どの大学も履修登録をやっている時期ですね。
マイスターの大学も、まさに履修登録期間の真っ最中です。
webによる履修登録が普及している今日この頃ですが、マイスターの勤め先は、未だに紙です。しかもマークシートですらありません。履修コードの数字を、手書きで人文字ずつ記入するだけという方式です。
時間割表は、紙で印刷してありますから、登録までに以下のような工程が必要になります。
○教務課が、紙の時間割冊子を作成し、印刷する(☆)
→○学生さんは、その時間割冊子を読みながら、紙に履修コードを書き入れていく(☆)
→○学生さんは、決められた日の決められた時間に、決められた場所に用紙を提出する(受付はたった二日間)
→○コード以外の数字を書き入れるなどのミスがないか、教務課の担当者が目視で可能な限りチェックする(☆)
→○データ入力業者に、全学生の履修登録用紙を引き渡す
→○データ入力業者が、人海戦術で、一枚ずつ用紙の数字を読み、txtデータに起こしていく(☆)
→○データの入ったフロッピーを業者から受け取る
→○学内のシステムに読み込ませる
→○履修コード以外の数字が残っていたり、履修できない科目を登録しようとしている学生が絶対にいるので、システムがエラーメッセージを吐き出す。
(それらは、最後にすべて削除される)
→○学内の情報端末に、履修情報を出力する
→(履修確認期間)
この後、2日間、履修修正期間があるので、もう一度同じ作業を繰り返します。
授業開始から、履修情報確定まで、およそ20日間かかります。
はっきりいって、かなり無駄&不確実性の高い処理が多いです。
特に、☆印をつけているところは、かなりの確率でヒューマンエラーが起こる可能性があります。
履修コードと教室番号を勘違いする、
自分が履修できない科目を登録しようとする、
間違って違うコードを書いてしまう、などの間違いがあったら、登録されません。
字が汚くて、文字が正しく入力されなくても、登録されません。
業者がコードを入れ間違っても終わりです。
学籍番号を間違えて記入している学生がいると、他人の科目が知らない間に登録されているなんていう悲劇も起こります。
そもそも、履修登録の日に、何かあって学校に来られなければ、履修の機会もありません。
時間割変更があったときは、それを紙に掲示して告知します。それを見逃した学生は、間違ったままの情報をもとに登録をしようとします。
(webでも告知しますが、IDを入れてログインした画面でしか閲覧できないので、こまめにログインしてチェックしないといけません)
「履修したい授業を選択する」
たったこれだけの作業に、なぜ
・情報を、紙媒体に一度出力する
・それを、目視で認識する
・手で、紙に記録する
・紙の上の情報を、他人が目視で読み込み、パソコンでデータに入力し直す
などと、いろんなメディアへの入出力を何度も繰り返すのか。しかも、「人間の目と手」という、不確実なインターフェースを使って。入出力が多ければ多いほど、エラーが起きる可能性が高まる気がします。
全部、はじめっからwebでいいじゃん。
webサイトに、履修可能な授業の名称や曜日時限を表示し、画面上で選択する。
選択結果を画面で確認し、特に問題がなければそれで登録処理完了。
以前、
↑という記事で、ATMの例をご紹介しましたけど、まさにそれ。履修できないものははじめから表示させなければいいのです。webならそういうことも簡単に実現できますよね。
これは大学業界の問題というよりは、マイスターの勤め先の問題です。既にweb履修のシステムを導入している大学は多いですからね。
最初の導入コストはかかりますが、データ入力業者を使ったり、履修登録担当者が毎回残業して、目視で全学生の用紙を確認していることを考えれば、そんなに高い投資でもないと思いますし。
履修登録のように短期間にトラフィックが集中する処理にはサーバの費用がかかりますが、短期間の間だけサーバーを借りるサービスを使えば済む話です。
(企業のオンラインキャンペーンでも、たいてい、そういう方法をとります)
それなのに、web履修登録システムを導入しないのには訳があります。
履修のルールが、複雑すぎるのです。
○自分の学科のものなら履修できる
○ほかの学科の科目も条件付きで履修できる
○教員が許可したら履修できる
○二人の教員の判子をもらってきたら履修を認める
○教員の許可をもらえば、学部を跨いだ履修を認める科目がある
:
:
:
などなど、ルールの例外が山ほど存在するのです。
必修科目、選択必修科目などの区分けも細かいです。
webですべてを行うのは不可能、というか、かえって分かりにくくなる可能性が高いのです。だから、オンラインの履修登録と、従来と同じ紙の履修登録が並列で存在することになる可能性が高いのですが、それはそれでみなさん、なんだか不安なのでしょう。
web履修のシステム構築なんて、えいやっと進めてしまうしかないのでしょうが、これまでみんな、なんとなく先送りにしてきたわけです。だって、従来の方法でも、(みんな不便を感じているのですが)履修は可能ですから。必然がない改善って、進みにくいです。
そんなわけで、マイスターの勤め先の大学は、履修登録に関してはまだ問題が多いです。
それでも、webに移行するのは時間の問題でしょうから、いずれは解決すると思いますけれど。
みなさまの大学はいかがでしょうか。
話は変わりますが、ところで履修の時に使う「履修コード」とか「登録番号」とかいう数字、ありますよね。
みなさまの大学では、どんな数字になっていますか?
マイスターの勤め先では、4桁の数字です。曜日と時限、それに通し番号で構成されています。
大学によっては、5桁だったり、アルファベットが混じっていたりすると思いますが、まぁ構成要素は似たようなものでしょう。
教務課の人間が見れば、「○曜日の○限の授業」と意味が分かっていいですが、学生さんにとっては、あまり意味のある数字ではありません。
学生さんが履修コードを見るのって、履修期間の間だけですからね。曜日や時限を、履修コードから読み取る必要はないです。
一方、聞くところによるとアメリカの大学では、履修コードに、カリキュラム上の意味を持たせているところが結構あるようです。
100-200番台:前提となる知識を要求しない、基礎的な科目群
200-300番台:100-200番台の科目を履修した上で履修するべき、ややレベルの高い科目群
400-500番台:大学院レベルの科目群
:
:
みたいな感じで。
(詳細は知りませんが、この数字は、大学によってやっぱり異なるのかな?
それとも、大学間で、こういうコード付けのルールをある程度統一していたりするのかな?)
こうして履修コードを見ながら、自分の履修計画を立てられるのです。
アメリカの大学では、学部段階ではリベラルアーツをベースにした教育が多いと聞きます。自分の興味関心や、キャリアプランなどを元に、わりと自分で好きな科目を組み立てられるのだと。
そういう場合、こういう履修コードの仕組みは非常にありがたいでしょうね。
マイスター、試しに自分の勤務先でこういうコードの付け方をしたらどうなるか考えてみましたが、「あんまり意味がなさそう」という結果でした。
いわゆる一般教養科目を除けば、専門学科の授業なんて、一コマの枠内で選べる選択肢なんて、そんなにないのです。
「○○学科の3年生は、火曜日の2限は・・・○○論と××論のどっちかをとればいいのかぁ。じゃあこっち」
・・・みたいに、せいぜい2択、3択というレベルでしょう。
それに、履修に際して前提条件を求める科目は、「数学I」「数学II」みたいに、科目名称で順番が表現できていますから、わざわざ履修コードで表現する必要はないのでしょうね。
ゆえに、日本の大学で主流な学科専門教育の場合、履修コードには、あんまり科目選択のための情報が入っていないようです。
そんなわけで、履修コードひとつとっても、日米の大学教育の違いが読みとれて面白いです。
ちなみに、日本でも、リベラルアーツを行っている大学では、アメリカと同じように、履修コードに意味を持たせているところがあるようです。
■「ICU 人文科学科 授業科目一覧」(国際基督教大学)
http://gp.icu.ac.jp/course/humanities.html
履修もなかなか奥が深いな、と思うマイスターでした。
(む、なんだか久々に、事務職員っぽいことを書いた気がします)
面白く読ませていただきました。
ところで貴兄の求めていらっしゃる履修登録システムをわが社が販売しています。
ほとんど無名のシステムですが実績は
鹿児島大学 1万名 5年間の実績
明治大学 3万名 2006年4月より
福岡女子大 1000名 上に同じ
溝部学園 700名 上に同じ
どこの大学にもカスタマイズなしで入れることが出来ますので格安に納入できます。
メディア教育研究センター
役員 村島定行
わが社はまだホームページも出来ていませんが鹿児島大学発ベンチャーとして昨年末できました。よろしく。