見てみることで、思わぬ発見がありそうですよね。

マイスターでした。

6 件のコメント

  • university administratorは理事者のことをいうのかな。日本=アメリカの組織構造とは限らないから一概には言えないですよね。
    ちなみに大学職員は英語で「university official」みたいだね。
    しっかしランキングに乗ってるのはみないい給料ですなあ。。。。どの職業も年収800万円くらいだったら年収関係なしに好きな仕事を選んで暮らしたいですね。

  • School Administratorは、マイスターさんの仰られるように小中高の校長先生をさすだけでなく、そのまわりの首脳を指す言葉です。ようするに学校の運営をする人ですね。教育機関において、Administratorという言葉は、一般的に幹部職(とくに組織中枢にいる人たち)についている人たちのことをさし、それ以外の人たちは一般的にStaffになります。Officialという言葉はどちらかというと、幹部的な意味合いが強く、Administratorの同義語として使われる場合が多いように思います。

  • まあ私は「大学職員」という単語は『英辞郎』にあった用語をそのまま抜粋しただけなのであまりお気にせず♪公務員もofficialなんですね。
    大学職員 university official
    administrator【名】管理者、行政官、長官、役人、役員、運営管理官、管財人、遺産管理人、担当する人
    ・The administrator gave the day’s schedule to the teachers. 管理者は教師たちにその日のスケジュールを渡した。
    【@】アドミニストレイター、【変化】《複》administrators、【分節】ad・min・is・tra・tor
    official【名】役人、関係者、当局者、公務員、役員、職員
    【形】公式の、職務上の、公の、公務上の
    ・One of the official languages of Singapore is English. シンガポールの公用語の一つは英語である。
    【@】オフィシャル、【変化】《複》officials、【分節】of・fi・cial

  • はじめまして。私の子供はイギリスの公立小学校にちょっと通ったことがあるのですが、確かに校長先生は日本の校長先生とはだいぶ仕事内容も違うようです。
    女性の校長先生でしたが「キャリアウーマン」という感じでした。ちなみに副校長も「キャリアウーマン」で、学校の害になるなら「退学もやむなし」という感じでした。
    ちなみに、私が見たアメリカの映画で、女性校長先生が「わたしはこの学校の校長になってから、学校の先生と一度もお茶をしたことがない」と言っていました。それぐらいつっぱってないとできない仕事なのかもしれません。
    日本の校長先生は、事あるごとに飲み会とかでコミュニケーションを図っていらっしゃるようで、結構違いがありますね。